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Saturday, August 16

ヘルシンキ

朝、ホテルの受付で、乗り物や観光施設の料金がタダ(一部割引)になる“ヘルシンキカード”を買う。その旨フロントの女性に告げると、一瞬驚いたようだったけれど、すぐに感じよく対応してくれる。あんまりここで買う人いないのかしら。そんなことないかな。それにしても北欧は本当に優しい人が多い。少なくともこれまでは、嫌な思いをした記憶がない。

市内をめぐる。

・ヘルシンキ大聖堂(Helsinki Cathedral)
やはり街の顔という感じで、美しく、迫力がある。何らかの都合で中に入ることができなかったのが、すごく残念だった。ほかの観光客もみな一様にがっかり顔。

・アカデミア書店(Akateeminen Kirjakauppa)
大聖堂から歩く道中、太陽の光がさしているのに、小雨にふられる。仕方なく折りたたみ傘をさす。街の中心部を貫く目抜き通り、ポホヨイエスプラナーディ通りに面したアカデミア書店を見学。設計はアルヴァ・アアルト。明るく開放的で気持ちのよい店内だ。日本語以外の本を“読む”という行為については、いまのところ興味がわかないので、外国の書店に足を運んで探すものといえば画集、写真集、料理の本、建築の本あたり。画集の棚を見ていたらある一冊に目がとまり、ページをパラパラとめくる。予想通り、好みの絵ばかり。これは、ミヒャエル・ボレマンス、小笠原美環、あとリヒターなんかが好きな人は必ずピンとくる画風だな、と思い、手の中にある画集が欲しくなってしまったが、あまりに高額なため断念。画家の名前はHelene Schjerfbeck、覚えておこう。ほかに、アスプルンドの建築写真集、ヘルシンキ・スクール出身の写真家の写真集があれば買おうと目論んでおり、一生懸命探したけれど、見当たらず。無念。次に向かう美術館の開館時間が迫ってきたので急いで移動。店を出ると、雨はほとんどやんでいた。

・アテネウム美術館(Ateneum Art Museum)
開館前に到着すると、すでに数人が並んでいた。まずは常設展をひととおり鑑賞。さきほどアアルト書店で見つけたHelene Schjerfbeckの作品もたくさんあり、嬉しくなってそれらを集中的に観た。画集、ほしいなあ。あきらめきれない。そして、今回の旅の目的である、トーベ・ヤンソン生誕100年を記念した展覧会をじっくり鑑賞。現代アートとしてのヤンソン作品を観ることができたのが貴重な体験。ヤンソンの両親の作品(絵や彫刻)、ムーミンの原画もたっぷりと。日本人の姿もちらほら、子ども連れで訪れている人もいた。日本と違って、物販にまったく情熱を注いでいないのが面白い。展覧会の図録すら無し。ムーミングッズはあるけれど、それは普段も売られているもので、このためにつくったという感じがしなかった。とにかく祝祭感あふれる良い展覧会だった。トーベ・ヤンソン、フォーエバー!

・国立現代美術館キアズマ(Museum of Contemporary Art Kiasma)
マリメッコ×キアズマの企画展とアルフレッド・ジャーの展示を観る。帰り際、1階のカフェでお昼。

・テンペリアウキオ教会(Temppeliaukio Church)
教会全体が岩石にくるまれた、不思議な教会。屋内も、岩がむき出しになっていて、ちょうど中にいたときにまた雨がふったのだけれど、その岩の間から雨が染み出していて驚いた。ここは人気観光地であるため、この界隈は土産物店だらけ。

・アモス・アンダーソン美術館(Amos Anderson Museum)
アンダーソン氏のコレクションを展示している美術館で、個人収集の美術館としては国内最大規模だそう。作品数が多く、内装も装飾的でとても楽しめた。

夕飯は、ハカニエミ・マーケット近く、エラインアルバ湾に面したjuttutupaというお店にて。ピザとハンバーガーを1つずつ頼み、2人で分けて食べる。とても美味しい、しかし、量が多すぎて食べきれない。隣の席に座っていた老夫婦は、前菜を2人でつまんでいて、そうだよねえ、やっぱり年をとるとそれくらいが適量だよね、もうきっとそれで十分だよね、と思って見ていたら、ほどなくして巨大なステーキがめいめいに運ばれてきて、旦那さんも奥さんも意気揚々と食べていて呆気にとられた。やはり食べる量が違う……。

帰りは水辺を散歩して帰る。