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Thursday, May 22

『ポルトガル、ここに誕生す〜ギマランイス歴史地区』(2012年)を観る。アキ・カウリスマキ、ペドロ・コスタ、ビクトル・エリセ、マノエル・ド・オリヴェイラによるオムニバス映画。オリヴェイラがいちばん良かった。エリセは導入部分の映像が素晴らしく、閉鎖された工場という場所から得た着想も、映画内で映し出されるモノクロの写真も流れる音楽も良かったのに、インタビューそのものにさほど心を動かされなかった。まあ、エリセということでハードルを最大限に高くしてしまったせいかもしれない。

Saturday, May 24

午前中、ミシェル・ハザナヴィシウス監督『OSS 177 私を愛したカフェオーレ』を観る。今朝は4時台からラジオをつけて、好きな曲がとてもたくさんかかって、ピーター・バラカンの「ウィークエンド・サンシャイン」ではジャコ・パストリアスの曲が2曲続けてかかったりして、わたしはジャコが大好きで、ジャコの曲を聴くとパンッと気合いが入るような気がして、よし朝から張り切っていこー、と思っていたのにこの映画によって一気に脱力。まあ、でもいろいろ、ネタ満載の一作だった。

竹橋まで出向き、「映画をめぐる美術 ― マルセル・ブロータースから始める」を鑑賞。野心的な展示で、非常に面白かった。近代美術館から北の丸公園を抜けてイタリア文化会館へ向かいながら、ハンマースホイの絵を観るためにデンマークのオードロップゴー美術館へと歩いた道のことをなんとなく思い出した。あの日も快晴で、強烈な紫外線に乾いた風、車道脇には森のような鬱蒼とした緑が萌えていて、そこはたしか広大な自然公園の敷地だったと思う。

イタリア文化会館では「キアラ・カセッリ写真展 IL GIARDINO 庭園」を観た。キアラ・カセッリはイタリアの女優で、90年代によく見かけていたものの最近はあまり名前を聞かなかったのだけれど、プロフィールを見たら近年はガス・ヴァン・サントやミア・ハンセン=ラブなどの映画にも出ているとのこと。わたしが知らなかっただけだった。わたしにとってキアラ・カセッリといえば、フィオレッラ・インファシェッリ監督の『魚のスープ』(1992年)だ。これはフィリップ・ノワレ演じるイタリアの映画プロデューサーの父親を中心とした一族の物語で、はるか昔に観たきりなので細かいところはわすれてしまっているのだけれど、ときどき記憶の底からよみがえってきて、無性に観たくなる一作。

九段下から銀座へ。夏至が近づく東京の5月下旬はますます日の入りが遅く、街にも人があふれていて、そうした様子を見ると無防備に心が逸る。資生堂ギャラリーで「椿会展2014 —初心—」、ギャラリー小柳で「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)展」を観る。「椿会展」は、昨年と同じ赤瀬川原平、畠山直哉、内藤礼、伊藤存、青木陵子で、畠山さんの写真が観られたのが良かった。ギャラリー小柳での展示は、内藤礼による原爆を主題とした作品を畠山直哉が撮影した写真作品となっていて、ちょっとした畠山&内藤行脚となった。

夕ごはんは、飯田橋の酉玉で焼鳥各種、ビール。久しぶりの焼鳥、嬉しい。きょうのお店はワインを飲んでいる人が多く、常々焼鳥にワインもいいなーと思っているのだけれど、結局、いつも通りのビールに終始した。