Monday, December 23
家事を片付け、朝一番で外苑前へ。ギャラリーときの忘れものに再び出向き、ジョナス・メカスのDVD BOXを買う。『Reminiscences of a Journey to Lithuania』『Lost Lost Lost』『As I Was Moving Ahead Occasionally I Saw Brief Glimpses of Beauty』『Short Film Works』『Walden』『The Brig』の6編が収められたもの。このたび日本でも『Walden』のDVDが発売されて、ブックレットが177ページだったか、そのボリュームにも惹かれるのだけれども、この際、外国仕様のDVDでも構わないのだからエイヤーと買うことにした。
空は薄曇り、外苑前は表参道よりぐっと人の数も減るため落ち着いた界隈で、ペールグレーの街並みにところどころ鮮やかなクリスマスオーナメントの赤が映え、緑が映え、美しい。コートのポケットに両手をしまってのんびりゆっくり歩いた。
その後、デパ地下で食材を買い込み、帰宅して、テーブルにチキン、サラダ、キッシュ、ミートローフのパイ包み、ケーキ、ワインを並べ、クリスマス風にとお願いした花束とキャンドルアレンジメントを卓上ツリーの隣に並べる。年に一度のお楽しみ、わたしのクリスマスを無邪気に楽しむんだ。もう、とことんやってみるんだ。
メカスの『Reminiscences of a Journey to Lithuania』をちょこっとだけ観る。思い返せばこの作品でメカスを知ったわけだから、やはりいちばん思い入れがある。『Lost Lost Lost』『Walden』も好きだけれど、やっぱりこれがいちばん好き。
Thursday, December 26
24日の夜も懲りずにチキンを食べ、25日、涙涙でクリスマスとお別れしたのにクリスマス前に録音したラジオを聴きながら朝ごはんを食べたため、きょうもまたクリスマスソングが部屋に流れる。
Saturday, December 28
朝4時台から枕元でラジオを聴く。この時間帯は80年代ポップスが流れている。ああ、哀愁の80年代ポップス! ジェーン・バーキンの「Quoi」がかかっている。先日の、ケイト・バリー死去のニュースはあまりにも衝撃的だった。ケイトのルックスはとても好きだったし、写真家としても好きだった。観た作品は限られているけれども、好きだった。そして瞬時に、ジェーンのことを思った。その報せを聞いてジェーンは予定されていたコンサートをすべてキャンセルしたそうだけれど、彼女は今どうしているだろうか。気がかりでならない。
バゲット、目玉焼きと焼いたハム、ヨーグルトの朝ごはんを早々に済ませて渋谷に向かう。きょうからオーディトリウム渋谷で「年越しゴダール」と銘打った楽しい企画が始まる。『映画史』のチケットを購入し、整理券番号を手に入れてから、東急東横で買い物。TSUTAYAに移動してお正月用にDVDを9本借りる。我らにすべて観られる時間と体力があらんことを。気力はあるはず。
SUZU CAFEでお腹を満たして準備を整えてから、いよいよキノハウスに籠って『映画史 全8章』(ジャン・リュック・ゴダール監督、1988-1998年、フランス)、2回の休憩を挟んで5時間勝負。
Sunday, December 29
朝食用のパンを切らしてしまったため、パン屋の開店時刻に合わせて買いに出る。朝ごはんの後、洋服の整理。年内にやっておきたい整理整頓をいくつか。もう手のつけようがないところ、たとえば古い書類の入ったファイルボックスなんかは来年に持ち越しだ。今年はだいぶものを増やしてしまったので、積極的に捨てていかねばならない。お昼は近所の焼肉店で石焼ビビンバを食べ、その後、食材の買い出し。珈琲店でひと休みしてから食材の買い出しその2。花屋でお正月のために蘭と南天の実を買い求める。
夜はお菓子をつまみながら、『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』(リチャード・リンクレイター監督、1995年、アメリカ・オーストリア・スイス)と『ビフォア・サンセット』(同、2004年、アメリカ)を観る。『Before Sunrise』が『恋人までの距離(ディスタンス)』のタイトルで公開された時のことをよく憶えている。最初から『ビフォア・サンライズ』としておけばよかったのだろうが ((続編『ビフォア・サンセット』公開時に『ビフォア・サンライズ』のDVDが発売となり、それに合わせてタイトルが変更されたとのこと))、当時は続編なんて当事者たちも思いもかけないことだっただろうか。
Monday, December 30
きょうあすでおせち料理を完成させ、大掃除を済ませるのが最大のミッションだ。もうすっかり年内の読書はあきらめた。落ち着いてページを捲る気力もない。映画はあと1本くらいは観られるだろうか、と考えながら早朝から黒豆をことこと煮て、紅白なます、たつくりなどをこしらえる。合間に朝ごはん、鳩サブレ1枚。お昼から午後3時過ぎまで、疲れたので横になり、うたた寝。夕方、お正月料理の食材の買い残しがあったため買いに出る。夕食は、ごはん、豆腐とほうれん草と長ねぎの味噌汁、秋刀魚の塩焼き、大根おろし、レモン、長ねぎのせ冷奴。寝る前に『美の祭典』(レニ・リーフェンシュタール監督、1938年、ドイツ)を観る。冒頭の淀川長治の解説で、あれっ、これ前に観たんじゃないか、と気づく。
Tuesday, December 31
朝ごはん、くるみパン、ヨーグルト、珈琲。
おせちづくりは3年目になり、だいぶ短時間でつくれるようになった。お昼過ぎにはお重にすべて納まり、ほっと一安心。つくるのは面倒だけれど、それなりに彩りよく、それなりに美味しそうにお重に納められた瞬間が好きで、その瞬間を迎えたいがために、やっぱり来年もつくろう、と心に決める。
気晴らしに近所のカフェまでお昼を食べに行き、午後はひたすら雑用、掃除。夕ごはんは鶏肉、大根、ほうれん草、長ねぎをのせた年越し蕎麦、ビール。食後、赤ワインの瓶を勢いよくあけながら写真集を捲る。林田摂子『森をさがす』(ROCKET BOOKS)、松江泰治『jp0205』(青幻舎)、Luigi Ghirri『It’s Beautiful Here, Isn’t It…』(Aperture)の3冊。TwitterのタイムラインにNHK紅白歌合戦の情報がいろいろ流れてきて、まったくもって一切興味がないのだけれど、ただひとつエッと思ったのは、紅組司会の綾瀬はるかの衣装がドリス・ヴァン・ノッテンだったということ。
少々酔っぱらって23時頃ベッドに入ったけれど、結局日付が変わる頃まで寝付けず、何となく外が騒がしくなり、どこか遠くで花火が打ち上がる音が聞こえたような気がして、あれが年越しの瞬間だったのだろうか。そして本当に花火があがったのだろうか。あしたの朝は晴れるそうだし初日の出を見たいのだけれど、果たして起きられるだろうか。