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Monday, June 3

今朝も晴れて、少し肌寒い。週間天気予報を見ると、この一週間は毎日晴れマークが出ている。ここまで晴れが続くと、もしかしたら梅雨入り宣言が早かったのではないかという気がしてくる。でもいまはそのあたりのことを気象予報士たちがブログなどでちゃんと説明してくれるようになった。これ [1]とか。昔はテレビやラジオのお天気ニュースでしか情報を得られなかったのに。

今夜は久しぶりにビーフストロガノフをつくることにしたので楽しみにしていて、それなら赤ワインが飲みたいぞ、と夕べ白ワインをたらふく飲んだくせに張り切る。録音しておいたJ-Waveの「TOKYO-GRAPH」を聴きながらごはんをつくる。わたしのつくるビーフストロガノフは、市販の生クリームを使うので簡単単純だ。ホワイトソースは手づくりしたほうがカロリーなど抑えられてよいのだろうけれど、そうそう食べるもんでもないし、よしとする。レシピを書くと、牛肉は塩胡椒で下味をつけて小麦粉をまぶしておく。フライパンにバター10gを落とし、少しだけオリーブオイルも入れて、繊維にそって切った玉ねぎ、薄切りにしたマッシュルーム、牛肉を入れて炒める。火が通ってきたらコンソメ(コンソメスープの素)、水(カップ1がめやすだと思う)、ローリエを入れ、煮立ったら弱火にしてときどき混ぜながら煮る。生クリームを加えて、塩胡椒で味をととのえ、レモン汁を加える。器にごはんを盛って、そのうえにかけて、パセリをふって完成。『NHKきょうの料理ビギナーズ』2009年5月号に載っているレシピを参考にしている。

「TOKYO-GRAPH」はパーソナリティのシトウレイが東京のいろいろな街をカメラを持って散策する番組なのだけれど、今回は清澄白河のギャラリーめぐりがテーマ。清澄白河の丸八倉庫ビルがギャラリーコンプレックスとして紹介され、タカイシイのギャラリースタッフの方が、この場所に決めたのは巨大なエレベーターがいちばんの決め手でした、と答えていた。古本屋の話題は無し。残念。

Tuesday, June 4

夕ごはんはレッドカレー、ビール。録音しておいた週末の菊地成孔のラジオを聴きながらいただいていたけど、2014年サッカーワールドカップ予選の結果が気になって気もそぞろ。ドローながらも無事出場決定を果たしたとのことで、よかったよかった。これで来年の楽しみがひとつ増えた。就寝前、缶ビールで祝杯(わたしだけ)。『一冊の本』6月号(朝日新聞出版)の橋本治の連載だけ読み、『広告批評』1991年12月号(マドラ出版)を本棚から引っぱり出して読んでから、消灯。

Wednesday, June 5

きょうは昨日より湿度が高いようだ。起きてすぐ気づいた。朝のうちに、夜のためにきゅうりの漬物をつくっておく。夏は冷やしたほうが美味しいであろうお惣菜が多くて嬉しい。そのほうがつくり置きもしやすいし。茄子とオクラの煮浸しを冷やして白髪ねぎをのせてパクッ……んー、つくって食べたいよう。

夜ごはん、柚子風味の冷やしうどん、朝つけておいたきゅうりの漬物、ビール。食後、食器洗い、片づけをしながら赤ワイン。『みすず』6月号(みすず書房)で原武史の連載「日記」が始まって、フム、日記、日記なー……と思ってパラパラ読んでたら11ページもあった。せいぜい5~6ページかと思ってた。ちょうど一ヶ月分の日記なのだな。鉄道好きとしては、原武史が関わっているというJR鶴見線に関する企画、というのが気になる。わたしは学生時代の終わりに初めて海芝浦駅に行ってみた。海芝浦観光。工場群を眺めながら黄色い鶴見線に揺られて海芝浦に着くと、本当にホームのすぐ下は海で、ぽかんと海上に浮かんでいるようで、うわーうわー、とゾクゾクして、東京湾が見渡せる小さな海芝浦公園でしばしぼーっとして、帰った。ここ数日いそがしく、ぐいぐいぐい、と眠りの淵に引きずりこむ睡魔の手を振りはらうことができず、読みながら早々に眠りに落ちた。

Thursday, June 6

パチリと目が冴えてしまったので午前4時きっかりに起床。窓のそばで『旅立つ理由』(旦敬介/著、岩波書店)を読む。とても面白く読んでいたのに、さすがに起きたのが早かったせいか眠くなりしばし転寝。午前6時、朝食のピザトースト用チーズとヨーグルトを切らしているのに気づいてコンビニへ。今朝はこの時間、まだ肌寒い。

夜は、ごはん、茄子と新たまねぎとミョウガとわかめの味噌汁、ホッケ、ひじきと切り干し大根と大豆とにんじんの煮物、キムチのせ冷奴、烏賊の塩辛、ビール。食後、『メトロポリス』(フリッツ・ラング、1927年、ドイツ)を観る。うなだれて仕事場に向かう労働者、バベルの塔の丸刈り頭の人々、アンドロイド・マリアにすがりつく男たち、水没せんとする街から逃げ出す子どもたち、アンドロイド・マリアを追いつめる人の群れ……群衆のシーンはどれも目を疑ってしまうような迫力だ。本当に稀有な映画だなぁ、当たり前のことを言うようだけれど。ネットでいろいろ調べていたらマドンナの「Express Yourself」が『メトロポリス』に影響を受けていたことを知って、というか薄々知っていたような気がするけれどわすれてて、懐かしい「VOGUE」を聴いたりした。十代のはじめの頃に流行った歌で、この頃から芸能や流行というものを意識するようになったので、すごくすごく懐かしく感じる。M.C.ハマーとかも、懐かしい。ただただ懐かしい。まだ十代の入口だったなんて。なんて遠くまできてしまったことだろう。

早起きしたから早く寝ないといけないのに、『メトロポリス』のような映画を観たんじゃ神経が昂ぶってなかなか寝られないというもの。24時半すぎに時計を見たところまで意識あり。

Friday, June 7

夕べ寝てないわりには早起きしたので、きょうは一日中瞼が重たかった。夕ごはんは、きのこ(エリンギとしめじと舞茸)とベーコンのパスタ、赤ワイン。食後に『KINFOLK』届く。日本特集。OMOTESANDO KOFFEEの店主が出ている。

Saturday, June 8

肌寒い朝。ラジオを聴きながら、夜のためにスナップエンドウのスジをとって軽く茹で、オクラも下茹でしておく。梅干しもいくつか、種を取り除いて梅肉をつくっておく。茹でたてのスナップエンドウをポリポリつまみ食いしていたら妙に胃がもたれてしまった。なぜスナップエンドウで!?  不可解。

朝ごはんは、ハイジの白パン、ブロックベーコンとほうれん草のソテー、グリーンリーフ、スナップエンドウ、きゅうり、ヨーグルト、珈琲。

小田急線に乗って町田へ。町田市立国際版画美術館で「空想の建築 ーピラネージから野又穫へー」、「野又穫 ELEMENTSーあちら、こちら、かけら」を観る。この美術館、ずっと行ってみたかった。思ったより古く、なんというか昭和の香り漂う美術館だった。展示は思いのほか楽しめた。もちろん観たくて行ったわけだけれど、最初のパートでは、ナポレオンの「エジプト誌」からの作品がだーっと並べられていて、まったくナポレオン、ナポレオンなぁ、エジプトについても皆目わからんし、この展覧会楽しめるだろうか……とけっこう不安になっていたところ、次に観たコイズミアヤがクールな作風で非常に面白く、うまくドライブが掛かった感じになり、あとは「バベルの図書館」を描いたエリック・デマジエールがやはり素晴らしく、ジョン・マーティンも印象に残った。ラストを飾る野又穫は一部屋をまるまる使って、キャンバスにアクリルで描いた大型の作品がたくさん並べられて、これはもう圧巻だった。野又穫の展示はもうひとつ、無料で観られるドローイング展があって、それは新聞小説の挿絵として制作されたもの。わたしはこれらの作品、本当にいいなと思った。最後の部屋に全部もってかれた気がする。辛抱堪らず、野又穫の本『Elements-あちら、こちら、かけら』(青幻舎)を買ってしまった。

観賞後、美術館のある公園を散策。快晴。肌寒かった朝とは打って変わって、日差しがやたら強くて熱い、暑い、アツイ。梅雨明けしたのでしょうか。奇抜なモニュメントのある噴水では水しぶきがきらきら輝いている。歩きながらビールが飲みたいよーと叫ぶ。小田急線とJRで東京まで戻ってきて、遅めのお昼にお寿司を食べる。

京橋まで歩く。暑い。舗道の植込みの紫陽花が枯れてしまっている。西村画廊で「町田久美展」を鑑賞。新作展だけど、いくつかはたしかキドプレスだったかで観ていて、いくつかは初めて観る。帰ったら町田久美画集を観直したいな、あぁでも今夜は部屋で映画を観る予定だし、嗚呼、時間がいくらあっても……と思う。

今夜は金井美恵子の焼鳥屋には行かず、デパートで焼鳥を買って帰宅。また焼鳥か。一品だけつくる。茄子を丸ごと蒸篭で蒸して、蒸し上がったらへたを取って指先を冷やしながら縦にさき、それに朝準備したオクラ・きゅうり・ミョウガをあらく刻んだもの+おかか+梅肉をめんつゆであえたのをのせて食べて、あとは焼鳥、ビールで夕ごはん。それにしても“金井美恵子の焼鳥屋”ってあらぬ期待や誤解を持たれそうで、あまりよくないな。もう言わないようにしようかな。 食後、『雨月物語』(溝口健二監督、1953年、日本)を観て、帰宅時にポストに届いていた『UP』6月号(東京大学出版会)の「すずしろ日記」だけ読んで寝る。ねむたい。

Sunday, June 9

朝食、くるみパン、目玉焼き、グリーンリーフ、ハムステーキ、ヨーグルト、珈琲。

きょうはとてもとても嬉しい日なのだった。ずっとずっと欲しいと思っていたundoseというバッグのブランドが一日だけお店を開くのだ。このバッグを知ってから、もうこのバッグがあればほかのバッグは要らない、と思っていつか手に入る日を夢見てきた。いそいそと向かうと、開店直後にたどり着いた店内には人があふれ、すでにいくつか売れたあとのようだった。undoseのバッグはすべて手作り、一点もので同じものはふたつとない。当然大量生産なんかできない。それでもまだ売られずに残っていてくれたなかから理想と思われるトートバッグを購入した。嬉しくて嬉しくて、お店を出て歩きながらも興奮冷めやらなかった。きょうの嬉しい買い物その1。

ちなみに今回知ったこと。「undose」はドイツ語で(oにはウムラウトがつく)、「und」は英語のand、「ose」は鳩目(ハトメ)という意味だそう。鳩目! わたしは鳩目が大好きなのだ。アイテムとしても、デザインとしても。ついでに鳩も好きだ。

早めのお昼ごはん、CAFE.Zに一番乗り。いい季節になったらテラスで食事をするという目論見をきょう叶えた。ここではアボカドハンバーグパプリカシチューと厚切りポークBBQサルサソースを交互に食べてる気がする。前回ハンバーグだったので、今回は厚切りポークBBQサルサソースにした。このカフェも、何を食べても美味しい。

お会計のあと、隣のCOWBOOKSをのぞいたら、なんと石井桃子の『幻の朱い実』を発見したため思わず声をあげる。しかも上下巻そろってる。これは好きで好きでたまらない本なのだけど、あいにく所有していなかったので、喜び勇んで買う。COWBOOKSで歓喜の雄叫びをあげるのは二度目だ。一度目は2011年9月17日のことだった。きょうの嬉しい買い物その2。

OMOTESANDO KOFFEEでひと休みして、ラットホールギャラリーで「グレン・ライゴン展」、エスパス ルイ・ヴィトン東京で「トーマス・バイルレ Monuments of Traffic(交通のモニュメント)」を観る。エスパス ルイ・ヴィトンではいつも本当にしっかりしたつくりの、ボリュームある解説本を配布してくれて、装丁も素敵なので嬉しいのだけれど、前回訪れたときには配布されず、ああ、もうやめてしまったのかな、と思ったのだけれど、きょう行ったらもらえた。やはり解説本はあったほうが絶対にいい。理解が深まる。当たり前のことのようだけど、言葉とイメージの境界線をなんとかしてふらふらと歩き続けたいわたしにとっては大切なことなのだ。

続けてスパイラルに行き、平出隆が手がける「crystal cage叢書」シリーズから、意を決して、港千尋『バスク七色』、河野道代『時の光』、平出隆『葉書でドナルド・エヴァンズに I』を買う。大人買い、冷や汗。でも港さんの本はすべて読みたいし、少し前に、幸運にもわたしの手元に届けられたひとつの書評によって河野道代の散文集はすごくすごく読みたい一編となったわけだし、それに『葉書でドナルド・エヴァンズに』という本はもう、じぶんにとって本当に大切な一冊なので、とてもとても欲しかったのだから、万事OKだ。フリーペーパー「spila/cc」も店員さんに頼んで出してもらった。すべてじっくり読もう。これがきょうの嬉しい買い物その3。

帰り、渋谷ヒカリエで開かれている「大べつやくれい展」をのぞいて、楽しい展示に明るい気分になって帰ってきて、商店街のいつもの花屋でトルコ桔梗とアルストロメリアを買い、夜は、ハヤシライス、きのこ(しめじ・舞茸)とスナップエンドウのガーリックソテー、卵とほうれん草のスープ、オクラ、ビールでごはん。食後、あしたのためににんじんと茄子を蒸して、きゅうりの漬物もつけておく。充実しつつもたいそう疲労した週末でございました。

  1. @nifty:デイリーポータルZ:あと出し天気予報 5月27日~6月2日 星取表付き []