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Monday, March 3

先週の好天気とはがらりと変わって、空は厚い雲が覆う。雨が降る。本日は日中ずっと雨模様の予報。

朝食、半熟卵、ベビースピナッチと紫玉葱とトマトとブロッコリーのサラダ、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、持参した弁当。白米、梅干し、鶏肉の醤油煮、蓮根の煮物、人参の金平、ブロッコリー、大根の煮物、茄子としめじの炒め物、胡瓜の漬物。

冷え込んだ東京の空は霙模様。郵便受けに岩波書店のPR誌『図書』が届く。夕食、鶏肉とほうれん草の醤油煮、絹ごし豆腐と若布の味噌汁、「丸八製茶場」の加賀棒茶。

Tuesday, March 4

朝食、半熟卵、ベビースピナッチと紫玉葱とトマトとブロッコリーのサラダ、ミルクブレッドとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、弁当。

会社からの帰り道で霙が降る。郵便受けに東京大学出版会のPR誌『UP』が届く。夕食、玉子とほうれん草と白胡麻を添えた温かいうどん。

読書。旧来の否定的な伊藤博文像を刷新する評伝、伊藤之雄『伊藤博文 近代日本を創った男』(講談社学術文庫)を読む。

君主権を制約する君主機関説的な憲法を伊藤が作ったことは、その後に、憲法学者や第二次世界大戦後の歴史学者になぜ正当に評価されなかったのだろうか。それは第一に、憲法制定の際に、保守派の反発を避けるため、伊藤が君主機関説という言葉を使わず、主権は天皇にあり天皇が大政を委任する、と説明したからである。第二に、後に美濃部達吉東京帝大教授が、君主機関説を天皇機関説と言い換える形で憲法学説を体系化した際に、伊藤の功績に言及しなかったからである。

伊藤博文は国家法人説的な意図をもって憲法を作成したし、時代は下って、昭和天皇もまた国家法人説を理解していた。しかしそれらの言説を攻撃的に否定する一群が支配的になる、日本の近代史を振り返る。

Wednesday, March 5

朝食、半熟卵、ベビースピナッチと紫玉葱とミニトマトとブロッコリーのサラダ、キャロットラペ、ミルクブレッドとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、弁当。夕食、玉子と小松菜を添えた温かいうどん。

読書。伊藤之雄『伊藤博文 近代日本を創った男』(講談社学術文庫)を読んでいて少しばかり驚いたことに、「大津事件」に関するくだりがある。日本を訪れていたロシアの皇太子ニコライが、巡査の津田三蔵に斬りつけられて負傷する1891年に起きた暗殺未遂事件が所謂「大津事件」であるが、この事件が有名なのは、事後の裁判の過程である。当時の法律に従った場合に犯人を死刑にはできない状況のなかで、ロシアからの報復を恐れた日本政府は、皇室に対する罪を適用することで死刑に処するよう画策したものの、大審院院長の児島惟謙は無期徒刑の判決を下して、司法権の独立を守ったとされる。『詳説 日本史研究』(佐藤信、五味文彦、高埜利彦、鳥海靖/編、山川出版社)にもそのように書いてある。しかし『伊藤博文 近代日本を創った男』を読むと、つぎのように語られているのである。

裁判官の中には、日本は法治国である限り法の規定を守るべきで、皇室罪の準用は困難であると考える者が多かった。これは法の問題のみならず、裁判官たちが幕末の攘夷思想の伝統を持つ対外硬派思想・ナショナリズムに影響されていたことも関係していた。

問題は「裁判官たちが幕末の攘夷思想の伝統を持つ対外硬派思想・ナショナリズムに影響されていた」という説明である。この説明があるのとないのとでは、受ける印象が相当に異なり、「司法権の独立を守る」という崇高な理由がかなり霞んでくる。

Thursday, March 6

曇天。朝食、半熟卵、ベビースピナッチと紫玉葱とミニトマトとブロッコリーのサラダ、キャロットラペ、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。

気胸の処置で入院した病院に赴き、レントゲンと抜糸と診察。三ヶ月後に念のためCT検査を予定。喫煙をしないので原因は不明。今後の再発率は50%。再発するかもしれないし、しないかもしれない。医療費の支払手続きを済ませる。手術までには至らず、入院日数も短かったので、いま話題の「高額療養費制度」の上限額には達しなかったものの、都内の大病院で個室を利用したがための「差額ベッド代」が相当な金額になってしまった。

昼食は自宅に戻って、早朝に用意した弁当。

読書。伊藤之雄『伊藤博文 近代日本を創った男』(講談社学術文庫)を最後まで。インターネットで確認してみたところ、伊藤之雄はホームページを開設している。ホームページ開設黎明期のようなウェブサイトの構成で、阿部寛のホームページを彷彿とさせる。

映画鑑賞。『セッソ・マット』(ディノ・リージ/監督、1973年、イタリア)を見る。夕食、海苔と白米の塩おにぎり、豚肉と春菊と鰹節の炒め物、生姜と冷奴、胡瓜の漬物、「丸八製茶場」の加賀棒茶。

Friday, March 7

朝食、半熟卵、サニーレタスと紫玉葱とミニトマトとブロッコリーのサラダ、キャロットラペ、トーストとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、弁当。夕食、海苔としらすと白米の塩おにぎり、小松菜と大根の味噌汁。

読書。「哲学の劇場」コンビの本を書架から抜き出して再読する。山本貴光・吉川浩満『人文的、あまりに人文的 古代ローマからマルチバースまでブックガイド20講+α』(本の雑誌社)と吉川浩満『哲学の門前』(紀伊國屋書店)。

Saturday, March 8

朝食、目玉焼き、ソーセージと粒マスタード、サニーレタスと紫玉葱とトマトのサラダ、トーストとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。

曇天。天気は下り坂の予報。山手線に乗って東京駅下車。東京駅の八重洲口に隣接する百貨店「大丸」に開店時刻と同時に訪れ、「イノダコーヒ」にて早めの昼食を摂る。フルーツサンドと珈琲。

冷え切った寒空の京橋を歩いて「アーティゾン美術館」を訪れる。「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」「硲伊之助展」「石橋財団コレクション選 コレクション・ハイライト」を2時間程かけて見てまわる。

銀座の外れにある「森岡書店」まで歩いて、「岡本仁『また旅2』展」を覗く。岡本仁『また旅2』(暮しの手帖社)を買う。銀座の中心部まで移動し、「教文館」を訪れて書籍を物色する。D.H.ロレンス『海とサルデーニャ 紀行・イタリアの島』(武藤浩史/訳、ちくま学芸文庫)、麻田雅文『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』(中公新書)、笠間直穂子『山影の町から』(河出書房新社)を買う。

帰りがけに訪れた「銀座三越」はもの凄い来客の数で賑わっている。食料品売場に向かい、「たねや」と「福砂屋」で買い物。日比谷線と東横線を乗り継いで、田園調布駅まで。「教文館」の棚になかった原田昌博『ナチズム前夜 ワイマル共和国と政治的暴力』(集英社新書)を「くまざわ書店」で買う。「Precce」で食材の買い物。

帰宅途中で雨に降られる。「たねや」で買った限定商品「たねや銀座餅」を食べる。常備菜づくり。茄子と鰹節の醤油煮、大根とピーマンの塩胡椒炒め、菜の花の蒸籠蒸し。

夕食、白米、春菊の味噌汁、春菊鮪のたたき、鰹の刺身、大根のつま、刻み海苔と白胡麻を添えた玉子焼き、白菜の漬物。「一保堂茶舗」の焙じ茶。「よなよなエール」を飲む。2ヶ月ぶりにアルコール飲料を口にする。

Sunday, March 9

晴れ。朝食、目玉焼き、ベーコンと粒マスタード、サニーレタスと紫玉葱とトマトのサラダ、トーストとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。洗濯と掃除と植物への水やり。「たねや」のどら焼きを食べる。近所のスーパーマーケットまで食料品の調達に赴く。昼食、「まい泉」のヒレかつサンド、「一保堂茶舗」の焙じ茶。

午後は読書。岡本仁『また旅2』(暮しの手帖社)を読む。途中で洗濯物のアイロンがけ。田園調布の洋菓子店「SAVEUR」のケーキを食べる。

常備菜づくり。しめじの白だし煮、南瓜の酒蒸し。夕食、蛍烏賊とセロリのパスタ。京都の「仔鹿」で買ったジョージア産のオレンジワインを一杯飲む。