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Monday, May 20

雨の朝。朝食、目玉焼き、ベーコン、サニーレタスと紫玉葱と海藻のサラダ、キャロットラペ、ミニトマト、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、白米、梅干し、豚肉のコンソメ炒め、茄子とピーマンの味噌炒め、大根と油揚げの煮物、人参とキャベツの酢炒め、南瓜の煮物、ミニトマト、うりの漬物の弁当。夕食、豚肉とピーマンと玉葱の豆板醤炒め。

朝の通勤時間帯は本降りの雨。最寄り駅までバスを使う。読書。先週、冨原眞弓『シモーヌ・ヴェイユ』(岩波現代文庫)を読み終えたのを踏まえて、シモーヌ・ヴェイユの本を二冊本棚から抜き取る。『重力と恩寵』(冨原眞弓/訳、岩波文庫)と『工場日記』(田辺保/訳、講談社学術文庫)を再訪。

冨原眞弓が解説する『重力と恩寵』の成り立ちの経緯を確認すると、ヴェイユが友人ギュスタヴ・ティボンに託した数十冊の「雑記帳(カイエ)」を、ティボンが主題ごとに箴言集として編纂し、ヴェイユの死後1947年に出版されたとある。本の編集にヴェイユ本人は一切関わっておらず、「重力と恩寵」という大変魅力的な名をつけたのもティボンである。しかしながら『重力と恩寵』はヴェイユの「主著」として今日においても広く読まれている。その事実をどう捉えるべきか。『重力と恩寵』の「使い道」について考えを巡らす。本書の人気は刊行当時からのものだったらしく、フランスにおいて哲学書としては異例の販売部数を記録したとのこと。「平易かつ明晰な文体で書かれた意表をつく警句が、敗戦の痛手を負ったフランス人読者の心をとらえたのである」(冨原眞弓『シモーヌ・ヴェイユ』岩波現代文庫、pp.1-2)。たしかに蠱惑的な警句がならんではいるが、言うほどヴェイユの綴るアフォリズムが一般受けする平易で明晰な文章とは思えず、読み返すたびに『重力と恩寵』という書物の不可解さと危うさを思う。もっとも箴言集だったからこそ「ベストセラー」になったといえるのかもしれない。箴言集であれば、よくも悪くも論旨を度外視した「使い道」が可能である。『重力と恩寵』の文庫解説で冨原眞弓が注意を促しているように、ヴェイユは構成美を追究する思索家であり、断片集でよしとする人ではなかった。『重力と恩寵』はヴェイユの思想の真髄が散りばめられているとはいえ、ヴェイユの意図とはかけ離れた本である可能性もかなりの程度ある。しかし断片集としての魅力が読者層を開拓した。優れた断片集は引用するのに適しているがゆえに「使い道」がある。強靭さと脆さの両方が交差するヴェイユの文章を引用すると、なんだかそれだけでそれっぽくなってしまう。引用するだけで引用者の語りとして成立してしまうのは、結構危ういものがあるように思う。二階堂奥歯『八本脚の蝶』(ポプラ社)で著者が飛び降り自殺をする数日前の日記に、『重力と恩寵』からの引用が並んでいたことを思い出している。

Tuesday, May 21

晴れ。洗濯。朝食、目玉焼き、ベーコン、サニーレタスと紫玉葱のサラダ、キャロットラペ、ミニトマト、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、白米、梅干し、豚肉の塩胡椒炒め、茄子とピーマンの味噌炒め、油揚げの煮物、人参とキャベツの酢炒め、南瓜の煮物、ミニトマト、うりの漬物の弁当。夕食、生卵と小葱を添えた白石温麺。

読書。庄野潤三『プールサイド小景・静物』(新潮文庫)を読む。先日「神奈川近代文学館」で「帰って来た橋本治展」を見学した際に、次回の展示が「没後15年 庄野潤三展 生きていることは、やっぱり懐しいことだな!」だと知って、予習として阪東橋の「本屋 象の旅」で購入したのが本書。おそらく庄野潤三をちゃんと読むのは初めて。

Wednesday, May 22

朝食、目玉焼き、ベーコン、サニーレタスと紫玉葱と海藻のサラダ、キャロットラペ、ミニトマト、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、白米、梅干し、豚肉の醤油煮込み、人参とキャベツの酢炒め、南瓜の煮物、胡桃の佃煮、うりの漬物の弁当。夕食、豚肉とピーマンの豆板醤炒め。

読書。森田たま『石狩少女』(ちくま文庫)を読む。

長きにわたって入手しづらい状況がつづいていたにもかかわらず、同作は伝説的な少女小説として古本好きの間で語り継がれてきた。筆者がその存在を知ったのは、オンライン古書店「海月書林」が牽引した2000年代初頭の女性向け古本ブームで、女性随筆家の先駆け的存在として森田たまが紹介されていたのがきっかけである。(p.217)

堀越英美による文庫解説にこう書かれているのだが、「ブーム」と呼べるほどの潮流だったのだろうかあれは。

Thursday, May 23

朝食、目玉焼き、ベーコン、サニーレタスと紫玉葱のサラダ、キャロットラペ、ミニトマト、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、白米、梅干し、豚肉の豆板醤炒め、茄子とピーマンの味噌炒め、大根と油揚げの煮物、南瓜の煮物、ミニトマト、うりの漬物の弁当。夕食、「sakana bacca」で買った握り鮨。

読書。『ちくま』6月号(筑摩書房)を読む。

Friday, May 24

朝食、目玉焼き、ベーコン、サニーレタスと紫玉葱のサラダ、キャロットラペ、ミニトマト、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、白米、梅干し、豚肉とピーマンの塩胡椒炒め、大根と油揚げの煮物、ミニトマト、胡桃の佃煮、うりの漬物の弁当。夕食、ニース風サラダ(サニーレタス、フリルレタス、トマト、胡瓜、アンチョビポテト、茹で卵、ブラックオリーブ、紫玉葱)、ツナとフリルレタスのカスクルート、ハムとスライスチーズのカスクルート、ブリーチーズ。ハンガリーの赤ワイン「BLUE SKY」を飲む。

会社帰りに書店に立ち寄り、上野修『スピノザ考』(青土社)を買う。夜、平野紗希子のPodcast番組「味な副音声 voice of food」を聴く。ゲストは麻布競馬場。

Saturday, May 25

部屋の掃除と植物の水やり。朝食、生卵と白胡麻を添えた白粥、茄子とほうれん草の味噌汁、胡桃の佃煮、「田中長奈良漬店」のうりの漬物、「一保堂茶舗」の煎茶。

外出。日比谷線の築地駅下車。近現代の名建築を公開するイベント「東京建築祭」に参戦するために「築地本願寺」に向かうも、入場開始の午前10時の段階で長い行列ができているので一旦パスして、「カトリック築地教会」に向かう。こちらは空いていてゆったり見学。ふたたび「築地本願寺」に戻るとすんなり入れたので講堂を見学する。貴賓室も公開対象のようだがこちらは延々と続く大行列で、建築に対しての関心は「興味はあるが行列に並んでまで見たい情熱は持ち合わせていない」スタンスなので、築地をあとにする。「築地本願寺」と「カトリック築地教会」を見学できたので満足。

日比谷線で築地駅から銀座駅まで移動。「東急プラザ銀座」の「Soup Stock Tokyo」にて昼食を摂る。雲南風甘辛豆腐とえのきの中華スープとグリーンカレーのセット、烏龍茶。丸の内まで歩いて「東京建築祭」のつづき。「国際ビルヂング」「新東京ビルヂング」「明治生命館」「東京ステーションホテル」を見て廻るも、普段丸の内界隈を歩く際に、建物の外観を見たりビル内に入ったりしているので、わざわざ訪れる必要はなかったかもしれない。

残りの場所を地下鉄と徒歩で巡るのは体力的に限界に達しそうなので、「ドコモ・バイクシェア」で自転車を借りる。このあとレンタルサイクルを借りたり返したりを繰り返して「東京建築祭」を巡る。

日本橋・京橋エリアを探訪。「丸石ビルディング」に向かいエントランスホールを見学する。つづいて「江戸屋」に向かうも行列が凄いので外観だけ見て次に向かう。それにしても「江戸屋」は刷毛や刷子を販売している店舗なので、わざわざ何十分もの待ち時間を費やして並ばずとも、ブラシを買いに店に来ればよいのではと思ってしまったのだが。つづいて「三井本館」に向かうも建物を取り囲むようにして長蛇の列ができており、早々に内部の見学は諦める。今回見た一番凄い行列。普段は非公開の「合名玄関」を見学できるのだが、玄関だけといえばだけである。陽射しの降りそそぐ暑いなかで並んだ見返りとして割に合わないと思ってしまうのだが、熱心な老若男女が列を成していた。

「日証館」を訪問。少し待てば入れそうな行列だったので、こちらは建物の内部を見学。自転車に乗って日本橋を疾走。兜町界隈にいい感じの飲食店がいくつもあって建築よりもそちらに関心が向く。「旧宮脇ビル」「井筒屋」「SHUTL(中銀カプセルタワービル カプセル)」を廻るもどこも入口附近から長い人の列ができていたので、建物の外観と様子を伺うに留める。だんだん建築巡りというより日本橋・銀座界隈のサイクリングとなりつつあるが、気持ちよく銀座の中心部を自転車で走って、新橋駅近くの「堀ビル」に向かう。こちらは少し待てば入れそうだったので建物内部を見学。

青空の広がる皇居沿いを自転車で走って神田方面に向かう。「岡田ビル」「神田ポートビル」「安井建築設計事務所」を見て廻る。「東京建築祭」は銀座や日本橋近辺がメインのイベントなので、こちらの建物は大行列に面食らうことなく見学できる。本日無料で一般公開されている場所はすべて廻った(三分の一くらい内部を見ていないが)。

神保町の「東京堂書店」で書物を物色。税込で6720円という価格設定を前に逡巡していた加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』(東京大学出版会)をようやく買う。「ビヤホール ランチョン」にて夕食。メンチカツ、チキン唐揚げ、ホワイトアスパラガス、アサヒ生ビール、ピルスナーウルケル。「Soif Tokyo」でワインを買って帰る。

Sunday, May 26

朝食、ハムとツナとスライスチーズのカスクルート、目玉焼き、ほうれん草のソテー、トマト、珈琲。洗濯と部屋の掃除。近所のスーパーマーケットで食料品の調達。台所の掃除と常備菜づくり。昼食、海鮮丼(鮪のたたき、しらす、生卵、刻み海苔)、小松菜としめじの味噌汁、「一保堂茶舗」の焙じ茶。アイロンがけ。夕方、映画鑑賞。『一晩中』(シャンタル・アケルマン/監督、1982年、ベルギー・フランス)を見る。夕食、ビビンバ丼(牛肉、人参・ほうれん草・もやしのナムル)、チョレギサラダ(サニーレタス、胡瓜、海藻、刻み海苔)、若布と卵のスープ。「インドの青鬼」を飲む。