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Monday, January 1

元旦。午前4時起床。部屋の掃除を簡単に済ませてから朝の珈琲。「六曜社珈琲店」の一階店で買った豆を挽く。「古楽の楽しみ」(NHKFM)を流してバロック音楽を聴きながら各種報道を瞥見。「BBC」のニュースサイトでアジア太平洋地域における新年の祝賀風景の映像を見たが、各地で軒並み絢爛豪華な花火を打ち上げているなかで日本の除夜の鐘の渋さが際立つ。PR誌を二冊。『図書』(岩波書店)と『UP』(東京大学出版会)に目をとおす。

快晴。御節(海老、伊達巻き、蒲鉾、蓮根と筍と人参の煮物、さやえんどう、玉子焼き、結び蒟蒻、椎茸の煮物、鮭の昆布巻き、紅白膾、黒豆、白豆、いくら、鶉の卵、田作り、チョロギ)、雑煮(鶏肉、長葱、鳴門、芹、餅)。純米酒「酔鯨」の熱燗を飲む。昨年末に放送されたChocolat & Akitoの「EVERYDAY STORY」(α-STATION)の放送300回記念特番、スカート澤部渡の「NICE POP RADIO」(α-STATION)を聴く。「一保堂茶舗」の番茶を飲みながら読書。堀江敏幸『中継地にて 回送電車Ⅵ』(中央公論新社)を読む。途中まで。近所の神社まで歩いて初詣。「ロト6」の当選を切に哀願する。東京は青空が広がり富士山の姿も望めるが、風が強く吹く。

自宅に戻って昼食は雑煮と焙じ茶。YouTubeで「山田五郎オトナの教養講座」を視聴する。エドゥアール・マネが最晩年に描いた絵画「フォリー・ベルジェールのバー」を解説する回を見る。「最晩年の《フォリー=ベルジェールの酒場》にいたっては、給仕女の立っている空間と背後の鏡のなかに映し出された空間とを統一的に結びつけることは困難である」(高階秀爾『近代絵画史 上巻 ロマン主義、印象派、ゴッホ』中公新書、p.88)という理解が通説だと思っていたので、鏡に映る人物たちの位置は理に適っていることを示す研究を紹介してくれていて、知識が更新される。

今年最初の映画鑑賞。「ジャック・ロジエ DVD-BOX」から『メーヌ・オセアン』(ジャック・ロジエ/監督、1986年、フランス)を選択する。つづけて「Amazon Prime Video」で安野モヨコのアニメ「オチビサン」を見る。視聴中に地震が起きて、石川県能登地方で震度7。新年から穏やかでない。被災者でない人間が現時点における錯綜した不確定の情報を収集しても詮無きことなので、報道から離れて音楽番組を部屋に流す。宮治淳一「ラジオ名盤アワー」(ラジオ日本)、細野晴臣「Daisy Holiday!」(InterFM)を聴く。

夕食は御節料理の消化試合。御節料理の残りを皿に並べて、酢蛸とローストビーフを追加し、フランスのスパークリングワイン「Cremant de Loire Rose Sec Cuvee 1742 NV」をあける。ラジオで「ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート」を聴こうと思ってNHKFMにチャンネルを合わせるも地震関連の特別編成になっているため、「BBC Radio 3」での生放送に切り替える。日本放送協会は複数のチャンネルを用意しながらおなじ内容の放送をする意味があるのかとの意見と、緊急事態下で可能なかぎり多くの人に周知する必要があるので音楽番組なんぞを提供している場合ではないとの意見の狭間で、判断が難しいところではある。

Tuesday, January 2

曇り時々雨の予報。ラジオの番組編成は元に戻ったようで時間どおりに「古楽の楽しみ」(NHKFM)を聴く。朝食、生卵と白胡麻を添えた白粥、小松菜と長葱と鳴門の味噌汁、酢蛸と山葵、蓮根と筍と人参の煮物、焙じ茶。「RURU MARY’S」の洋菓子と「COFFEE HOUSE maki」の豆で淹れた珈琲。読書。堀江敏幸『中継地にて 回送電車Ⅵ』(中央公論新社)を最後まで読む。編集者の津田新吾を追悼する小文が印象に残る。ラジオ。村上春樹「村上RADIO」(TOKYO FM)、「NEW MUSIC, NEW LIFE」(α-STATION)、松永良平「6時だョ!3345ー!」(KBS京都ラジオ)、常盤響「ニューレコード」(LOVE FM)を聴く。午後は親族の集まりに参列してピザと麦酒の昼食。日暮れ前に帰途に就く。羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突したとの報道。甚大な天災や事故が立て続けに起こる不穏な年始となる。夕食、ローストチキンとマスタード、ホワイトセロリ、ルッコラ炒め、芽キャベツ、焼きミニトマト、農民パン。「シメイビール」の赤を飲む。

Wednesday, January 3

洗濯と掃除。窓の外には綺麗な東雲色の朝焼けが広がる。「古楽の楽しみ」(NHKFM)を聴きながら朝食を摂る。半熟卵、ソーセージとマスタード、ベビーリーフと紫玉葱のサラダ、人参のマリネ、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。

奈良旅土産の「中川政七商店」の焼菓子と「一保堂茶舗」の番茶をお供に読書。浅田彰『構造と力 記号論を超えて』(中公文庫)を読む。勁草書房から単行本として延々と刊行され続けるものだと思っていた『構造と力』が、中央公論新社より文庫化されると知ったのは去年の師走初頭のこと。なぜいま『構造と力』を文庫化するのだろうとの疑問符はさしあたり脇に置いて、所有していた単行本は随分むかしに処分してしまったので、年末に「青山ブックセンター」に立ち寄った際に購入しておいたものを、久方ぶりに再訪する。ついでにこちらは20年前に文庫化を済ませている中沢新一『チベットのモーツァルト』(講談社学術文庫)を「Amazon」で注文して取り寄せておいたので隣に積んで、2024年のニューアカ事始め。

昼前に外出。山手線の有楽町駅で下車し、正月の銀座の街を歩く。年末の喧騒に較べれば人出は少なめ。「GINZA TANAKA」で指輪を磨いてもらう合間に「マロニエゲート銀座」の「Standard Products」にて生活用品を買う。新春最初の買い物は「ダイソー」にて。「GINZA TANAKA」に戻り、指輪を受け取るとともに店頭にある『銀座百点』を貰ってから、本日の目的地である「ビアホールライオン 銀座7丁目店」に向かう。チキンの唐揚げ、ザワークラウト、カリーブルスト、フライドポテト。飲んだ麦酒は「ヱビス」と「サップロ黒ラベル」。帰り際に「ルミネ有楽町」に立ち寄り、「MARKS&WEB」でハンドクリームを買って、「靴下屋」で靴下を買う。年末年始の疲れがでて身体が怠いので、夕食は軽めに済ませて早めの就寝。生ハム、サニーレタス、農民パン、「サドヤ」の赤ワイン。

Thursday, January 4

昨晩、山手線車内で女が刃物で乗客を切りつける事件が発生したとのこと。元日以降、毎日なにか起きないと気が済まないかのような様相を呈している。朝食、目玉焼き、ソーセージとマスタード、サニーレタスと紫玉葱のサラダ、人参のマリネ、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。「BBC」のニュースサイトを見たらイランのケルマンで爆発があり100人弱が死亡との報道。

読書。浅田彰『構造と力 記号論を超えて』(中公文庫)を最後まで。あらためて情報の整理整頓能力に感心する本。大抵、論旨の単純化を恐れずに思想史の交通整理をおこなうのは、中高年になるとより上達するものだと思うが、20代前半で鮮やかにやってみせたところに本書の白眉があるように思う。浅田彰は以後、話はそう単純ではないと留保をつけながら明晰な話にしてしまう言明を繰り返しながら、今日に至る。

自転車に乗って「砧公園」を目指す。道程の途中で「等々力渓谷公園」で自転車を止めると、倒木の可能性のある樹木が多々存在するとのことで公園内は通行禁止になっていることを今頃知る。環八通り沿いを進んで目的地の「世田谷美術館」に到着し、「倉俣史朗のデザイン 記憶のなかの小宇宙」を見学する。展示室内は老若男女の鑑賞者でそこそこ賑わっている。途中で展示室を抜けて、美術館併設のレストラン「LE JARDIN」にて午餐。ビーフカレー、スープ、サラダ、フルーツタルト、珈琲。食後展示室に戻り、倉俣史朗の作品をもう一度見返してから、収蔵品展の「美術家たちの沿線物語 京王線・井の頭線篇」を見学する。面白い企画展だったので既に会期を終えた「田園都市線・世田谷線篇」と「大井町線・目黒線・東横線篇」を見逃したのが悔やまれる。

自転車に乗って九品仏を目指すも、目的地の「Comme’N TOKYO」と「INFINI」は生憎休業日だったので、行き先を自由が丘に修正。「GRANDIR KYOTO」でバゲットを買って、「MONT-BLANC」でモンブランを買ってから帰途に就く。モンブランと「Brew Tea Co.」のアールグレイで小休憩。『銀座百店』1月号(銀座百店会)に目をとおす。夕食、生ハム、鮭のムニエル、南瓜のスープ、カマンベールチーズ、ホワイトセロリとサニーレタスと紫玉葱のサラダ、農民パン。フランスの赤ワイン「HERITAGE」を飲む。

Friday, January 5

朝食、茹で卵、サニーレタスと紫玉葱とトマトのサラダ、人参のマリネ、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。篠山紀信の訃報。仕事始めのため本日より出勤。淡々と労働をこなす。昼食、お弁当。夕食、豚ヒレカツ、小松菜の味噌汁、番茶。休肝日を設ける。読書。中沢新一『チベットのモーツァルト』(講談社学術文庫)を読む。昨年末に「Amazon」経由で取り寄せた本書の奥付を確認すると2023年8月2日に第18刷発行とある。地味に読まれ続けているらしい。

Saturday, January 6

アルコールを口に含まず眠ると翌朝目覚めがよいので、酒は健康に悪いことが明白である。洗濯。朝食、茹で卵、グリーンリーフと紫玉葱とトマトのサラダ、人参のマリネ、農民パンとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。小野法師丸がおよそ8年ぶりに「デイリーポータルZ」に記事を寄せている [1]。むかしと変わらず写真に添えられたキャプションが秀逸。

午前7時すぎに自宅を出発し、横須賀線に乗って逗子駅で下車。駅前から京急バスに揺られて「神奈川県立近代美術館 葉山」を目指す。清々しい快晴でバスの窓からは富士山の姿が見える。美術館にて「100年前の未来:移動するモダニズム 1920–1930」を鑑賞。戦前日本におけるモダニズム美術の豊穣さを確認できる展覧会。図録を購入。美術館をあとにしてバスで葉山マリーナ近辺に移動し、午餐を予定している「LA MARÉE」の開店時刻まで、すぐ傍の系列店のカフェ「LES PÂTISSERIES LA MARÉE DE CHAYA」でカプチーノを飲んで待つ。読書。元旦から断続的に読み返している吉田健一『酒肴酒』(光文社文庫)。「LA MARÉE」で注文した昼ごはんは、じゃこと海藻の和風サラダ、鮪のツナマヨとメルバトースト、フレンチフライ、浅蜊と小蛤のボンゴレビアンコ、大根のベニエ。スパークリングワインと赤ワインを飲む。

洋食は食べものが酒を呼び、酒が食べものに答える仕組みになっていて、その酔い心地には格別なものがある。(吉田健一「舌鼓ところどころ」『酒肴酒』光文社文庫、p.118)

去年インターネット上で知った小ネタとして、かつて日本テレビで放送していた「金曜ロードショー」のオープニング映像は、一見いかにも外国で撮影された風のイメージだが、実のところ撮影地は葉山で「LA MARÉE」の外観も映っており、さらには海辺に佇む後ろ姿の男性を演じているのは笑福亭鶴瓶だという話には、吃驚した。

季節外れの暖かさ。横須賀線で逗子駅から鎌倉駅に移動。鎌倉駅周辺は大変賑わっている。満席で入れないだろうと思って訪れた「スターバックスコーヒー鎌倉御成町店」は予想通り満席だったので引き返して「たらば書房」を覗く。「鶴岡八幡宮」を目指して歩くも結構な人出で神社の階段前には行列ができているので、ここでも引き返して鎌倉駅方面に戻る。途中「Romi-Unie Confiture」でジャムを買って、「豊島屋洋菓子舗 置石」でソフトクリームを食べる。帰りは湘南新宿ラインでグリーン車に乗って東京に戻る。夕食、「sakana bacca」の雲丹・いくら・蟹丼、茗荷と若布の味噌汁、奈良漬とすぐき漬。「キリンクラシックラガー」、「丸八製茶場」の加賀棒茶を飲む。YouTubeで「山田五郎オトナの教養講座」を視聴。今年の干支である龍をめぐる蘊蓄に耳を傾ける。

Sunday, January 7

朝食、七草粥、生卵、茗荷の味噌汁、すぐき漬、番茶。自転車に乗って外出。冷たい風が吹きつける冬らしい寒さ。西小山の「GLOBE COFFEE」にて珈琲とチーズケーキで休憩。会計時に珈琲豆を買う。欧風スパイスカレー専門店「小さかった女」にて昼食。チキン&キーマカレーと珈琲。不動前駅近辺まで自転車で向かって「フラヌール書店」で本を物色する。今年最初の書店訪問にて、山田稔『旅のなかの旅』(白水Uブックス)、青柳いづみこ『ドビュッシー 想念のエクトプラズム』(中公文庫)、澤直哉『架空線』(港の人)、『クワイエット・コーナー 心を静める音楽集』(山本勇樹/監修、シンコーミュージック・エンタテイメント)、江國香織『シェニール織とか黄肉のメロンとか』(角川春樹事務所)、『TRANSIT』No.62(特集:コーカサスが呼んでいる! ジョージア/アルメニア/アゼルバイジャン、講談社)を買う。書籍5冊と雑誌1冊。洗足池駅付近に移動して「AOI COFFEE」にて休憩。カプチーノを飲む。夕方、近所のスーパーマーケットで食料品を調達。夕食、牛豚挽肉と小松菜と小葱の蒸し餃子、キムチ、卵と若布の中華風スープ。「日盛 紹興老酒」を飲む。

  1. デイリーポータルZ:小野法師丸「財布バリバリ伝説」 []