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Monday, December 25

朝食、半熟卵、ベビーリーフとミニトマトのサラダ、ハム、人参のマリネ、農民パンとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、お弁当。夕食、五反田の「おにやんま」にて肉うどん。きのうは聖誕祭に託けた御馳走が食卓に並んだが、本日は穏当な食生活に戻る。

昨晩、NHKのニュースサイト「NHK NEWS WEB」を見て驚いたのは、「高島屋」がクリスマスに合わせて予約販売したケーキが大崩壊した状態で客先に届いたという話題がトップニュースに掲げられていたことで、5,400円支払って購入したケーキが無惨なかたちで手元に出現したとなれば当事者たちにとっては問題ではあろうが、そのほかのニュースを追いやってまでの重要さを誇るものなのかと吃驚する。この「事故」に関するインターネット上に溢れる意見を瞥見すると、物流業界の「2024年問題」につなげて社会的問題として語る所説まであって、「論」はいくらでも立てられるものだと呆れながらも感心する。

朝は冬晴れで冷えた空気が気持ちよい。学校は冬休みに突入したようで通勤電車から制服姿が消える。退勤後自宅に戻り郵便受けを確認すると筑摩書房のPR誌『ちくま』が届いている。現在の1,000円から1,100円に年間購読料を改定する詫びのお知らせが挟まれていたが、年間購読料を1,000円から2,000円の倍に値上げした東京大学出版会のPR誌『UP』のことを想起すれば、100円の増価など誤差の範疇である。「ギネス」とピスタチオをお供に『ちくま』1月号に目をとおす。蓮實重彦の連載「些事にこだわり」を読むと、「久方ぶりに烈火のごとく怒ったのだが、その憤怒が快いあれこれのことを思い出させてくれたので、怒ることも無駄ではないと思い知った最近の体験について」とのやたらに長い表題とともに綴られるのは、今年開催された小津安二郎をめぐるシンポジウムにおける「そのシンポジウムを司会したのは小津についてはまったくもって無知としか思われないJ-WAVEのラジオ・パーソナリティの女性」つまりはクリス智子に対する痛罵で、それに引き換え小津安二郎生誕百年を祝した自身の企画したシンポジウムがいかに素晴らしいものだったかを語るという、言説内容の妥当性を傍に置いて形式だけを吸い上げてみると近年話題の「キレる老人」と近似的なものがなくもないと思ったりするのだが、そんな指摘をすると映画批評界の大立者はまた烈火のごとく怒りそうである。

Tuesday, December 26

朝食、半熟卵、ベビースピナッチと紫玉葱とミニトマトのサラダ、ハム、人参のマリネ、農民パンとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、お弁当。夕食、白米、絹ごし豆腐と若布の味噌汁、鯵の干物、納豆、奈良漬、胡瓜とトマトと海蘊の酢の物。「エチゴビール」の「のんびりふんわり白ビール」を飲む。

冬晴れの青空をのぞみながらの出勤。読書。堀江敏幸の「回送電車」シリーズをまとめて読み返している。堀江敏幸『時計まわりで迂回すること 回送電車Ⅴ』(中央公論新社)を読む。近刊の『中継地にて 回送電車Ⅵ』は来年初頭の読書にもち越す予定。今年一年間の書籍代を振り返るとおよそ20万円強で、過去の収支状況を確認するとここ数年はほぼ横ばいの状態がつづいている。世の中にはもっと本を買う人はたくさんいるので、世間一般の書籍購入費よりは多いと思われるが書痴と呼べるようなレベルでは到底ない程度と云えようか。

Wednesday, December 27

朝食、半熟卵、ベビースピナッチと紫玉葱とミニトマトのサラダ、ベーコン、人参のマリネ、農民パンとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。昼食、お弁当。夕食、白米、絹ごし豆腐と若布の味噌汁、肉じゃが(豚しゃぶしゃぶ肉、馬鈴薯、人参、玉葱、白滝、さやいんげん)、胡瓜と海蘊の酢の物。「琥珀ヱビスプレミアムアンバー」を飲む。

今年の締めの読書として選んだのは谷崎潤一郎『細雪』(新潮文庫)。昨晩から本日にかけて上巻を読み終えて中巻に入る。

それからもう一度清涼寺の門前に出、釈迦堂前の停留所から愛宕電車で嵐山に戻り、三度渡月橋の北詰に来て一と休みした後、タキシーを拾って平安神宮に向かった。(「上巻」、p.150)

嵐山から平安神宮までタクシーで向かうって距離が遠くないだろうかと思ってGoogleマップで調べてみたところ、現代の道路交通事情を踏まえてのGoogleの回答でも自動車を利用しての移動時間は30分程度で、そこまで長距離というわけでなく、京都の街の密集感を思う。

Thursday, December 28

朝食、目玉焼き、ベビースピナッチと紫玉葱とミニトマトのサラダ、ベーコン、人参のマリネ、農民パンとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。今年最後の出勤。電車内は普段よりは空いている。本日の読書は谷崎潤一郎『細雪』(新潮文庫)のつづき。中巻の後半あたりで四女の妙子が見つけた鮨屋の話がでてきたので、昼食は鮨にしようと思い至って会社近くの鮨屋の暖簾をくぐる。定時過ぎに会社を出て「QBハウス」で髪を切ってから帰宅する。夕食、鶏肉と九条葱を添えた温かい蕎麦。「キリンクラシックラガー」を飲む。「黒松剣菱」の熱燗を飲みながらradikoのタイムフリー機能で「沢木耕太郎 MIDNIGHT EXPRESS 天涯へ 2023」(J-WAVE)を聴く。

Friday, December 29

本日から年末年始休暇だが、仕事の残務処理を片付けながら部屋の掃除と食事の支度。朝食、目玉焼き、ベビースピナッチと紫玉葱とミニトマトのサラダ、ベーコン、人参のマリネ、農民パンとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。アイロンがけ。近所のスーパーマーケットに年末年始に食べる食材の調達に向かう。31日に賞味期限を迎えてしまう正月料理の品が並んでいるのを毎年不思議に思っているが、大晦日の晩に御節を食べる習慣をもつ地域の出身者のことが考慮されているのだろうか。昼食、茹で卵と九条葱を添えた「negombo33」のポークビンダルー。「六曜社珈琲店」の豆で挽いた珈琲をお供に読書。堀江敏幸/角田光代『私的読食録』(新潮文庫)を読む。

飲み会の場と飲み屋とはちがう。前者は必ずしも飲みたいひとが行くところではなく、単独で行動しうる空間でもない。それに対して後者には、「酒が飲みたい人間に酒を飲ませ、料理が食べたいものに料理を出すだけの店」が成り立ちうる。他に客がいなくても、しずかに飲み、つまむ。いきなり発泡酒を強要されることもない。飲み会の場とは、ある意味で偽の他者たちの集まりなのだ。彼らは容易に相手を「理解」する。酔うほどに親密の度が増し、それが深まるように思い、「理解」したことに酔っている自分に酔っているのではないかとは疑わない。引き合い引かれ合うことと「理解」することは、等しくないはずなのに。(堀江敏幸「間違いのない乗り方」、p.237)

今年は会社の納会もなく、仕事がらみの忘年会の出席を強いられることもなく、きわめて平穏に師走が暮れてゆく。人徳のなさをオーラとして身体じゅうから発散している影響からなのか、義理的に飲み会に誘われることも一切なくて喜ばしいかぎり。断る手間が省ける。しかし日常生活では充実した食べて飲んでが頻発したため、それなりの胃薬と頭痛薬の消費量となってしまう。忘年会にまったく参加していないのに飲食過多の12月。

今年最後の外食のため、山手線に乗って混み合う渋谷駅下車。暖冬。「渋谷ヒカリエ」と「渋谷スクランブルスクエア」を彷徨く。「IDÉE SHOP VARIÉTÉ」でバブーシュを買う。銀座線で渋谷駅から表参道駅に移動し、「ENCOUNTER Madu Aoyama」にて食器を買う。晩餐は南青山の「CICADA」にて。フェタチーズとカラマタオリーブのギリシャ風サラダ、カリフラワーのフリット アンチョビガーリックアイオリ、茄子とスパイシービーフのムサカ、メカジキのグリル ピンクレンズ豆のラグーソースを食べる。ギリシャのロゼと赤ワイン、イタリアのオレンジワインを飲む。

Saturday, December 30

そして暖冬はつづく。朝食、生卵と白胡麻を添えた白粥、絹ごし豆腐と九条葱の味噌汁、奈良漬、焙じ茶。部屋の掃除と洗濯。近所の花屋で食卓に飾る正月向けの花を買う。スーパーマーケットとドラッグストアで買い物。一旦帰宅後、自転車に乗って今年最後の消費活動に赴く。九品仏の「Comme’N TOKYO」、田園調布の「ナショナル田園」「Precce」「Metzgerei SASAKI」「SAVEUR」、久が原の「秋庭商店」を巡る。昼食は「Comme’N TOKYO」で購入したクロックムッシュ、生ハムとカマンベールのサンドウィッチ、オリーブとチーズのパン、あんバンズ、「ROKUMEI COFFEE」の豆で淹れた珈琲。アイロンがけ。夕方、「ギネス」を飲みながら読書。谷崎潤一郎『細雪』(新潮文庫)の下巻を読みはじめる。夕食、すき焼き(牛肉、春菊、焼き豆腐、白滝、長葱)、奈良漬。「エチゴビール」の「のんびりふんわり白ビール」を飲む。

Sunday, December 31

大晦日。雨。朝食、茹で卵、ベビーリーフと紫玉葱とトマトのサラダ、ベーコン、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。「SAVEUR」のケーキと「ROKUMEI COFFEE」の豆で挽いた珈琲をお供に自宅で映画鑑賞。オタール・イオセリアーニ追悼上映。『歌うつぐみがおりました』(オタール・イオセリアーニ/監督、1970年)を見る。映画を見終えた頃に雨があがって窓から光が差し込む。昼食、ほうれん草のペペロンチーノ。読書。谷崎潤一郎『細雪』(新潮文庫)の下巻を読む。今年読んだ本の冊数を数えてみたところ雑誌や写真集や図録を除くと252冊。新刊本もそれなりに読んだが、大江健三郎とW・G・ゼーバルトと夏目漱石をまとめて再読できたのが印象に残る。午後はふたたび「SAVEUR」のケーキと珈琲をお供に映画鑑賞。『ピアニストを撃て』(フランソワ・トリュフォー/監督、1960年)を見る。今年見た映画は53本。夕方、京都の「仔鹿」で買ったオーストリアの白ワイン、「AND THE FRIET」でドライフリットでアペリティフ。御節の準備。夕食、合鴨と長葱と蒲鉾と生姜を添えた温かい蕎麦、卵焼きと鮭の昆布巻き。「琥珀ヱビスプレミアムアンバー」を飲む。