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Monday, October 2

八月下旬にCOVID-19に感染して以降、体内からウイルスが完全に放出されていないようで、咳と鼻詰まりと鼻水の三拍子が定期的に巡回する所謂「後遺症」がつづいており、文字どおりの意味で「with コロナ」を実践する日々を送っている。市販薬として販売されている「クラシエ」の漢方薬「麦門冬湯」なり「葛根湯加川芎辛夷」なりを服用してみるものの改善する様子はまるでなく、中国の武漢発祥のウイルスのくせに漢方薬が役に立たないとは中華圏も落ちたものだと身勝手な侮蔑的眼差しを投げかけている毎日だが、つぎにCOVID-19に感染する頃には治っているだろうと長期的に達観した態度でいるよりほかない。そんな個人的な事情はさておき本日の読書は、昨日神保町の「東京堂書店」で購入した尾身茂『1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録』(日経BP)。尾身茂らが「卒業論文」と称した専門家会議構成員による提言書の出るあたりまで、つまりは2020年6月下旬頃までの動向は、河合香織が取材してまとめた『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(岩波書店)に詳しく書かれており、そちらをなぞるかたちで尾身茂の記述に目新しい発見はなかったのだが、それ以降の出口戦略に至るまでの内部事情を知りたいと思ったので興味ぶかく読む。夕食、鶏ハムとキャベツを添えた瀬戸内塩レモンラーメン。「サッポロビール黒ラベル」を飲む。

Tuesday, October 3

読書界隈で話題となっていたらしい、小野寺拓也+田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波書店)を読む。少し前に「青山ブックセンター」で購入したもの。

筆者(田野)が「30年くらいナチスを研究してるけどナチスの政策で肯定できるとこないっすよ」とツイートしたところ、これに膨大な数の批判が寄せられて「炎上」状態になったのである。数百に及ぶ返信のなかで非常に多かったのは、ナチスの「良い政策」として失業対策の成功、アウトバーンの建設、フォルクスワーゲンの開発、歓喜力行団の旅行事業などの「反例」を挙げた意見で、「30年も研究していてそんなことも知らないのか」と言わんばかりの嘲笑的なコメントも多数あった。
もちろんナチズム研究者である筆者がそれらの政策のことを知らないはずはなく、上記のツイートは、それでもやはり肯定できるところはないという専門家としての評価を示したものである。実際、ナチスの個々の政策を詳細に検討していくと、一見先進的に見える政策も様々なまやかしや不正、搾取や略奪と結び付いていたことは明白であり、本書で説明してきた通り、近年の研究ではそこにナチズムの犯罪的な本質を認める見方が定説化している。

生半可な知識を振りまわす自称中立のポンコツ相対主義者が沸いてくる問題を思う。夕食、焼き餃子、鶏の唐揚げ、胡瓜の漬物。「サントリー プレミアムモルツ」を飲む。

Wednesday, October 4

読書。最相葉月『中井久夫 人と仕事』(みすず書房)を読む。ふと思い立って会社近くの病院でインフルエンザの予防接種を予約して帰りがけにワクチンを注射する。新型コロナウイルスワクチンの激しすぎる副反応に較べれば、インフルエンザワクチンは拍子抜けするほど穏当である。ところで、インフルエンザの予防接種を受ける前後で飲酒をしてよいかをインターネットで調べてみると、医療関係者による回答の大半は多少飲んでも影響はないが深酒はしないほうがよいとある。飲んでもよいが深酒はするな。予防接種に関係なく遵守すべき一般的な助言になっている。

Thursday, October 5

どうなることかと思っていた夏の暑さがようやく落ち着いてちゃんと秋が来た。夕食、ビーフストロガノフ。「アサヒ生ビール マルエフ」を飲む。各種報道を瞥見するとジャニーズ事務所をめぐる問題が大盛りあがりのようだが、このたび社長や副社長に就任した芸能人らは企業体に関する十全な知的訓練を受けているわけでもなかろうから、「企業の社会的責任」に呼応する対応などできるわけがないと蔑視的な眼差しを向けてしまう欲望から逃れられないのだが、しかしそうはいっても彼らを支援している周囲の関係者が用心深く防波堤を築きあげていくのだろう邪推していたところ、まさかの関係者を含めて稚拙な人揃いなのかもしれないと想像を逞しくしてしまうプレスリリースを前にして、痺れる。

弊社は、会見前々日に本件について会見を委託したコンサルティング会社と打ち合わせをいたしました。
その時にコンサルティング会社がメディアのリストを持ってこられて、そこにNGと言う文字があったので、井ノ原が、「これどういう意味ですか?絶対当てないとダメですよ」と言いました。その時に会見を委託したコンサルティング会社の方は、では当てるようにします。と答えました。

日記だろうか。

Friday, October 6

午前中は久方ぶりの在宅勤務で、午後は有給休暇を取得する。大手町で待ち合わせだったので、軽い気持ちで「パレスホテル東京」のラウンジに入ったら珈琲一杯の値段が1700円もする。会計時にレシートを見たらさらにサービス料として255円が上乗せされていて、「ドトール」のブレンドコーヒーSサイズよりサービス料のほうが高い。高級ホテル価格。千代田線と銀座線を乗り継いで外苑前駅下車。小笠原美環の個展「Himmel」(MAHO KUBOTA GALLERY)を見る。以前の麻布警察署があった跡地近辺までタクシーで移動して、「complex665」と「ピラミデビル」のギャラリー巡り。ソピアップ・ピッチ 「すべては癒しの種となる」(小山登美夫ギャラリー六本木)、小林正人「自由について」(シュウゴアーツ)、野口里佳「虹」(タカ・イシイギャラリー)、ジャン=フィリップ・デローム 「visage(s)」(ギャラリーペロタン東京)、「清家清:しつらえとしての畳の台」(GALLERY – SIGN TOKYO)、松谷武判「Matsutani Hardedge 1970’s」(TARO NASU)、ローニン・デ・フーデ「ASAKUSA − Ode to Edo」(ZEN FOTO GALLERY)を見る。六本木交差点でタクシーを拾って移動。六本木は簡単にタクシーを捕まえられる街。しかし最近ますます視力が怪しくなっているので、遠くからでは「空車」なのか「賃走」なのか「迎車」なのか「回送」なのかわからず、表示を色分けしてほしい。「明治記念館」に到着。本日をもって今年の営業が終了する「ビアテラス鶺鴒」に滑り込む。前回訪れたときはTシャツでも暑すぎる天気だったが、今回は長袖にジャケットを羽織った状態でも空気はひんやりする。昨今の東京の極端すぎる天候の下においては、ビアガーデンを訪問するちょうどいいタイミングが難しい。

Saturday, October 7

秋晴れ。京浜東北線に乗って桜木町駅で下車。駅前の「スターバックス」でカプチーノを飲みながらロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」が動き出すのを待つ。ロープウェイに乗って運河パークまで移動。「横浜赤レンガ倉庫」の前を通るとオクトーバーフェストの開始を待つ行列ができている。海沿いを歩いて山下公園まで。「ダイヤモンド・プリンセス」号が大さん橋のターミナルに停泊しているのが見える。「ホテルニューグランド」に赴いて建物内部を少し見学してから、午餐としてホテル内のイタリア料理の店「il giardino」にて、前菜、パスタ、肉料理、デザート、珈琲のコースメニューを注文する。白ワインを飲む。みなとみらい線で元町・中華街駅から新高島駅に移動。「北島敬三 UNTITLED RECORDS:REVISITED+PORTRAITS」(BankART Station)を見学する。帰途に就くまでの道すがら、横浜駅傍の「NEWoMan」に立ち寄り「2416MARKET」で買いもの。東横線に乗って自由が丘駅下車。「成城石井」で調味料を買って「OZ bread」でパンを買って「WONDER FLOWER」で花を買う。夕食、鱈の刺身と小葱を添えた茶漬け、白菜の漬物。「キリンクラシックラガー」を飲む。「山田五郎オトナの教養講座」のキュビスムの回を視聴する。

Sunday, October 8

曇天。朝食、半熟卵、ソーセージとマスタード、玉葱のソテー、キャロットラペ、トマトと紫玉葱とサニーレタスのサラダ、フォンデュラク、ヨーグルト、珈琲。掃除と洗濯。近所のドラッグストアとスーパーマーケットで買いもの。クリーニングにワイシャツを出す。昼食、白米、絹ごし豆腐と小松菜の味噌汁、鮪の刺身、大根のつまと貝割れ、野沢菜、番茶。ラジオを聴きながら「パレスホテル東京 スイーツ&デリ」の洋菓子と珈琲でお茶の時間。夕方、シャインマスカットと「サドヤ」の白ワインをお供に春夏コレクションの模様をYouTubeで視聴する。「Dries van Noten」「Dior」「Hermès」「Prada」「Loewe」「Saint Laurent」「Mame Kurogouchi」「Comme des Garçons」「Chanel」「Louis Vuitton」のランウェイを見る。パリは暑かったらしくギャラリーがインビテーションの厚紙と思われるものをしきりにパタパタ煽いでいる光景が映る。夕食、白米、蓮根と小松菜の味噌汁、蒸し南瓜、鰤と大根の煮物、小葱と蛍烏賊の沖漬け。突如寒くなったので日本酒(黒松剣菱)の熱燗を飲む。