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Monday, June 12

『HERE TODAY』(岡本仁、芸術新聞社)を読む。

岡本「自分は割とテキスト主体で生きてきたので、「こういうことが書きたい」っていうことが先にあって、そのための写真を撮る。前はプロに撮ってもらってたけど、iPhoneを手にしてからは自分で撮る機会が増えて、自分で撮りなさいって言われたりするし、写真家と組んで自分が撮ってもらいたいものを伝えるっていう機会も減って自分で撮ってきてたから。そういう順番でインスタをやっているわけで、そこからテキストをなくしちゃったら何も成立しないのかなって思ってたんです。最初にこの本の話をもらった時はそう思っていた。でも、写真を選んでいく段階で、粗選びを担当の編集さんにしてもらって、それが送られてきてプリントアウトしたらそれにはキャプションが付いていないから、付いてないほうが面白いなってちょっと思ったんです。何かそういうことをやってみたくなったんです。で、改めて皆さんに「これは写真ですか?」って、「この写真はどうですか?」って見てもらいたいと思ったんですかね。
(p.116 大森克己との対談より)

『いい匂いのする方へ』(曽我部恵一、光文社)を読む。

レコードを聴きながら想うのは、まず自分の人生のこと。そして次に、そのレコードで演奏しているその人の人生のこと。(p.50)

Saturday, June 17





よい天気。DIC川村記念美術館で「芸術家たちの南仏」を観る。美術館のサイトでも紹介されていた、キスリングの《風景、パリーニース間の汽車》が入り口で迎えてくれる。キスリングが描く対象物として“列車”というのはとても新鮮。こういう絵も描いていたんだなあ。

上野では「マティス展」が人気だけれど、ここでもマティスの絵が見られる。この展覧会はチラシのビジュアルも綺麗でとてもセンスが良い。図録のデザインもチラシと統一されていたので図録も買う。テキストのボリュームがたっぷりあるのでこれからじっくり読もう。

美術館併設のレストラン、ベルヴェデーレにてコースランチと白ワイン。このレストランはわたしはすごく美味しいと思っている。濃厚すぎず、それでいてしっかりした味が楽しめる。品がいいお料理だなと思うのでここは推していきたい。近くにあったらハレの日に来たいレストランだ。デザートも重すぎなくてよいな、と思いつつ満足して食べ終え、残りの展示を観終えて少しだけ散歩して紫陽花を眺めて美術館をあとにする。

JR佐倉駅から飯田橋まで1時間ほどかけて移動。駅舎が綺麗になっているなと思ったら、2020年にリニューアルされたらしい。CANAL CAFEでオレンジジュースを飲んでひとやすみ。波打つ水面と青い空とにぎわう人々の様子を眺め、吹き渡る風と明るい陽射しを浴びて夫が「夏至が近づいているこの感じ!」と楽しげに言った。

東京日仏学院で「サンドリーヌ・エルベルグ Les mondes cosmiques 宇宙の世界」、ミヅマアートギャラリーで「荻野夕奈 Silent Tales」を観る。荻野夕奈の絵は今回ミヅマのサイトを見ていて初めて知ったのだけど、とても惹かれた。少しフランシス・ベーコンを彷彿とさせるところがある。水道橋に移動。SUPER LABO STORE TOKYOにて「石内都 Naked Rose」を観る。東京堂書店に立ち寄って少し棚を眺め、2冊購入。

帰宅して、夜は、RF1で買ってきたサラダと春巻。山田五郎のYouTube番組を見て、「チンダル現象」という言葉を初めて知る。あの現象に名前がついていたとは!

Sunday, June 18





薄曇り。今日も外出。逗子へ。海岸沿いを走るバスの中では、学生男子が座席の下に定期券を落としてしまったことに気づき、降車時にあわてて探したところ見つかったので乗客たちが「よかったわね〜」と口々に言ったり、すれすれに止まった対向車とあわや接触かと思いきやぎりぎりで回避した運転手に皆で拍手を送り、運転手が何か言ったことに対して(ボケたのだろうか? 聞こえなかったので残念!)皆で爆笑したりして、なんなのこのバスの一体感は。妙なグルーブがあった。

神奈川県立近代美術館の葉山館にて「野崎道雄コレクション受贈記念 見えないもの、見たいこころ」を観る。このたび眼科医の野崎道雄氏からゲルハルト・リヒター、ジグマー・ポルケといった現代美術の収集品が多数美術館に寄贈されたとのことで、そのお披露目展示。ジグマー・ポルケの作品は昔から常々面白いなと思っているので、彼の作品が見られるのは嬉しい。ジグマー・ポルケについての評論もあまり目にすることがないので、誰か書いてほしい。

お昼はLA MARÉEのテラスの突端で海を見ながらパテドカンパーニュ、サガナキ、フレンチフライ、グリーンサラダ、ムール貝の白ワイン蒸し、山形だしのペペロンチーノ、白ワイン。LA MARÉE DE CHAYAに移動して、デザートにケーキと珈琲。ここ数年、外出先で夫とゆっくりお茶をする機会が減ってしまったような気がしていたので、久しぶりにこういう時間が持てて嬉しかった。行列のMARLOWEに根気よく並んでプリンを買い、逗子駅に戻るバスに乗ったらぎゅうぎゅう詰めで久しぶりに地獄をみた。コロナ禍以降初めて“自分の肩の上で他人にスマホを操作される”事態を経験し、懐かしさすらおぼえたが、やっぱりあれはやられると本当にムッとするわよね。気を取り直して駅のそばの、古本イサドととら堂に立ち寄り、ついうっかり5冊も買ってしまう。

帰京。夜は、茄子とピーマンとベーコンのパスタ、MARLOWEのプリン、ビール。