655

Monday, May 15

雨。夕食、かぶとかぶの葉とベーコンのペペロンチーノ。サッポロビールの「ホワイトベルグ」を飲む。「新ジャンル」だとか「第三のビール」だとか「リキュール(発泡性)」だとかで呼称される栄枯盛衰の激しいジャンルにおいてわりと息が長く販売されつづけている「ホワイトベルグ」の登場年月を確認すると2014年5月とのこと。そのあと古今東西のさまざまな麦酒を飲むことになるのでもはや驚きはないが、はじめて飲んだときはベルギービール風の口当たりのよさに感心した記憶がある。夜、いま一番熱心に聴いているかもしれないラジオ番組「宮治淳一のラジオ名盤アワー」(ラジオ日本)を聴く。読書。河合香織『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(岩波書店)を読み返してみて、COVID-19の流行初期が遠い昔のことのように思えてくるのは、このたびのウイルスの特性として無症状者が感染を拡大させる恐れがあるという現在では人口に膾炙した話が、国民がパニックを惹き起こす可能性があるとして伏せされていたことがある。2020年3月、北海道の緊急事態宣言を受けての専門家会議による提言では、「無症状」の文言を入れるか入れないかで尾身茂と厚生労働省の紆余曲折の議論があり、最終的には北海道知事からの要望を聞き入れるかたちで削除したとの事実が語られる。

もしも厚労省からの要望だけであったら、説得を試み続けたであろう。だが、現場からやめてほしいという声が強くあるまま強行突破すると、専門家と自治体との信頼関係が崩れてしまう。そこまでして無症状を書く価値があるのかと尾身は自問した。
「国も大事だが、前線に立つキープレーヤーとなるのは知事たちだ。専門家というのは自分たちの意向を無視する暴走集団だと思われては、これからの闘いがうまくいかなかくなる。信頼関係のない相手の言うことなんて、聞かなくなるものだ」
医学、サイエンスの問題を超えて、公衆衛生のマネジメントとして、今回は「無症状」を削除しようと判断した。こうした「判断」をすることが、この専門家会議の中での自分の役割だと尾身を捉えていた。(p.55)

現時点からみれば、尾身茂や厚労省や北海道知事の判断を批判することは容易いかもしれないが、それは所詮後知恵というものだろう。しかし、この無症状者が感染させるという事実こそがその後の「公衆衛生のマネジメント」を厄介なものにしていると思われる。いまだ燻りつづけるマスク着用をめぐる喧喧諤諤の議論も無症状者の扱いをめぐっての立場の違いだと要約することができるし、「ユニバーサルマスキング」なる考え方もここからでてくる。個人的にはユニバーサルマスキングは過剰な公衆衛生だと思うし実生活上もそのように振る舞っているが、正反対に考える人びとがいることは承知しておりその態度を尊重もする。しかし尊重しても共鳴する気はないものだから、主張はどこまでも平行線でわかり合えることはない。わかり合えることはないので「個人の判断」という一見無責任にみえるかもしれない落としどころに着地したともいえるが、個々人が勝手に振る舞っていては公衆衛生として成立しないものだから公衆衛生重視派からは不満がでる。一方でリベラリズムは毀損される。議論が綺麗に集結することはなさそうで、公衆衛生とリベラリズムの相性の悪さが露呈する。

Tuesday, May 16

ジャニー喜多川による性的虐待疑惑は『噂の真相』読者には旧聞に属する話だと思うが、時が流れて社会問題化する日が到来するとは感慨深いものがある。読書。先週から読んでいる若桑みどり『クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国』(集英社文庫)。上下巻ある長い本でようやく上巻の最後まで辿り着く。夕食、つくりすぎた常備菜を消化するために冷蔵庫に仕舞われた「野田琺瑯」の保存容器から鶏肉の酒蒸しと人参の煮物とひじきの煮物を蒸籠で温め直し、あわせてかぶと小松菜の味噌汁をつくる。「麦とホップ」を飲む。細野晴臣のラジオ番組「Daisy Holiday!」を聴く。レギュラーメンバーであるコシミハルと岡田崇が登場。レギュラーメンバーのはずなのにここ数年出演回数が少なすぎるのでもっと出てほしい。しばしば登場する水原希子と水原佑果の話より、コシミハルと岡田崇の話のほうが聴きたい。

Wednesday, May 17

梅雨のような天候がつづいた後は、梅雨明けのような快晴となる。読書。櫻井芳雄『まちがえる脳』(岩波新書)を読む。夕食、茹で卵とトマトと胡瓜とハムと大葉とキムチを添えた冷やし中華。「キリンクラシックラガー」を飲む。

Thursday, May 18

新品の革靴を履いた初回は足の甲が必ず激痛に見舞われ絆創膏の出番となる。革靴における革が柔らかくなって馴染むまで足の甲が痛い問題については、「そのうち慣れる」以外の最適な解決がいまだ見つけられずにいる。残業。白米、人参とかぶと玉葱とわかめの味噌汁、豚肉と玉葱の炒め物、フリルレタスのサラダ、キムチ、ひじきと厚揚げと人参の煮物。「ヱビス サマーエール」を飲む。

Friday, May 19

午後から嵐のような雨が降る。梅雨のような天気のあとは、梅雨明けのような快晴で、そして嵐のような雨が降るということは、つぎは台風だろうか。読書。若桑みどり『クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国』(集英社文庫)の下巻を読む。夕食、小葱と鱈子のパスタ。「ヱビス プレミアムエール」を飲む。YouTubeの「哲学の劇場」と「山田五郎オトナの教養講座」を視聴。

Saturday, May 20

雨。部屋の掃除。朝食後、アイロンがけ、靴磨き。珈琲と「六花亭」のマルセイバターケーキ。宮島の「伊都岐珈琲」で購入した豆を挽く。昼食、キーマカレー。映画鑑賞。『都市とモードのビデオノート』(ヴィム・ヴェンダース/監督、1989年)を見る。雨が止んだところで近所のスーパーマーケットで買いもの。クローゼットの大掃除。夕食、白米、絹ごし豆腐とほうれん草の味噌汁、鰹の刺身、鯵のたたき、すぐき漬け。「キリンクラシックラガー」を飲む。

Sunday, May 21

横浜逍遥。みなとみらい線の元町・中華街駅で下車し、港の見える丘公園に出向いて神奈川近代文学館にて「小津安二郎展」を見学する。図録を購入。センスのよい食事処として改装された館内併設の店舗「鮨喫茶すすす」にて昼食を摂る。「岡本かの子の手毬鮨」と小津安二郎展に因んだダイヤ菊とローズシロップと玄米緑茶による期間限定カクテル「Rose mum」を注文。食後、中華街に移動して「公生和」でフカヒレまんと青島ビールを買って食べ歩き。山下公園を少し散歩してからタクシーで横浜駅まで移動して、ルミネ横浜を遊弋。「Traditional Weatherwear」で傘を買って「UNITED ARROWS」で服を買う。NEWoMan横浜に移動し、「蕎麦 蘇枋」にて早めの夕食。出汁巻き卵、鶏の唐揚げ、合鴨せいろ、キーズピルスナー。