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Monday, March 13

朝の読書。読みさしの本田晃子『都市を上映せよ ソ連映画が築いたスターリニズムの建築空間』(東京大学出版会)を最後まで。マスク着用をめぐる光景は肌感覚では先週までと何も変わらずほぼ全員が屋外でも屋内でもマスクをしている。感染症対策を重視する人びとで溢れかえっているのか、世間との同調を優先する集団主義的な心性がこびりついているだけなのか、どちらかは不明だが、惰性の力学の強さは感じる。夕食、鶏肉と長葱を添えた温かい蕎麦。「キリンクラシックラガー」を飲む。先週本棚の整理をしながら大江健三郎は最近どうしているのだろうと思っていたところに逝去の報せが届く。その小説作品を読めば一目瞭然ではあるが大江健三郎は一筋縄ではいかない厄介な作家なので、俗耳に入り易い大江健三郎のイメージから遠く離れて、戦後民主主義者の皮を被った彼の底意地の悪さについてよく吟味したい。

Tuesday, March 14

気温がやや低下。薄手のコートを羽織っての出勤。読書。ここ数年の柄谷行人や蓮實重彦の本が続々文庫化されてゆく様子を見ていると、どうしても「終活」の語彙が頭に浮かんできてしまうのだが、それはさておき先日書店で購入した蓮實重彦『齟齬の誘惑』(講談社学術文庫)を読む。夕食、鶏肉と竹輪と長葱を添えた温かいうどん。「黒松剣菱」の熱燗を飲む。最近手に入れた本を消化する予定を変更して、大江健三郎レトロスペクティブ。本棚から抜き取った大江健三郎『芽むしり仔撃ち』(新潮文庫)を読む。陳建一死去の報せが届く。

Wednesday, March 15

読書。大江健三郎『芽むしり仔撃ち』(新潮文庫)を最後まで。大江健三郎の小説のタイトルは印象に残るものが多いが、本書はそのなかでも群を抜いていると思う。夕食、茹で卵と小葱と紫玉葱とミニトマトを添えたポークビンダルー。「プレミアムモルツ」を飲む。

Thursday, March 16

読書。大江健三郎『個人的な体験』(新潮文庫)を読む。夕食、「sakana bacca」のばらちらし、かぶとわかめのお吸いもの。「キリンクラシックラガー」を飲む。

Friday, March 17

残業。遅い夕食。白米、長葱とわかめの味噌汁、豚しゃぶしゃぶ肉と絹豆腐と紫玉葱と小葱と鰹節のサラダ。「キリンクラシックラガー」を飲む。

Saturday, March 18

朝食後、もはやライフワークと化している気がしなくもない本棚の整理。趣味は読書、以上に本の整理。終日雨模様。冬に逆戻りのような冷え込みでマフラーとコートを身にまとって外出。山手線に乗って渋谷駅まで。渋谷スクランブルスクエアの「REAL DRIP COFFEE No.12 by上島珈琲店」で珈琲を飲みながら読書。大江健三郎『みずから我が涙をぬぐいたまう』(講談社文芸文庫)を読む。渋谷ヒカリエに移動して昼食は「d47食堂」にて「富士吉田定食 吉田のうどんとすりだね」を食べる。渋谷から恵比寿に向かう。これまで体感として身体に染みついた山手線の渋谷駅ホームが変貌してしまって、ちゃんと確認しないと内回りと外回りを間違いそうになる。東京都写真美術館で「深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ」と「土門拳の古寺巡礼」を見学する。恵比寿ガーデンプレイスの三越撤退後の様子を初めて覗いて、「TODAY’S SPECIAL」と「WINE MARKET PARTY」と「ライフ」で買いもの。外国人が多いことが遠因なのかよくわからないが恵比寿の街は脱マスク派の勢いが結構凄くて、今後は地域によって傾向の違いなどが出てくるのだろうか。アトレ恵比寿の「Le Grenier a Pain」でバタールを買ってから帰宅。夕食、蛍烏賊と小葱とレモンのパスタ、チーズ、バタール、ルーマニアの赤ワイン。

Sunday, March 19

晴れ。山手線に乗って上野駅着。国立西洋美術館で「憧憬の地ブルターニュ モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」を見る。国内の美術館から取り寄せた作品が大半なのはコロナ禍が多分に影響していると思われるが、企画力をもって充実した展示になっている。昼食は店に到着した頃にはすでにほぼ満席の「上野精養軒」のレストランにてオムハヤシを食べる。上野の森美術館で「VOCA展2023 現代美術の展望 新しい平面の作家たち」を見学してから、「スターバックス」でカプチーノを買って咲き始めの桜を見ながら散歩する。かなりの人出を眺めながら「緩みの三連休」と攻撃された2020年の今頃のことを思い起こす。夕食、白米、しらす、絹ごし豆腐とほうれん草の味噌汁、鰹のたたき、大根のつま、貝の磯和え、「キリンクラシックラガー」、焙じ茶。