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Monday, March 6

曇天。朝早めに出勤して夜遅めに退勤する。読書。古本で買った米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)を読む。「山下達郎のサンデー・ソングブック」(TOKYO FM)に耳を傾けながら夕餉。白米、長葱とわかめの味噌汁、豚の角煮、煮卵、ほうれん草のお浸し、わかめと胡瓜の酢和え。「ヱビスビール」を飲む。

Tuesday, March 7

「ブックファースト」の新宿店がダイソーに侵食されて書店としての規模が縮小されると知る。都心から使える本屋が減ってゆく。読書。古本で買った幅健志『帝都ウィーンと列国会議 会議は踊る、されど進まず』(講談社学術文庫)を読む。夕食、牛肉と九条葱を添えた温かいうどん。「キリンクラシックラガー」を飲みながらラジオ。宮治淳一「ラジオ名盤アワー」(ラジオ日本)と細野晴臣「Daisy Holiday!」(InterFM)を聴く。

Wednesday, March 8

薄手の外套を羽織って出掛けるものの、天気予報の日中の気温を確認するともう今月はコート不要かもしれない。外はスギ花粉が盛大に飛散している春の気配。きのう届いた『UP』3月号(東京大学出版会)を読む。夕食は「ちよだ鮨」の持ち帰り寿司、長葱とわかめのお吸いもの。「ヱビスビール」を飲む。ジム・オルーク「FLAG RADIO」(α-STATION FM KYOTO)を聴く。ジム・オルークがラジオ番組をやっていることは随分前から知ってはいたが、数ヶ月前からようやく聴きはじめる。「前衛的」や「実験的」という使い古された修辞を用いるのはやや面映ゆいものの、しかしそう形容するしかない楽曲がジム・オルークの独特のイントネーションによる日本語とともにスピーカーから流れる。

Thursday, March 9

読書。武塙麻衣子『頭蓋骨のうら側』。日記zine。書き手は横浜市に在住のようだが、全体の雰囲気として醸しだしているのは中央線沿線的なるもの。高円寺や荻窪や吉祥寺や三鷹に居を構えなくとも中央線沿線的な生活を滲み出すことは可能であることがわかる。夕食、ミートソースパスタ、ハムと紫玉葱。「プレミアムモルツ」を飲む。YouTubeで「山田五郎オトナの教養講座」のウィリアム・ブレイクの回を見る。大江健三郎の『新しい人よ目覚めよ』について言及されていたので、本棚の大江作品がまとまっているあたりを物色する夜。

Friday, March 10

読書。訳文の明晰さに助けられはしたものの、久方ぶりに難しい本を読んだ感あふれるポール・ド・マン『読むことのアレゴリー』(土田知則/訳、講談社学術文庫)。夕食、海鮮丼(しめ鯖、鮪のたたき、生卵、海苔)、油揚げと長葱の味噌汁、数の子の松前漬け。「キリンクラシックラガー」を飲む。YouTubeで「哲学の劇場」を見る。吉川浩満の文章が早稲田大学人間科学部の入試問題に採用されたのを受けて、著者本人が問題を解くという企画。番組のコメント欄を見て、自著から早稲田大学教育学部の試験問題に採用された重田園江が、問題及び大学側の姿勢に対して強烈に抗議していることをいまさら知ったのだが、設問自体が成り立っていないのではないかとの疑義に対し、吉川浩満がじぶんの書き方が悪かったかもしれないと反省している一方、重田園江がストレートに批判している姿に、キャラクターの違いが見てとれる。

Saturday, March 11

晴れ。朝食後、ラジオを聴きながら部屋の掃除と本棚の整理。Chocolat & Akito「Everyday Story」(α-STATION FM KYOTO)、サラーム海上「ORIENTAL MUSIC SHOW」(J-WAVE)、小袋成彬「Flip Side Planet」(J-WAVE)、ゴンチチ「世界の快適音楽セレクション」(NHKFM)、畠山美由紀「Travelin’ Light」(Fm yokohama)。「横濱ハーバー」のダブルマロンと珈琲で休憩。珈琲豆は目黒の「Jubilee Coffee and Roaster」で購入したものを使う。昼食、あさりと帆立のパスタ。午後は近所の図書館とドラッグストアに立ち寄ってから自転車に乗って自由が丘へ。春の陽気。「TODAY’S SPECIAL」で箸を買って「IDÉE SHOP」でクッションカバーを買う。「MILKLAND HOKKAIDO→TOKYO」に立ち寄ってソフトクリームを食べてから、「OZ bread」でパンドミを買って「WONDER FLOWER」でミモザを買って「VIRTUS WINE」でルーマニアの赤ワインを買って「東急ストア」で食材を買って「蜂の家」で和菓子を買う。夕食、牛豚挽肉のロールキャベツ、粒マスタード、ルーマニアの赤ワイン。YouTubeで「山田五郎のオトナの教養講座」のマリー・ローランサンの回を視聴。東日本大震災から今年で12年目で記憶の風化が懸念されているようだが、個人的には当時の出来事はよく憶えている。電車が動かず歩いて帰らなければならないので目黒の「モスバーガー」で腹拵えをしたこと、事態が飲み込めない混乱状況のなかカクテルパーティーをやっている店舗が原宿にあったこと、途中で道を間違えて帰宅に無駄な時間を要したこと。風化して問題のない記憶ばかりであるが。

Sunday, March 12

朝食、目玉焼き、サニーレタスとミニトマトと紫玉葱とベーコンのサラダ、パンドミとクリームチーズとブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲。洗濯と掃除。読書。堀越謙三『インディペンデントの栄光 ユーロスペースから世界へ』(高崎俊夫/編、筑摩書房)を読む。近所のクリーニング屋とスーパーマーケットで用事を済ませてから昼食。蛍烏賊とほうれん草のパスタ。「蜂の家」の最中と珈琲をお供に読書。新宿の「ブックファースト」で入手した本田晃子『都市を上映せよ ソ連映画が築いたスターリニズムの建築空間』(東京大学出版会)を読む。将棋の王将戦の動向を確認すると、藤井聡太が羽生善治を破りタイトル防衛。夕食、手巻き寿司(酢飯、海苔、鮪の刺身、鮪のたたき、きゅうり、シーチキン、卵焼き)、ほうれん草の味噌汁。「ヱビスビール」を飲む。明日の月曜日から政府によるマスク着用の目安が緩和されて個人の判断に委ねられることになる。COVID‑19以前以後ではっきり潮目が変わったのはマスク着用の科学的根拠で、従来は感染症に対して期待できるほどの効果はないとの言説が一般的だったと思うが、予防の観点ではなお効果は薄いとはいえ感染者からの感染拡大を防ぐ面では一定の効果があるという結論で着地している。この点を踏まえたうえで、しかしながら個人的にはマスクをする気が一切ないのは、息苦しくなるうえに蒸し暑くてきわめて不快だというQOLを著しく低下させる生理的嫌悪を解消するほうが、もはや確率論的にどれほど有意性があるのか疑問なしとはいえない感染拡大防止よりも優先であるという功利的な理由による。あるいは医療系の論客たちが複雑な変数が大量に入り込むはずの事象を前にして「科学的根拠」という語彙を強迫的に使いすぎであることに対する辟易も多少はあるかもしれない。ところで、13日以降どころか今年に入ってからすでに半強制的な圧力のかかる場所を除いてマスクをせずに暮らしているのだが、現時点でマスクをしていない人はわたしを含めてやばい感じの人ばかりなので日本は安全である。