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Monday, February 20

会社からの帰途、雨に降られる。読書。先日図書館で借りたタイトルも長ければサブタイトルも長い、ウラジーミル・アレクサンドロフ『かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた 二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯』(竹田円/訳、白水社)を読む。沼野充義が筆を執った「解説」から目をとおすと面白そうな本なので買ってもよいかと気持ちが揺らぐものの、踏ん切りがつかない価格設定である。出版社側にも事情はあるだろうが、税別4200円。2200円だったら買うし3200円でも買ってしまうかもしれない。しかし4000円だとか5000円だとかになると、この値段で他の本を二冊買えるなどと雑念が入ってしまっていけない。夕食、ポトフ(ソーセージ、鶏肉、玉葱、人参、馬鈴薯)。「ヱビスビール」を飲む。

Tuesday, February 21

寒い一日。会社帰りに髪を切る。読書。安達正勝『物語 フランス革命 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで』(中公新書)を読む。夕食、牛そぼろ五目炊き込みごはん、焼き豆腐と小松菜の味噌汁、大根の葉のおかか炒め。「キリンクラシックラガー」を飲む。上野千鶴子が色川大吉と婚姻関係にあったことが「裏切り」として話題になっていると教えてもらう。詐称行為として指弾される話かどうかはともかく、以前にも似たようなことを書いた気もするが、上野千鶴子に関して云えることは、知的膂力に疑問のある隙だらけの放言を繰り返す人物を論客として祭りあげたことは日本におけるフェミニズムの不幸だったということ。

Wednesday, February 22

晴れ。有給休暇を取得する。近所の図書館に本の返却に向かったついでに花屋に立ち寄る。早めの昼食後、自転車に乗って自由が丘へ。「成城石井」「TODAY’S SPECIAL」「baguette rabbit」で買いものを済ませてから雪が谷大塚駅近くの「SWEETS STANDARD」にて洋菓子を買う。自宅に戻って映画を二本鑑賞。『フェイ・グリム』(ハル・ハートリー/監督、2006年、アメリカ・ドイツ・フランス)、『ネッド・ライフル』(ハル・ハートリー/監督、2014年、アメリカ)を見る。夕方、部屋の片付け。棚を移動させて裏の埃を始末するなどの大掃除に発展する。夕食は、近所のラーメン屋にて。「キリンクラシックラガー」を飲みながら部屋の片付けのつづき。

Thursday, February 23

山根貞男の訃報を知る。曇りのち晴れ。洗濯。読書。『ちくま』3月号(筑摩書房)、『メトロミニッツ ローカリズム』3月号(スターツ出版)、プルースト『失われた時を求めて 3 花咲く乙女たちのかげにI』(吉川一義/訳、岩波文庫)を読む。『ちくま』での蓮實重彦の連載「些事にこだわり」を読んだら、珈琲に砂糖をぶっ込みすぎ事案の波紋について言及しており、やたら注目されてしまったので来客者に珈琲を提供することに「いささかの躊躇いを覚え始めたことだけは確か」らしく、「そんなときは、イタリア製の発砲性の飲料水で我慢していただくことにしている」と書くのだが、となると蓮實邸ではサンペレグリノを常備しているのだろうかとまた余計な勘繰りがはじまってしまう。昼食、白米、茄子と小松菜の味噌汁、鶏肉の酒蒸し、卵焼き、焙じ茶。午後は自転車に乗って西小山周辺まで。「GLOBE COFFEE」で珈琲豆を買って「kirin Store」で蚤の市を冷やかして、洗足池公園を巡る。夕食、蛍烏賊と小松菜のパスタ、芽キャベツのソテー、クリームスープ、オーストリアの白ワイン。

Friday, February 24

読書。殿山泰司『JAMJAM日記』(ちくま文庫)を読む。昼食は会社近所の鮨屋にて。夜、小雨が降る。夕食、わかめと揚げ玉と生卵を添えた温かいうどん。「ヱビスビール」を飲む。

Saturday, February 25

朝食、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフと紫玉葱とミニトマトのサラダ、ミルクブレッドとクリームチーズとブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲。近所のスーパーマーケットで買いもの。卵が一家庭一パックまでの購入に制限が課されている。昼食は「無印良品」のグリーンカレー。山手線に揺られて渋谷駅まで。もうすぐ長期休館してしまうBunkamura ザ・ミュージアムで「マリー・ローランサンとモード」展を見学する。タクシーで表参道方面に移動するつもりがタイミング悪く掴まらず、そのまま歩いて青山まで。「青山ブックセンター」で本と雑誌を合わせて5冊購入。「フランセ表参道本店」のカフェで休憩。COVID‑19流行直前の2020年1月以来となる、久方ぶりのパニエと珈琲。風が強くて天候は寒々しいが人通りは多くて賑やかな南青山から表参道周辺を歩いて、ギャラリー遊覧。「「elective affinities」展 Part I」(agnès b. galerie boutique)、「大橋英児 Roadside Lights」(Akio Nagasawa Gallery Aoyama)、「ヴォルフガング・ティルマンス Moments of life」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)、「石川直樹 ダウラギリ、カンチェンジュンガ、マナスル」(GYRE GALLERY)。雲行きが次第に怪しくなり、原宿駅に辿り着く頃に軽くみぞれが降る。自宅に戻って常備菜づくり。YouTubeで「山田五郎オトナの教養講座」のリヒャルト・ゲルストルの回を見ながら夕餉。ローストチキン、ルッコラのソテー、スモークサーモン、芽キャベツのソテー、バゲット、オーストリアの白ワイン。夜、いまさらその存在を知った浅田彰と菊地成孔のゴダールをめぐる対談音源を聴く。かつての浅田彰と松浦寿輝の対談内容が言及されているのを耳にして、いまあらためて松浦寿輝にはゴダールについてまとまったものを書いて欲しいと思うのだが(松浦寿輝の配偶者は『新潮』に文章を寄せていたけれども)、あまり気が進まないのだろうか。

Sunday, February 26

終日自宅にて。朝食後、洗濯。珈琲と焼き菓子をお供に、京都特集の『& Premium』(マガジンハウス)に目をとおす。焼豚と九条葱を添えた醤油ラーメンの昼食ののち、午後も読書。武塙麻衣子『驟雨とビール』『爽やかな茸』『白ねこ黒ねこ』を読む。日記ZINE。他所様の日記を読んで気づくのは、人との会話の内容が、平板な日常の記録における起伏の材料として重要な機能を果たしているということ。振り返って自身の日記がわれながら特異だと思うのは、ほとんど他者がでてこない点である。夕食、白米、わかめと大根の味噌汁、鶏の唐揚げ、小松菜の塩胡椒炒め、トマト、胡瓜のもずく和え。「マルエフ」を飲む。