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Monday, January 16

今年最初の在宅勤務は望んだというより已むなくの事情によるもので、朝6時から夜7時までぶっ通しで労働に勤しむという苦行のような一日から一週間がはじまる。在宅勤務で労働環境は楽になるのではなく、むしろ過酷になる。夕食、豆腐と長葱とかいわれを添えた温かいうどん。「黒松剣菱」の熱燗を飲む。夜、いしいひさいち『文豪春秋』(創元ライブラリ)を読む。

Tuesday, January 17

残業。平野紗季子「VOICE OF FOOD 味な副音声」(J-WAVE)を聴く。疲れているときや忙しいときに平野紗季子の語りは結構イラッとくるものがある。夕食、かぶとかぶの葉と豚肉のパスタ。「プレミアムモルツ」を飲む。

Wednesday, January 18

忙しさと疲労で物語に耽溺する気分にはなれないので、さしあたり手軽に読めそうな過去の読了本を再訪する。本棚から『近代日本の批評Ⅲ 明治・大正篇』(柄谷行人/編、講談社文芸文庫)を抜きとり、口の悪い人たちが集まった30年前の座談会に目をとおす。日没後、割と早めに会社を出て「QBハウス」で伸びた髪を切る事務的用事を済ませて帰途に就くものの、降って湧いた仕事に取り掛かるため、自宅に戻ってからも会社のパソコンを起動させる。夕食、白菜とミニトマトとしらすのパスタ。食後も仕事。「サッポロラガービール」を飲む。

Thursday, January 19

帰りの電車が遅延しているとの情報を得て、タクシーで帰るか本屋で時間を潰すかの選択肢に一瞬迷って後者を選択する。トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』(加藤節/訳、ちくま学芸文庫)の上下巻とポール・ド・マン『読むことのアレゴリー』(土田知則/訳、講談社学術文庫)を会計のレジにもっていくと、文庫本三冊なのに五千円を超過する散財となる。タクシーで帰ったほうが安く済んだ。夕食、白米、玉葱とわかめの味噌汁、チーズハムカツ、キャベツとかいわれ。「サッポロラガービール」を飲む。読書。『近代日本の批評Ⅱ 昭和篇(下)』(柄谷行人/編、講談社文芸文庫)を読む。

Friday, January 20

読書。江藤淳・蓮實重彦『オールド・ファッション 普通の会話 東京ステーションホテルにて』(中公文庫)を再読。夕食、茹で卵とカリフラワーと焼きトマトを添えたグリーンカレー。「琥珀ヱビス」を飲む。岸田文雄が今春にも新型コロナウイルスの感染症法上の扱いを季節性インフルエンザと同じ「5類」とし、屋内でのマスク着用も原則不要とする方針を進めるとの報道。マスク着用による感染不拡大の効果はある程度承知しつつも、感染症対策というより儀礼的にマスクを着用している世間一般の滑稽な光景を見渡すならば歓迎する話であると思うのだが、しかし三度の飯よりマスクが好きな人たちは不満らしく政府の動向に対して発狂しているようである。もっとも室内外でマスク着用を遵守しながら複数人と飲食を共にする態度のほうが余程意味がわからない。

Saturday, January 21

目玉焼き、ベーコン、サニーレタスとトマトと紫玉葱のサラダ、ヨーグルト、珈琲の朝食後、外出。電車に揺られる合間の読書は内田百閒『第二阿房列車』(新潮文庫)。田園都市線で三軒茶屋駅に到着。生活工房ギャラリーで「岡本仁の編集とそれにまつわる何やかや。」を見学する。三軒茶屋から表参道駅経由で千代田線に乗って乃木坂駅まで。国立新美術館で「DOMANI・明日展 2022-23 百年まえから、百年あとへ」を見学。午餐は美術館併設のレストラン「Brasserie Paul Bocuse Musée」にて。豚肩ロース肉のコンフィ、クリーム・ブリュレ、赤ワイン、珈琲。乃木坂駅から原宿駅を経由で山手線に乗って五反田駅まで。などや島津山で「原嶋亮輔 with」を見学。山手線で恵比寿駅まで移動してから、タクシーで代官山ヒルサイドテラスまで。アートフロントギャラリーで「中谷ミチコ デコボコの舟/すくう、すくう、すくう」を見学。CDやDVDのレンタル事業はとうに廃止されて書籍スペースも縮小されている気がしないでもない「代官山蔦屋書店」を久方ぶりに訪れる。代官山からタクシーで渋谷の「東急百貨店本店」あたりまで向かって「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」と「MARUZEN & ジュンク堂書店」を梯子する。もうすぐ店じまいする「東急百貨店本店」は閉店セールで混雑している。「渋谷 東急フードショー」にて「bricolage bread and co.」でパンを買ってから帰途に就く。工事後はじめてJR渋谷駅の山手線ホームを利用。ハチ公前の乗車口から進んでみると外回り内回り両方の乗客が一つの階段に殺到することになるので利便性は向上するどころかむしろ悪化している。夕食は「sakana bacca」のばらちらし、ほうれん草と玉葱の味噌汁、すぐき漬け。「京都醸造」の「一期一会」を飲む。YouTubeで「哲学の劇場」と「山田五郎オトナの教養講座」を見る。

Sunday, January 22

朝食後、洗濯。近所のスーパーマーケットで買いものを済ませてから常備菜づくり。昼食、鶏肉と九条葱を添えた温かいうどん。「豊島屋」の鳩サブレーと珈琲をお供に午後は読書。『ランボー全集 個人新訳』(鈴村和成/訳、みすず書房)を読む。夕方「ギネス」を飲む。将棋の王将戦第二局は羽生善治が藤井聡太に勝利。順位戦での結果などを見ると復調傾向とはいえ羽生善治の戦績はあまり安定しないので、藤井聡太がストレート勝ちしてしまうのではと思っていたが、▲8二金の妙手から僅差の優位を最後まで守り抜いた熱戦に感銘を受ける。夕食、グラタンドフィノワ、ミニトマトとチャービルのフリッタータ、サニーレタスとしらすと紫玉葱のサラダ。京都の「仔鹿」で買ったオーストリアの白ワインを飲む。