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Monday, August 29

暑さが和らぐ朝。読書。しばらく前に新宿の「紀伊國屋書店」で新潮クレスト・ブックスから上梓されたアリ・スミスの「四季四部作」をまとめて購入したので、今週から順繰りに読んでいく。刊行の順序は『秋』『冬』『春』『夏』なので、それに従ってまずは『秋』から。定時過ぎに仕事を終えて帰宅。会社からの帰り道、驟雨に逢う。夕食、肉うどん。夜、映画鑑賞。『男性・女性』(ジャン=リュック・ゴダール/監督、1966年)を見る。松浦寿輝『ゴダール』(筑摩書房)のなかに「高校生の頃、煙草をくるりと一回転させて口にくわえる『男性・女性』のジャン=ピエール・レオーの芸を真似することに熱中していた一時期がある」とのくだりがあるのだが、このたび『男性・女性』を見返してみて、あの所作がジャン=ピエール・レオーの発案なのかゴダール指示による演出なのかよくわからないが、「芸」と呼ぶには咥え損ねて失敗しすぎだし、珍妙な挙動にしかみえない。

Tuesday, August 30

帰り道、小雨。夕食、豚肉と玉葱と卵と小葱のソーミンチャンプルー、麦酒。読書。アリ・スミス『秋』(木原善彦/訳、新潮社)を最後まで読んで、つづけて『冬』に取り掛かる。稲盛和夫死去の報道。稲盛和夫の著書『生き方』(サンマーク出版)が書架に並んでいるような人とは距離を置きたいと思うタイプではあるが、最終的には自身が築きあげた京セラから離れて後進に経営を任せた点は特筆すべきことかもしれない。日本経済新聞による記事を読んだら、訃報に接した日本電産の永守重信が「稲盛さんのような経営者になりたいと頑張ってきた」とコメントしており、悪い冗談かと思う。

Wednesday, August 31

ミハイル・ゴルバチョフ死去。ゴルバチョフの名前を目にするとあの話の長い人かと瞬時に連想してしまうのは、米原万里によるエッセイのせいである。

まず、演説が長すぎる。予定を必ずオーバーする。昔あるテレビ局に、
「ゴルバチョフの演説が10分ほどありますので、同時通訳を」
と頼まれ、10分なら一人で対応できると高をくくって引き受けたら、延々3時間20分もしゃべられて往生したことがある。
(米原万里『ロシアは今日も荒れ模様』講談社文庫、p.188)

読書。アリ・スミス『冬』(木原善彦/訳、新潮社)。夕食、舞茸のキムチチーズ焼きうどん、麦酒。

Thursday, September 1

土砂降りの雨で湿気が酷くて蒸し暑いという最悪の天候で九月がはじまる。読書。アリ・スミス『冬』(木原善彦/訳、新潮社)を最後まで読んで、つづけて『春』に取り掛かる。夕食、白米、わかめと玉葱の味噌汁、鶏肉とピーマンと茄子の炒めもの、冷奴とキムチ、麦酒。

Friday, September 2

本日も蒸し暑いうえに雨が降る。残業。夕食、グリーンカレー、赤パプリカと胡瓜のピクルス、麦酒。古谷一行死去の報せ。手元に本がないので引用は不正確だが、たしか『岡村靖幸 結婚への道 迷宮編』(マガジンハウス)のなかで、MEGUMIが義父の古谷一向の堅実ぶりを示すエピソードとして、新幹線に乗るときは自由席を使うと話していたのが印象に残っている。

Saturday, September 3

山手線に乗って渋谷駅まで。渋谷ヒカリエに赴いてエレベーターで8階に向かうと、「Rakuten Fashion Week TOKYO」にともなうイベントとして雑誌『FUDGE』の20年分の表紙を展示した「FUDGE MAGAZINE 2002-2022 Archives」をやっていたのでそれを見学してから「d47食堂」で昼食。チェジュ島定食を注文。渋谷ヒカリエの「TODAY’S SPECIAL」で「大館工芸社」の曲げわっぱと「YAY」のヘアオイルを買う。「smith」でハンカチを買う。アメリカの紙製品ブランド「MOGLEA」と「DELFONICS」がコラボレーションしたものとのこと。渋谷から新宿経由で初台まで。東京オペラシティアートギャラリーで「ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」を見学する。メインであるライアン・ガンダーの展示もおもしろく見たが、上階の「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」がキュレーションの妙を味わえる展示でよかった。それにしても鑑賞者の誰もが展示説明のチラシを熟読している展覧会も珍しい。帰りがけにスーパーマーケットで食料品を調達してから帰宅。夕食、鶏肉と蛸とミニトマトとベビーリーフのバジルソースパスタ、赤ワイン。

Sunday, September 4

胃薬と頭痛薬。部屋の掃除と洗濯と常備菜づくりを済ませてから、いつもより遅めの朝食。目玉焼き、ハム、ベビーリーフとトマトのサラダ、パンドミとクリームチーズとブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲。近所の図書館とドラッグストアを巡ってから、自転車に乗って自由が丘まで。7月10日以来の自転車移動。「白山眼鏡店」で三年ぶりに新しい眼鏡を調達してから、本日もまた「TODAY’S SPECIAL」に立ち寄り弁当用の箸箱とキッチンクロスを買う。渋谷スクランブルスクエア内の「Aēsop」の前をとおると毎度行列ができていて入店する気が削がれるが、自由が丘の店舗はさほど混み合っていなかったのでハンドソープを買う。激混みではないとはいえ、つぎからつぎへと来客は絶えず、「Aēsop」の商品はどれも値段が高いのになにゆえ人が押し寄せるのか不思議に思う。「MARKS&WEB」でよくないか、なんなら「ミューズ」でよいのではと多少逡巡しつつハンドソープを購入。「スターバックス」でエスプレッソアフォガートフラペチーノを飲んでから、「無印良品」で収納用品を何点か買って九品仏に移動。「Comme’N」で昼ごはん用のパンを買って帰る。生ハムとカマンベールのバゲットサンド、焼きそばパン、ティラミス。部屋の整理整頓、靴磨き、アイロンがけ。夕食、白米、小松菜と絹ごし豆腐の味噌汁、鯵のひらき、しらす、納豆、野沢菜醤油漬け、麦酒、加賀棒茶。