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Monday, August 22

読書。途中まで読み進めていたtofubeats『トーフビーツの難聴日記』(ぴあ)を最後まで。きわめて模範的な新型コロナウイルスの感染対策をおこなっている態度を含め、その筆致から滲みでるtofubeatsの生真面目な性分を勘案すると、音楽の仕事は天職なのかもしれないが「音楽業界」には向いていないのではないかと思ってしまう。夕食、ガパオライス、桃、麦酒。

Tuesday, August 23

久方ぶりの在宅勤務。本日は会議が全部で6つもあり終日スケジュールが埋まる。疲弊。読書。積読本の棚から倉橋由美子『スミヤキストQの冒険』(講談社文芸文庫)を昨晩より読みはじめる。

小説を読んでも音楽を聴いても、すぐさま自分の感情を移入し、あるいは自分の限られた知識と経験を動員して「これは何を意味するか」と解釈に奔走するのは、「旧人類インテリ」の悪い癖です。彼らには結局のところ、十九世紀の小説と十九世紀のロマン派の音楽と演歌しかわからないのでしょう。(「著者から読者へ」)

夕食は「無印良品」のグリーンカレーと麦酒。夜、映画鑑賞。『トラスト・ミー』(ハル・ハートリー/監督、1990年)を見る。

Wednesday, August 24

有給休暇を取得。昼過ぎ、外出。バスに乗って駅まで向かっていたらゲリラ豪雨に遭遇する。山手線に乗って新宿駅まで。新宿にて「東急ハンズ」「無印良品」「smith」「ディスクユニオン 新宿クラシック館」「紀伊國屋書店」「成城石井」をめぐる買いもの行脚。散財ののち帰りがけに目黒駅で降りて、開店時間丁度の「とんき」に向かって早めの夕餉。本日はオーダーを管理しているお爺さんが不在。ヒレカツ定食と麦酒を注文する。

あのころ、どんなに長い行列ができても客の順番と注文をけっして間違えることのなかった、年配の小柄の女性がいたことを思い出していると、常連らしい隣席の男性が店員と交わす会話から、数年前に引退したことを知った。食事を終えて、あらためて店の暖簾を振り返ると、戦前の名残か、「とんかつ」の四文字は右から左へと染め抜いてある。「つ・か・ん・と」。かつて結婚した女性は、この店をとても贔屓にしていたことを思い出した。(小西康陽『わたくしのビートルズ 小西康陽のコラム 1992-2019』朝日新聞出版、p.411)

「とんき」が客の順番と注文を間違えないのはいまもそうだが、店員はどうやって把握しているのかいまだによくわからない。ところで『トーフビーツの難聴日記』には、ここで引用した小西康陽の本についての言及が最初のほうにあって、「書き出しからあっけに取られる」とtofubeatsは書いている。小西康陽のコラム集は「かつて結婚した女性」が肺癌で死去した話からはじまる。読書。読みさしのハンナ・アーレント『全体主義の起源 2 帝国主義』(大島通義、大島かおり/訳、みすず書房)を最後まで。夜、映画鑑賞。『人間に賭けるな』(前田満洲夫/監督、1964年)を見る。

Thursday, August 25

夕食、ラタトゥユ、ソーセージ、麦酒。『ちくま』9月号(筑摩書房)が届く。冒頭の蓮實重彦の連載「些事にごだわり」では、「首相官邸無人機落下事件」というなつかしの出来事をひっぱりだして蓮實流陰謀論が語られる。

これが偶然の一致とはとても思えぬからだ。首相官邸をドローンで狙ったり、元首相を自家製の銃で狙撃したりしたのは、いずれも、元自衛官たちだからである。かつてこの組織に属していた者たちは、どうやら、誰もが申し合わせたように、同じ人物を標的とするという性癖を持っているらしい。いったい、そこでは、どのような教育がなされていたのか。(p.3)

Friday, August 26

残暑。蒸し暑い。読書。フィリップ・ペロー『衣服のアルケオロジー 服装からみた19世紀フランス社会の差異構造』(大矢タカヤス/訳、ちくま学芸文庫)を読む。夕食、グラタン、サラダ、麦酒。

Saturday, August 27

残暑がつづくので近所のスーパーマーケットで買いものを済ませたあとは終日自宅にて。昼食、鶏肉と蒲鉾と生卵とみつばをのせた温かい蕎麦、煎茶。読書。アリステア・ホーン『ナポレオン時代 英雄は何を遺したか』(大久保庸子/訳、中公新書)を読む。夕食、牛肉のステーキ、しらすとツナとトマトとベビースピナッチのサラダ、麦酒。

Sunday, August 28

曇り時々雨。朝食、目玉焼き、ベーコン、サニーレタスとトマトのサラダ、パンドミとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。台所まわりの片づけ。食器の収納を整理整頓する。オンラインショップで購入した「adidas」のスタンスミスのスニーカーが二足届く。読書。「(笑)いしい商店」から購入したいしいひさいちの自費出版本を読む。評判を呼んでいるじんわりいい話の『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』もよかったが、昨今のポリコレ有象無象が跋扈する世間一般の神経を逆撫でするような『スクラップスチック それがどうした』もよくて、むかしからいしいひさいちの描く不謹慎さには共鳴するところが多々あるので嬉しいかぎり。昼食、白米、絹ごし豆腐と小葱の味噌汁、焼き魚(ほっけ)、納豆、すぐき漬け、煎茶。午後は映画鑑賞。『女と男のいる舗道』(ジャン=リュック・ゴダール/監督、1962年)を見る。ここ数日身体が怠いので、いしいひさいちの漫画を読んで心身を癒す。『鏡の国の戦争』(潮出版社)を再訪。夕食、牛豚合挽き肉と小葱と生姜の蒸し餃子、卵と小松菜の中華風スープ、キムチ、麦酒。