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Monday, July 11

参議院選挙の結果を瞥見。国会議事堂は益々二流タレントの肥溜めと化してゆく。夜、映画鑑賞。『風と共に去りぬ』(ヴィクター・フレミング/監督、1939年)の前半部分を視聴する。

Tuesday, July 12

安倍晋三を銃撃した犯人は「特定の団体」に恨みがあったと供述しているとの一報がメディアから流れた際、「特定の団体」とは統一教会のことではとの情報がインターネット上を駆け巡ったのに対して、大手メディアが「特定の団体」の詳細を明らかにしないのは不確定な情報を呈示するのはよろしくないと判断しているからだと冷静かつ中立的なスタンスを掲げる意見をちらほら見かけたが、事態がほぼ当初の噂話どおり推移してしまった現況にあっては、冷静かつ中立的なスタンスはずいぶんと間抜けな振る舞いに映る。勿論、たとえ間抜けに見えたとしても冷静かつ中立的なスタンスを崩さない姿勢もひとつの見識ではあるが。読書。森山軍治郎『ヴァンデ戦争 フランス革命を問い直す』(ちくま学芸文庫)を読む。夕食、肉うどん。夜、映画鑑賞。『風と共に去りぬ』(ヴィクター・フレミング/監督、1939年)の後半を見る。不朽の名作として讃えられる映画だが、個人的な感想としてはヴィヴィアン・リーの挙動に終始イライラさせられるとてもストレスフルな作品。

Wednesday, July 13

実は梅雨が終わってなかった説がでてきそうな雨模様。読書。ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』(丸谷才一、永川玲二、高松雄一/訳、集英社文庫)の第4巻を途中まで。夕食、白米、玉葱とわかめと大葉の味噌汁、鶏肉とズッキーニの炒め物とレモン、胡瓜の糠漬け、ビール。以前から東浩紀は隙の多い言論人であったが、いまや隙しかない凡庸な中年男性の佇まいを醸し出している現況を前に、『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』(新潮社)を上梓した頃を思い出して郷愁に耽るなど。

Thursday, July 14

安倍晋三の国葬を実施するとの報道。国葬を鳥葬にするのであれば圧倒的に支持するのだが。それにしても国葬に対して「税金の無駄遣い」という指弾は悪手というか、あまりに貧乏くさい発想だと思う。金の問題に収斂させる詰まらない批判が幅を利かすのは、それほどまでに日本が貧困化したことの証左なのかもしれないが。夕食、鶏肉のレモンパスタ、ビール。読書。ジョイスの『ユリシーズ』を最後まで。

Friday, July 15

読書。中野重治『五勺の酒・萩のもんかきや』(講談社文芸文庫)を読む。会社からの帰り道は土砂降りの雨。うなきゅう、もずく酢、あおさの味噌汁、ビール。夜、映画鑑賞。『ゴッドファーザー』(フランシス・フォード・コッポラ/監督、1972年)を見る。銃殺が爽快であることは否定できない。

Saturday, July 16

雨模様なので終日自宅にて。読書。パリとロンドンのスナップショット特集の『FUDGE』(三栄)、ミュージアム特集の『BRUTUS』(マガジンハウス)、『& Premium』の連載「京都さんぽ部」をまとめた『& Kyoto やっぱり京都、街歩きガイド。』(マガジンハウス)を読む。映画。『そして人生はつづく』(アッバス・キアロスタミ/監督、1992年)を見る。夕食、ソーセージとトマトのペペロンチーノ、ビール。

Sunday, July 17

早朝5時半の朝食を済ませてから、電車に長時間揺られて千葉の京成佐倉駅まで。駅から無料送迎バスに乗ってDIC川村記念美術館へ。好きな美術館だが、相変わらず遠い。展覧会を見てまわる前に、イタリア料理のレストラン「ベルヴェデーレ」に開店時間の10時丁度に向かう。午前10時からイタリア料理にありつこうとする物好きは稀らしく、評判のよいレストランであるが客はほかに誰もおらず。夏模様となる天気予報とは裏腹に、食事中、佐倉周辺は沛然たる驟雨がきて暑さが緩和される。常設展と企画展「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」を鑑賞。遥々訪れた甲斐のある素晴らしい展示。庭園を少し散歩してから、バスと電車を乗り継いで東京に戻る。東京は暑い。移動中の読書は、吉行淳之介『贋食物誌』(中公文庫)、小沼丹『黒いハンカチ』(創元推理文庫)。夕食、半田素麺、しめ鯖と大根おろし、ビール。