Monday, July 4
朝の天気は梅雨に舞戻ったかのような雨模様。夕食、親子丼、紅生姜、絹ごし豆腐と大葉とあおさのお吸い物、すぐき漬け、ビール。夜、映画鑑賞。『地獄への逆襲』(フリッツ・ラング/監督、1940年)を見る。就寝前に本日届いた『みすず』7月号(みすず書房)に目をとおす。新しくはじまった連載、近藤滋「フィボナッチの呪いを祓う」をおもしろく読む。
モナリザの顔や、オードリー・ヘップバーンの顔の縦横比も黄金比だとしているテキストはたくさんあるが、そもそも、顔の縦横比(頭部の縦横比ではない)など、額の生え際でどうにでもなる。それでも、1:1.618とされている資料を再計測してみると、やはり1~2%は誤差がある。偶に、ピッタリ黄金比になっている計測例もあるのだが、その場合はどう見ても、意図的に顔の領域をごまかしているのだ。まじめにやってほしい。
Tuesday, July 5
台風4号が温帯低気圧に変わって東に進む。会社からの帰り道は雨。読書。中北浩爾『日本共産党 「革命」を夢見た100年』(中公新書)を読む。日本共産党についての現状分析を述べるつぎのくだりは、いささか哀愁を帯びる。
1950年代前半の武装闘争方針は中ソ両国共産党の押し付けによるものであり、その後、自主独立路線に転換したこと、少なくとも1970年代以降の「敵の出方」論が想定していたのは反革命クーデタの発生にすぎないこと、2004年綱領で平和革命路線を明確化したことなどを考えると、今なお暴力革命の方針を堅持していると主張するのは無理がある。党員の高齢化が著しく、党員の間に非暴力主義が浸透している現在、日本共産党が武装闘争を行う意思だけでなく能力も欠いていることは、まず間違いない。
夕食、白米、油揚げと大葉の味噌汁、鯵のひらき、人参とほうれん草の煮物、すぐき漬け、ビール。
Wednesday, July 6
夕食、チキンカレー、ビール。夜、映画鑑賞。『赤ちゃん教育』(ハワード・ホークス/監督、1938年)を再見する。
Thursday, July 7
有給休暇を取得。Spotifyでブルックナーの全交響曲を順繰りに鳴らしながら、終日読書三昧。デヴィッド・ハーヴェイ『ポストモダニティの条件』(吉原直樹/監訳、和泉浩・大塚彩美/訳、ちくま学芸文庫)、ジョルジュ・バタイユ『魔法使いの弟子』(酒井健/訳、景文館書店)、ツヴェタン・トドロフ『日常礼讃 フェルメールの時代のオランダ風俗画』(塚本昌則/訳、白水社)、『UP』7月号(東京大学出版会)。ボリス・ジョンソンが退陣を表明。報道によれば、英国でのロックダウン下においてパーティーを開催していた事実を咎められ支持率が急降下したとのことだが、しかしボリス・ジョンソンのイメージからすれば、そのての不謹慎なことを露悪的にやってこそのボリス・ジョンソンという気もするので、イギリス社会の眼差しにやや意想外な感想をもつ。夕食、茄子とトマトのペペロンチーノ、ビール。夜、映画鑑賞。『マンハント』(フリッツ・ラング/監督、1941年)を見る。
Friday, July 8
溜まった仕事を消化するため朝1時間早く出勤。昼食は会社近くの寿司屋にて。久方ぶりに訪れてみたら、いつも注文していたランチメニューは若干値上がりしていた。会社帰りに髪を切る。安倍晋三が参議院選挙の応援演説中に銃撃されて死去したとの報せ。「元首相」の暗殺が大騒ぎするほどの重大事件であるかはさておき、テロルという現象自体には関心があるので事件の詳細をいちおうは追う。政治家の暗殺といえば条件反射的に山口二矢のことが脳裏をよぎるのだが、今回逮捕された人物は海上自衛隊での勤務経験のある中年男性で、安倍晋三の思想信条への恨みではないと供述しているとのこと。話をややこしくしそうな犯人である。日本では政治家の暗殺が少ないので弛んでいるのだとの半ば冗談の極論が存在するが、「凶弾に斃れる」という古典的なテロルが現代においても威力を発揮して社会にそれなりの緊張感を生むことは実証された。夕食、焼きそば、ビール。夜、映画鑑賞。『ヒズ・ガール・フライデー』(ハワード・ホークス/監督、1940年)を見る。
Saturday, July 9
安倍晋三銃撃のニュースがまだ喧しいようだが、逮捕された容疑者の自白を信用するならば、民主主義の根幹を揺るがすような事件では到底なく、言論の自由に対する挑戦でもなく、ただのファナティックな犯行としか思えず。警察にとっては要人警護の不備を指弾されそうな不本意な殺人事件。テロルと呼称するのも正確とはいい難く、やや拍子抜け。近所のスーパーマーケットで買いものを済ませ、半田素麺、枝豆、蛸の刺身、玄米茶の昼食を終えてから外出。山手線の恵比寿駅下車。恵比寿アトレに立ち寄り、「無印良品」「B-COMPANY」「SMITH」「有隣堂」で買いもの。東京都写真美術館にて展示を二本鑑賞。「アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真」と「メメント・モリと写真 死は何を照らし出すのか」を見る。自宅に戻って夕食。白米、絹ごし豆腐と小松菜の味噌汁、鰹のたたき、烏賊の塩辛、白菜の漬物、枝豆、玄米茶、ビール。読書。小川洋子・堀江敏幸『あとは切手を、一枚貼るだけ』(中公文庫)を読む。
Sunday, July 10
朝、小雨が降る。朝食ののち、洗濯、常備菜づくり。自転車に乗って外出。参議院議員選挙の投票所を訪れてから、九品仏の「CommeN’」でパンを買って、田園調布の「Precce」で食材を買う。暑さで自転車での移動は困難な時期がいよいよ到来。午後は読書。嵐田浩吉『スラヴの十字路』(里文出版)、山崎佳代子『パンと野いちご 戦火のセルビア、食物の記憶』(勁草書房)。夕食、白米、大葉と大根おろしをのせた和風ハンバーグ、絹ごし豆腐とわかめの味噌汁、白菜の漬物、ビール。