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Monday, June 20

晴れ。都内の駅構内で配布しているフリーマガジンを二冊。『SALUS』(東急)と『メトロミニッツ・ローカリズム』(スターツ出版)に目をとおす。夕食、ケンタッキーフライドチキン、ビール。夜、映画鑑賞。『ジャズ娘誕生』(春原政久/監督、1957年)を見る。

Tuesday, June 21

先週末より森鷗外を読んでいる。自宅の書架にある新潮文庫から『阿部一族・舞姫』『雁』『青年』『山椒大夫』の四冊を順繰りに。久しぶりに読む『舞姫』のなかで、鷗外はベルリンのティーアガルテンに「獣苑」との文字を当てているが、突飛な表現であると思いつつ妙に説得力のある当て字でもあるなと感心する。会社帰りに散髪。夕食、鯖缶と玉葱の洋風炒飯、赤ワイン。早めに就寝。

Wednesday, June 22

読書。ひきつづき新潮文庫で森鷗外。夏目漱石と森鷗外は日本近代文学における「偉人」として世間一般では認識されていると思うが、彼らの実作物を読んでいると二人とも「偉人」であるとともに「奇人」だろうとの印象が残る。夕食、白米、大根と油揚げの味噌汁、鶏肉とピーマンと新玉葱の塩麹炒め、胡瓜とめかぶの和え物、ビール。夜、映画鑑賞。『密会』(中平康/監督、1959年)を見る。

Thursday, June 23

仕事の所用で目黒に来たので、帰りに久方ぶりに「とんき」に寄る。前回訪れたのが2020年3月20日で新型コロナウイルスをめぐる狂騒がはじまっている頃だが、まだまだ街中は人で溢れかえっており、あとから煩型より「ゆるみの三連休」などと揶揄されることになる時期であった。以下、当時の日記より。

山手線に乗って目黒駅で降り、開店時間直前の「とんき」に向かう。開店と同時にほぼ満席。新型コロナウイルスの影響で飲食店業界は相当な打撃を被っているとのことだが、その後もどんどんお客が入ってきていつもより混んでるんじゃないかと思う「とんき」。ロースかつ定食とビールを注文。ピーナッツをつまんでビールを飲みつつ、とんかつが揚るまで店員のオペレーションを見ている時間が愉しい。

前回と同様にロースかつ定食とビールの夕食を愉しむ。夜、映画鑑賞。『カサブランカ』(マイケル・カーティス/監督、1943年)を再見。

Friday, June 24

初夏のような陽気。本日も目黒附近で仕事。目黒駅近くの洒落たアジア料理の店「NOON」で冷麺のランチ。読書。吉田健一『英語と英国と英国人』(講談社文芸文庫)を再訪。夕食、会社帰りにスーパーマーケットで買った蛸焼きとビール。夜、映画鑑賞。『青い戦慄』(ジョージ・マーシャル/監督、1946年)を見る。

Saturday, June 25

梅雨明けを告げられる前に灼熱地獄がはじまる。本日都内の最高気温は35度との予報。朝食の前後に、植物の水やり、洗濯、掃除、アイロンがけ。午前中は映画鑑賞。「ユーハイム」のレモンアマレッティと珈琲をお供に『ヘカテ』(ダニエル・シュミット/監督、1982年)を見る。昼食、鰯と香味野菜のペペロンチーノ。午後はラジオを聴いたりSpotifyで音楽を聴いたり。夕方、暑さが多少軽減されたところで近所のスーパーマーケットで買いもの。常備菜づくりと夕餉の準備。「IDÉE」のオンラインショップで買ったクッションが届く。夕食、海鮮丼(鮪、しらす、生卵)、絹ごし豆腐とほうれん草の味噌汁、貝の磯和え、加賀棒茶、ビール。

Sunday, June 26

本日も真夏日の予報。目玉焼きとハム、サニーレタスとトマトと紫玉葱のサラダ、トーストとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。暑さにめげず外出。「東京国立近代美術館」に赴くために山手線で東京駅まで。いままでは美術館に向かうのに、東京駅から大手町駅まで歩いて東西線に乗って一駅先の竹橋駅で下車していたが、東京駅からタクシーで行けば簡単に済むことにいまさら気づく。「東京国立近代美術館」でお目当ての「ゲルハルト・リヒター展」を鑑賞。10年前の6月にパリの「ポンピドゥー・センター」で見たゲルハルト・リヒターの回顧展の記憶をたぐり寄せつつ。以下、当時の日記より。

パリに到着した初日にメトロの通路で宣伝のポスターを見かけて思わず驚歎の声が漏れたゲルハルト・リヒターの展覧会が催されているポンピドゥー・センターに向かう。今回の旅で訪れた美術館のうちもっとも嬉しかったのはゲルハルト・リヒターの展示かもしれない。しかしこれ、日本でもやりそうだ。十時間以上飛行機に乗って訪れた苦労を考えると悔しいので、もしも日本で似たような展覧会が模様される場合は是非、川村記念美術館あたりの都内在住者にはいささか移動に苦労を強いる場所で実施していただきたい。

其の折「日本でもやりそうだ」と書いたが、結局、大規模な展覧会は2022年まで開催されず。鑑賞後、ずっしりと重い図録を購入。昼食処の候補として美術館に隣接するレストラン「ラー・エ・ミクニ」の様子を伺いにいくも、本日は貸切営業とのことで入れず。やむなく美術館に戻って新しく収蔵されたピエール・ボナール《プロヴァンス風景》のお披露目展示を見てから、東京駅に戻る。「丸の内オアゾ」の「総本家 小松庵」で蕎麦を食べる。昼前に到着すると少し行列に並ぶことになり、もう美味しい食事処は行列覚悟か予約しておかなければならない程度にコロナ以前の環境に戻っているということか。ところで最近、外食すると毎度量が多いと感じるのは老化現象かもしれない。夕食、茄子とピーマンと浅蜊のパスタ、ビール。夜、本日購入したリヒター展の図録とポンピドゥーで買った図録に目をとおす。