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Thursday, March 3

近年、クリスマスはローストチキンを食べる日、ひな祭りはちらし寿司を食べる日である。今夜のちらし寿司の具材は、にんじんと油揚げの甘煮、蓮根の酢煮、炒り卵、スナップエンドウ、いくら、大葉、刻み海苔。豆腐とあおさのお吸いものとともに美味しくいただく。

Friday, March 4




有休を取って朝一番で『楳図かずお 大美術展』(六本木ヒルズ森タワー 東京シティービュー)へ。わたしの人生でいちばん好きな漫画が『わたしは真悟』で、いちばん好きな漫画家が楳図かずおなので、この展示は絶対に観に行かないといけなかった。ゆっくりじっくり新作の101点からなる新作絵画『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』を観ることができて本当に嬉しかった、そして東京タワーの見える空間で楳図かずおの展示を観られるこの尊さよ…としみじみ感慨に耽った。『ZOKU-SHINGO』は、緻密な画風も装飾性も巧さも人物の美しさも、胸に迫る切ない台詞回しも、畝る、弾ける、開放する、のあの感じも、やっぱり楳図かずおだった。カーテンを留める紐が赤と白のストライプで描かれていたりと細かいところまで相変わらず可笑しかった。楳図かずおが好きとはいえ近況を逐一フォローしているわけではないので、フランスの「第45回アングレーム国際漫画フェスティバル」で「遺産賞」を受賞したり、イタリアのコミックコンベンション「ナポリコミコン」で「最優秀クラシック作品賞」を受賞したりしていたとは知らなかった。インタビューなどいろいろ読むと、日本ではほぼ賞とは無縁であまり評価されているとは感じておらずだんだん創作意欲もそがれていったけど、フランスでの受賞がとても嬉しく新作制作の起爆剤になった、というようなことを話していて、楳図かずおにとって賞をもらうということがどういう意味を持つのか、あれこれ考えてしまった。

Shake Shackでのランチをはさみ、国立新美術館で『ダミアン・ハースト 桜』を観る。書き割りとしての桜には祝祭感と乾いた冷たさが共存している。近づいてみると細かな筆致、筆の軌跡がわかり、眺めていて飽きない。夫はロンドンにあるダミアン・ハースト本人のコレクションを所蔵した私設ギャラリー(Newport Street Gallery)で購入したトートバッグを提げていて、ダミアン・ハースト大好きな人になっていた(実際は別にそういうわけでもない)。

六本木をあとにして銀座に向かい、あれこれ買い物して、児童書を買い求めに教文館に向かう。そしたらなんと、「アンソロジーという愉悦」という特集コーナーでポプラ社の「百年文庫」がずらりと並べられているではないか! ラインナップが素晴らしいのはもちろんのこと、夫と出会った頃に刊行が開始されたこともあってとてもとても思い出深く、大好きなシリーズなのだった。このところ書店で見かけなくなっていたのでこうして出会えて喜びもひとしお。“大好きなシリーズ”と言いつつ図書館で借りていて所有していなかったので、きょうは当時読んで印象に残った『岸』(中勘助/寺田寅彦/永井荷風)、『湖』(フィッツジェラルド/木々高太郎/小沼丹)、『涯』(ギャスケル/パヴェーゼ/中山義秀)、『城』(ムシル/A・フランス/ゲーテ)を購入した。

ポーラ ミュージアム アネックスで『ポーラ ミュージアム アネックス展 2022 前期』を観て、UNIQLO TOKYOで花を買い、ルミネ有楽町で洋服を見てから帰宅。

Sunday, March 6

昨夜3回目の新型コロナワクチン接種を済ませた夫、本日お昼頃から副反応が始まる。微熱と倦怠感。それでも寝込むほどではなく、わたしが夕飯につくった中華風おこわをそれなりに美味しく食べたようでほっとした。