Monday, August 2
出勤時刻までの朝の読書は、ブランコ・ミラノヴィッチ『資本主義だけ残った 世界を制するシステムの未来』(西川美樹/訳、みすず書房)を途中まで。資本主義だけ残った。下條アトムのナレーションで読みあげてもらいたい書名。本日も暑さが厳しい。夕食、人参と玉葱のかき揚げ、茄子とズッキーニの素揚げ、大根おろし、豚肉と大根の味噌汁、ヱビスエール。食後、会社帰りに書店で購入したビール特集の『BRUTUS』(マガジンハウス)を読み終えたところで、睡魔が襲う。
Tuesday, August 3
読書。『資本主義だけ残った 世界を制するシステムの未来』を最後まで。朝の通勤で突然の豪雨に見舞われる。雨が降っても気温が下がらず蒸し暑いままという最悪の天気。夕食、かき揚げ丼、絹ごし豆腐とわかめのお吸い物、大根の糠漬け、プレミアムモルツ。夜、映画鑑賞。マイケル・カーティス監督『ケンネル殺人事件』(1933年)を見る。
お盆の帰省ラッシュの時期が近づいてきて、政府や都が東京オリンピック開催をめぐって口にしてきた戯言を、パロディ化するような文言をインターネット上で読んだ。「中止の考えはない。強い警戒感を持って帰省に臨む」とか「コロナに打ち勝った証として帰省する」とか「『帰省するな』ではなく、『どうやったら帰省できるか』を皆さんで考えて、どうにかできるようにしてほしいと思います」とか。風刺としてはうまいと思うが、そもそも好んで帰省する人がどれほどいるのだろうと疑問を抱いてしまうので、素直に感心できない。
Wednesday, August 4
読書。時代小説にまるで関心がないので鬼平犯科帳がどういう話なのかを理解しないまま人生を終えそうであるが、池波正太郎の残したエッセイをぽつぽつ読んでいる。健啖家で映画好きであることがよくわかる「銀座百点」での連載をまとめた『池波正太郎の銀座日記』(新潮文庫)に目をとおすと、案外俗っぽい人でもあるなとの感想を抱く。夕食は「sakana bacca」で購入したばらちらし、絹ごし豆腐とわかめの味噌汁、プレミアムモルツ。夜、映画鑑賞。ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督『三人の妻への手紙』(1949年)を見る。
Thursday, August 5
暑さが厳しい。近年の夏の暑さはどうなっているのかと思うが、池波正太郎も暑さが厳しいと日記に書いている。東京の夏はむかしから暑いようで。夕食、紫玉葱とミニトマトをのせたnegombo33監修のポークビンダルー、プレミアムモルツ。『UP』8月号(東京大学出版会)が届く。編集後記を覗くとつぎのようなくだりがある。
川添愛先生の新著『言語学バーリ・トゥード Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』を拝読していると、「一般化しすぎる私たち」と題された章(第7章)に目がとまった。そこでは「過剰一般化」という「一般化をやりすぎて、事実を正しく捉えそこなうこと」が指摘されている。「男は」とか「女は」とか、「日本人は」とかいった言葉の背景にある複雑さには、想像力をフルに発揮して細心の注意を払いたい。原稿をチェックしているとき、本の紹介文や帯のコピーを書くときなど、立ち止まりつつ、言葉の後ろに潜む危険を認識し、可能性が拡がる言葉の使い方を追求していきたい。
そんなご大層な啓蒙的内容だっただろうかと該当の第7章を確認すると、以下の文章がならんでいる。川添愛の筆致とテンションに溝がありすぎるように思う。
その「言語化した過剰一般化」をさらに認識することで、その人の中で強化されてしまうのではないだろうか。さらにそれを口に出してしまうと、他人から非難されたり、あるいは賞賛されたりして引っ込みが付かなくなり、訂正する機会を失い、自己正当化がどんどん進んでしまうような気がする。端的に言えば、もんたよしのりが歌うとおり「言葉にすれば嘘に染まる」のではないかというのが、私の考えだ。
『ダンシング・オールナイト』が脳内再生され始めたところで、言葉の問題に移ろう。
Friday, August 6
読書。大岡昇平『成城だより 付・作家の日記』(中公文庫)を読む。夕食、夏野菜(トマト、ズッキーニ、ピーマン、玉葱)とハーブソーセージのスープ、バゲット、プレミアムモルツ。小田急線車内で刃物を振り回している人物がいるとのニュース。通り魔。
Saturday, August 7
木村敏逝去。木村敏の論考の大半は、2001年に弘文堂から刊行された著作集を図書館で借りてまとめ読みしたこともあって、書架を確認すると所有する本は少ない。さしあたり本棚から『自己・あいだ・時間 現象学的精神病理学』(ちくま学芸文庫)を抜き取って再読しつつ、木村敏の本三冊を「アマゾン」で注文する。
朝食、目玉焼き、サニーレタスとトマトとベーコンのサラダ、トーストとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。近所のスーパーマーケットとドラッグストアで買いものを済ませて自宅に戻ると、窓の外は嵐のような大雨。昼食、素麺、薬味(茗荷、小葱、生姜)、ほうれん草と絹ごし豆腐の味噌汁、玄米茶。夕食、白米、大根とほうれん草の味噌汁、鮪の刺身、大根のつま、卵焼き、プレミアムモルツ。
Sunday, August 8
台風10号接近中により天気は荒れ模様。朝食、オムレツ、ベビーリーフとミニトマトのサラダ、バゲット、ヨーグルト、珈琲。読書。みすず書房の謝恩企画20%割引を利用して購入した草光俊雄『歴史の工房 英国で学んだこと』を読む。昼食、浅蜊とトマトとほうれん草のボンゴレ、紅茶(イングリッシュ・ブレックファスト)。午後、モデルナ製ワクチンを腕に注射するため雨のなか外出。ワクチン接種が2回完了との報告があちらこちらで聞こえてくるなか、ようやく1回目の接種が完了。夕食、鰻重、ほうれん草としめじの味噌汁、枝豆、胡瓜と大根の糠漬け、玄米茶。
今週Spotifyで聴いたもの。
– Tales of Time / Greg Germann, 2021
– Everybody’s Boppin’ / Lambert, Hendricks & Ross, 1959
– The Sound of Ipanema / Paul Winter & Carlos Lyra, 1964
– A Man Without Love / Engelbert Humperdinck, 1968
– Mythopoetics / Half Waif, 2021
– Sob Rock / John Mayer, 2021
– One Life to Live / Phyllis Dillon, 1972
– At Mister Kelly’s / Sarah Vaughan & Her Trio, 1957
– Blue Heron / Jodi, 2021
– original love early complete / Original Love, 2003
– Pink Noise / Laura Mvula, 2021
– Moondance / Van Morrison, 1970
– Music From Big Pink / The Band, 1968
– Hope Amid Tears – Beethoven: Cello Sonatas / Yo-Yo Ma & Emanuel Ax, 2021
– It Won’t Always Be Like This / Inhaler, 2021
– Bach: Cantate BWV147 – Magnificat / Karl Richter & Orchestre Bach De Munich, 2007
– Johann Sebastian Bach / Víkingur Ólafsson, 2018
– Johann Sebastian Bach / Rafał Blechacz, 2017