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Monday, July 26

住民票のある都内自治体でのワクチン接種は8月に入ってからなのだが、本日午後6時に自衛隊東京大規模接種センターでも接種予約がWEBでできるとの情報を日本経済新聞経由で知ったので、職場で接続を試みてみるものの、まったく繋がる様子はなく途中で諦めてブラウザを閉じる。自宅のパソコンから挑戦してみた証言によると、現在混み合っていますとの文言が表示されたまま延々待たされつづけ、最終的には予約画面に遷移すらせずに受付終了のお知らせに切り替わったとのこと。いにしえの「チケットぴあ」か。表示される文言の指示どおり馬鹿正直にブラウザの画面をそのままにして待っているのが正しいのか、高橋名人よろしくF5キーを連打して更新しまくるのが正しいのかは不明だが、いずれにせよ喧嘩を売っている予約システムだということはよくわかった。時間の無駄。今後の重症患者の発生動向によるが、高齢者を優先してワクチン接種した是非が問われかねない事態にならないことを願うばかりである。

本は書店で買いたい派ではあるものの、購入を決めている本であればアマゾンで注文したほうが動線としては楽。必ず買おうと決めていた川添愛『言語学バーリ・トゥード Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』(東京大学出版会)が、一冊だけ注文するのもなんなのでと色々選んだその他七冊と一緒にアマゾンから届く。

読書。近藤聡乃『A子さんの恋人』(KADOKAWA)で触れられているのを契機に読もうと思って積読だった、大江健三郎の短編小説集『空の怪物アグイー』(新潮文庫)を読了。夕食、素麺、焼豚と長葱の中華風炒め、トマトと胡瓜のサラダ、ヱビスエール。

Tuesday, July 27

台風8号が日本列島に接近中。東京地方への影響は軽微で、いつもより風が強くて時折雨が降る程度。

読書。川添愛『言語学バーリ・トゥード Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』(東京大学出版会)を読む。東京大学出版会のPR誌『UP』での連載を毎回愉しみにしていたので単行本化は喜ばしいのだが、『UP』という土俵の存在を前提とした内輪ネタが満載なので書籍化にあたってどう対処するのだろうと思っていたら、前書きでその点を詳細に説明していた。「T嬢って誰やねん」と読者諸氏からツッコミを招きかねない事態が起こり得ることを考えれば、丁寧な解説は必須であろうと思う。そして冒頭の文章を読んでわかるのは、本書における川添愛の文章は相当ふざけてはいるが、これは勿論意図的なおふざけであり、むしろ著者の律儀さが滲み出ているということ。

夕食、海鮮丼(鮪のたたき、しらす干し、生卵、刻み海苔)、豆腐と大葉のお吸い物、胡瓜の糠漬け、よなよなエール。

Wednesday, July 28

本日も猛暑。自宅から最寄り駅までの道程で熱中症になりそうなので、バスを使って通勤。読書。昨日会社帰りに本屋で購入した、ジェニファー・ラトナー=ローゼンハーゲン『アメリカを作った思想 五〇〇年の歴史』(入江哲朗/訳、ちくま学芸文庫) を読む。途中まで。夕食、夏野菜(トマト、ピーマン、玉葱)とソーセージのグリル、キャベツと人参のコンソメスープ、ヱビスエール。

Thursday, July 29

オリンピックで金メダルを奪取したことが全国紙の一面を飾るほどの価値を有するニュースなのかというそもそもの疑問があるわけだが、テレビをもっていないうえに忙しくてインターネットでの情報散策の時間もあまり取れないので、自身の観測範囲内に限っての話として東京オリンピックはどこかで勝手にやっているイベントと化している。オリンピックがメディアによる大々的な喧伝なしには成立しないことがよくわかる体験。

読書。ジェニファー・ラトナー=ローゼンハーゲン『アメリカを作った思想 五〇〇年の歴史』(入江哲朗/訳、ちくま学芸文庫) を読む。最後まで。夕食、肉じゃが、茄子と茗荷と小葱の味噌汁、生姜と小葱をのせた冷奴、胡瓜の糠漬け、ヱビスエール。

Friday, July 30

読書。平出隆『葉書でドナルド・エヴァンズに』(講談社文芸文庫)を読む。講談社文芸文庫の愉しみとして最後に附される年譜に目をとおすことがある。いちおうの「客観性」を保持しようと配慮する第三者によって綴られる年譜も有意義ではあるが、その事柄の重要性が本人でないとさっぱりわからない自筆年譜は独特のおもしろさがある。平出隆による1977年の自筆年譜にはつぎのとおり。「十一月初旬、山口哲夫と飲み流れて西八王子の山口宅へ」。この出来事の重要性はさっぱりわからないが、重要なのだろう。

夕食、ピーマンの肉詰め、ブロッコリー、絹ごし豆腐といんげんの味噌汁、南瓜の醤油煮、ヱビスエール。

Saturday, July 31

そして暑さはつづく。朝食、目玉焼き、ピーマンとトマトとベーコンのグリル、バゲットとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。掃除と洗濯。近所のスーパーマーケットで買いもの。昼食、白米、油揚げと小松菜の味噌汁、鰹の刺身、大根の細切り、卵焼き、小葱と生姜をのせた冷奴、すぐき漬け、玄米茶。午後、アイロンがけと出版社のPR誌二冊。岩波書店の『図書』とみすず書房の『みすず』を読む。東京都の感染者が4000人を超えたとの報せとともに読んでいたのは、 ダニエル・デフォー『ペストの記憶』(武田将明/訳、研究社)。人類は学習しない。

こうした人びとの向こう見ずな風潮について、医師たちは懸命に反対し、さまざまな手引きを印刷して、市街地と郊外の至るところに配布した。病人が減ったからといって、慎重さを失ってはいけない、依然として日常生活では細心の注意を払うように、と勧告する内容だった。さらに、ロンドン全市で疫病がぶり返す恐れがあると警告し、もしもぶり返すことがあれば、これまで経験したあらゆる疫病の被害よりも危険で、多くの死者を出すことになる、と述べていた。これを市民に説明し、納得してもらうため、実にいろいろな理由や根拠を挙げていたが、ここで繰り返すのはあまりに長くなるのでやめておく。
しかしこれはまったく効果がなかった。思いあがった者たちは、最初の喜びにどっぷり浸かっていて、死亡週報の数字がどんどん減るのを見る嬉しさに圧倒されていたので、新たな恐怖を語る声が決して届くことはなく、死の苦しみが去ったと信じるばかりで、なにも聞く耳を持たなかった。この人たちに語りかけたところで、厳しい東風にそうするのと同じく、突っぱねられるだけだった。代わりに連中は店を開き、街なかを歩きまわり、商売に勤しみ、街で挨拶してきた人とは誰であろうと言葉を交わした。用事があろうとなかろうと関係なく、相手の健康を訊ねもせず、また相手が健康でないと分かっているときでも、感染を気にすることさえなかった。(pp.291-292)

夕食、ローストチキンとマスタード、ほうれん草のコンソメスープ、サニーレタスとホワイトセロリとトマトのサラダ、ブルーチーズ、イタリアの白ワイン。

Sunday, August 1

葉月。終日自宅にて。朝食、目玉焼き、サニーレタスとホワイトセロリとトマトのサラダ、ベーコン、ミルクブレッドとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。洗濯。昼食、白米、油揚げと茄子の味噌汁、豚肉の塩麹蒸しとかいわれ、卵焼き、玄米茶。読書。石川禎浩『中国共産党、その百年』(筑摩書房)とオレーク・V・フレヴニューク『スターリン 独裁者の新たなる伝記』(石井規衛/訳、白水社)を読む。夕食、豚挽肉と小葱とかいわれの蒸し餃子、茄子とほうれん草と卵の中華風スープ、すぐき漬け、プレミアムモルツ。

今週のSpotify。
– Pale Horse Rider / Cory Hanson, 2021
– GISEKE / Bluestaeb, 2021
– The Hottest New Group in Jazz / Lambert, Hendricks & Ross, 1996
– Wait for Me / Snowpoet, 2021
– Mah-na-mah-na / The Dave Pell Singers, 1969
– At Pioneer Works / Les Filles De Illighadad, 2021
– The Colors Of Brazil – African Blue / Les Baxter, 1991
– Voices In Rhythm / Les Baxter, 1961
– Hell’s Belles / Les Baxter, 1969
– The Very Best of / Les Baxter, 2010
– Que Mango! / Les Baxter & 101 Strings Orchestra, 1970
– Nine / SAULT, 2021
– Beethoven:Symphony No.7, Haydn:Symphony No.104 / Herbert von Karajan & Wiener Philharmoniker, 1960
– Guitar From Ipanema / Laurindo Almeida, 2016
– Sling / Clairo, 2021
– Uomo Donna / Andrea Laszlo De Simone, 2017
– Penguin Cafe Orchestra / Penguin Cafe Orchestra, 1981
– Music From The Penguin Cafe / Penguin Cafe Orchestra, 1976