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Monday, July 19

朝から夕刻まで猛暑。自宅から最寄り駅までの徒歩が厳しい。夕食、ハムと胡瓜とトマトと卵焼きをトッピングした冷やし中華、ヱビスエール。

小山田圭吾が五輪開会式の作曲担当を辞任するとの報道。子供の頃の同級生虐待自慢という稚拙な振る舞いに対して、どれほどの社会的制裁を浴びせるのが適切かは議論のあるところだろうが、過去の失態についてこれまでのらりくらりと逃れてきた小山田圭吾の地位をどん底に突き落とすオリンピックという興行の、矢鱈強大な影響力を思う。本日の報道を踏まえて今宵はSpotifyでCorneliusの「point」を聴く。2001年発売。小山田圭吾の人間性を踏まえたうえでもなお、このアルバムは名盤。

Tuesday, July 20

有給休暇。いつもどおりの時間に目を覚まして朝食の支度をするも、眩暈がする。食事を少し残して横になる。吐き気と眩暈という熱中症のような症状がでて午前中を睡眠にあてる。体調を崩して潰れる有給休暇。

このあいだ新型コロナウイルスのワクチン接種の予約を取るも、実際に摂取できるのはだいぶ先の話。反ワクチン派あるいは慎重派が影響を及ぼす数として存在するのか疑わしくなる程、いま居住している地域では接種予約が取れない。単純に接種可能数が少なすぎるだけか。デルタ型に気をつけよう。

読書きのうきょう。文章の所々にインテリの感じ悪さが顔を出す、今春古本屋で購入した水村美苗『母の遺産 新聞小説』(中公文庫)の上下巻を最後まで。その感じ悪さは嫌いではない。

Wednesday, July 21

朝の陽射しを避けるために自宅から最寄り駅までの徒歩経路をバス乗車に変更して、水分補給のために職場ではペットボトル計四本を飲み干した。賃金を得るために会社へ赴いているはずだが、出勤するだけでそれなりの金が出てゆく事態はこれ如何に。

読書。吉川一義『「失われた時を求めて」への招待』(岩波新書)を読む。夕食、ブロッコリーとアンチョビのペペロンチーノ。

Thursday, July 22

四連休。きょうから東京五輪が開幕するのかと思ったら明日からだと知る。いまさら。食材の尽きかけている冷蔵庫から、ピーマンとスライスチーズを挟んだホットサンドをつくる。そのほかスキレットで目玉焼き、「noix de beurre」のマドレーヌ、ヨーグルト、珈琲。いちど体調を崩すと快復するまで数日を要する身体になってしまったので、怠さと軽い頭痛が残る午前七時。

チャンネルを合わせたいラジオ番組もないので、朝からレコード三昧。Chick Corea「Return to Forever」、Antonio Carlos Jobin「Stone Flower」、Sergio Mendes & Brasil ’66「Introsucing」、Michel Legrand「The Young Girls Of Rochefort」、Nina Simone「Nina at Newport」、Tony Bennett「Tony」。音楽に耳を傾けながら読書。本棚から抜きとった小西康陽のコラム集全三冊をソファの横に積んで、刊行順に読んでいく。一冊目は『これは恋ではない 小西康陽のコラム1984-1996』(幻冬舎)。

東京五輪開会式の演出を担当する小林賢太郎が、ホロコーストを茶化したラーメンズ時代の過去のコントを問題視され、解任されたとの報道。ユダヤ人権団体が非難とあるので、サイモン・ウィーゼンタール・センターだろうかと思って確認するとやっぱりサイモン・ウィーゼンタール・センターだった。相変わらずの政治力は毎度どうかと思うが、この団体の名前を目にするたびに思い出すのが「マルコポーロ事件」なのは、さすがに話題として古すぎるか。

午餐、白米、大根とわかめの味噌汁、豚肉とピーマンの塩麹蒸し、胡瓜と青紫蘇の漬物、玄米焙じ茶。倦怠感が抜けないので少し仮眠。午後三時、映画を一本見る。「ザ・シネマメンバーズ」で配信中のジム・ジャームッシュ監督『ダウン・バイ・ロー』(1986年)。初見のような気分で見ていたが、最後のトム・ウェイツとジョン・ルーリーがY字路で別れる場面で記憶が甦り、再見であることに思い至る。

日中外出するのは体調を崩す危険な陽気なので、日暮れ前に出掛けて、近所のドラッグストアとスーパーマーケットで買いもの。夕食、素麺、茗荷と小葱と生姜の薬味、鰹の刺身、玄米茶。素麺は半田素麺株式会社からのお取り寄せ。

Friday, July 23

身体の怠さはまだ抜け切らず。快復途上。

朝食の献立のひとつとして毎朝摂っている「チチヤス」の無添加ハニーヨーグルト。本当は赤色パッケージのごく標準的なチチヤスヨーグルトがよいのだが、近所のスーパーマーケットではなぜか低糖と無添加ハニーという選択肢しかなくて、保守本流の商品を買うことができない。なぜ。ところでヨーグルトが健康によいという通説は本当なのだろうか。ヨーグルトを食べ始めて、爾来、体調が良好になった気配はない。

読書。小西康陽コラム本のつづき。『ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム1993-2008』(朝日新聞社)と『わたくしのビートルズ 小西康陽のコラム1992-2019』(朝日新聞出版)を交互につまみ読み。小西康陽の書きものは好きだが、好むのは事実を事実として書いているコラムで、事実を膨らませて「創作」として仕上げているものには興味がもてない。

夕方、映画鑑賞。本日もジム・ジャームッシュ監督作品。『ミステリー・トレイン』(1989年)を見る。永瀬正敏と工藤夕貴が登場する冒頭はどうなることかと心配になるが、至極真っ当なプロットで着地する映画だった。

夕食は滋養強壮のため焼肉。和牛、ピーマン、玉葱、もやし、サンチュ、わかめの中華風スープ、冷奴と青紫蘇の漬物、ヱビスエール。

Saturday, July 24

東京五輪は関係者に死人が出なければ「成功」扱いされそうな雰囲気。とはいえ、東京という都市に経済的にも文化的にも有意義な痕跡を残せない時点で五輪としては「失敗」なので、政治家やメディアや組織委員会や選手やテレビ視聴者がどれほど必死に盛り上げようと、「開催して得られるのは、象徴的な自己満足でしかない」 [1]

冷房の効いた部屋で読書。小西康陽『わたくしのビートルズ 小西康陽のコラム1992-2019』(朝日新聞出版)の読み残しを片づける。夕方、近所を自転車で廻る。パン屋でパンドミを買って、図書館で本の返却と貸出を済ませ、スーパーマーケットで食材を調達して、花屋でドウダンツツジを買う。夕食、ネゴンボ33監修のポークビンダルーに大葉を挟んだ豚ハムカツと小葱とミニトマトをトッピング、ヱビスエール。

Sunday, July 25

午前四時半起床。卵と玉葱とピーマンとトマトとベーコンをスキレットで焼く。トーストとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。食後は洗濯と掃除。日差しが照りつけるなか苦行に耐えるように近所のスーパーマーケットで買いものを済ませる。昼食、素麺。食後は常備菜づくり、靴磨き、アイロンがけ。連休最終日は家事で一日が終わりそうだったが、午後三時から映画を見る。『街燈』(中平康/監督、1957年)と『爆弾男といわれるあいつ』(長谷部安春/監督、1967年)の日活映画二本。夕餉は鰻重、長葱とわかめの味噌汁、青紫蘇の漬物、枝豆、ヱビスエール。TOKYO FMの「村上RADIO」を聴いていたら途中でアナウンサーの声が割り込んできて、誰だか知らん人が金メダルを取った云々を知らせてくる。知るか、と思う。

  1. 吉見俊哉『東京復興ならず 文化首都構想の挫折と戦後日本』中公新書、p.287 []