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Wednesday, April 1

きょうから新しい会社で働くのだけれど、実は前に働いていた会社なので、出戻りなのだった。見知った顔も多く、それほど緊張はせず。それにしても雨がひどい。帰りの電車は本に没頭してひと駅乗り過ごす。土砂降りのなか黙々と歩いて帰宅。きのうつくっておいたミネストローネに、パンと白ワインであたたかい夕食。

Friday, April 3

会社は在宅ワークの準備を着々と進めていて、わたしも準備が整い次第、完全在宅ワークになることになった。これ、本当に初めて勤務する会社だったら、けっこう心細いことだったかもしれない。

江國香織『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(角川春樹事務所)読了。登場人物たちが絶え間なく本を読み続ける小説、面白かった。この本は読書に身が入らなかったここ2ヶ月のあいだ途切れ途切れに読んでいて、これからこの本のことを思い出すとこの2ヶ月のこともセットで思い出されるだろう。こうした日本の現代小説の舞台は、わたしたちの住む生活世界にとても近いから、余計、この本の中の世界にはコロナがないことが強調されてしまい、読みながら物語と何の関係もなく悲しくなってしまうこともあった。わたしが弱いだけなのか。

この2ヶ月、雑事に追われ集中力にも乏しく、ろくに本も読めなかった。それに対して夫はペースを崩すことなくいつものように粛々と本を読み、映画も観て、すごいなあと思っていたが、わたしもじょじょに読書のスイッチが入ってきた。

Saturday, April 4

先週、ひとりで散歩した公園を、きょうは夫も一緒に散歩する。桜が満開の広場には人が集まり、強い風が吹いて桜の花びらがはらはらと散って、そこにいた人たちから「綺麗…!」と声が上がったとき、図らずも涙が出そうになった。いつもと同じ春を過ごせない悲しみ、絶え間なく続く不安な気持ち、その場に居合わせた人たち皆で美しいものを見ることができた一瞬の喜び、いろんな感情が綯い交ぜになった。

ビーフステーキ、リオナソーセージ、ブルサンのチーズ、ミニトマトとベビーリーフのサラダ、赤ワインの夕食をとりながら、3年ぶりに復活した佐藤オオキとクリス智子によるラジオ番組「CREADIO」(J-WAVE)をタイムフリーで聴く。この暗いご時世に、この番組が復活したことは数少ない良いニュースであった。楽しく聴いて、赤ワインを飲み過ぎる。