492

Monday, April 13

朝の音楽、Shohei Takagi Parallela Botanica「Triptych」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

いま労働契約を結んでいる勤務先は、紙と印鑑をこよなく愛する昭和レトロな前時代的体質の企業体なので、テレワークなどという勤務形態は近未来的な理想として退けてきたようなのだが、お上および世間一般の同調圧力に対して敏感に取り繕うことにも必死な組織でもあるため、きわめて無鉄砲な在宅勤務を実施することになった。テレワークの準備は平時におこなうものであると正論をいまさら語っても仕方がないが、防災訓練さえ碌に参加してこなかった人間に対していま目の前の火事を鎮火せよといっているような無謀さがある。というわけで今週は自宅で仕事をすることに。本日の天候は強風で大雨の予報なので、きょうに限っていえば在宅で好都合といえば好都合。

昼ごはんは自宅で調理。しらすとレタスとレバーベースのパスタ、炭酸水。

テレワークで残業。

晩ごはん、白米、小松菜としめじの味噌汁、豚肉の醤油蒸しとかいわれ、人参の漬物、麦酒。

いつから安倍政権は財政規律原理主義になったのかは知らないが、実際の内実はともかくとしてさしあたり国民の生活をしっかり支えますアピール全開で原稿を作成すればよいものを、一般的な国民の感情を逆撫でするような情報ばかりを政府が発信しているのは謎でしかない。

Tuesday, April 14

朝の音楽、Yaeji「What We Drew」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

きのうの悪天候は去り、朝から快晴。在宅だと運動不足になるので就業開始の時間まで自宅のまわりを散歩する。天気はよいが風が強い。

昼ごはん、茄子とほうれん草とミニトマトのパスタ、炭酸水。

通信負荷がかかりまくりのVPN接続の環境下で作業効率はいまいちのテレワークだが、在宅勤務のよい点は挽きたての豆を使っておいしい珈琲が飲めるところである。しかし本日も残業で大変。

晩ごはん、ほうれん草カレーと温泉卵、しめじとレタスのコンソメスープ、麦酒。

批判は後まわしにして緊急事態のいまは一致団結しようとの掛け声に肯首する気など一切ないが、仮に同意するとしても、団結の気運に対していちばん足をひっぱっているように見えるのが日本政府であるのは悪い冗談かと思う。現政権の首相や閣僚による最近の言動は、彼らが危機に不向きであることを露呈しているが、もっとも危機的状況で能力を発揮する人物など稀な存在なので別段意想外な話ではないかもしれず、そう考えると、東京都知事の小池百合子が緊急事態宣言の発令前後から急に溌剌としているのは不気味なことである。

Wednesday, April 15

朝の音楽、Kurosuke「The Tales of Roses & Wine」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。食後、朝の散歩。数は少ないとはいえ通勤している人はそれなりにいる。

無駄に疲れるテレワーク。そして無駄に忙しい。会社にいるときよりも熱心に仕事をしている雰囲気すらある。

昼ごはんは10分強の短時間でできるそれなりの料理ということで毎日パスタをつくっている。レタスとトマトとベーコンのパスタ、炭酸水。

晩ごはん、豚肉とほうれん草とトマトと玉葱のコンソメスープ、カマンベールチーズ、赤ワイン。

読書。和田誠・村上春樹『ポートレイト・イン・ジャズ』(新潮文庫)を読む。和田誠によるジャズ・ミュージシャンの肖像画と村上春樹によるジャズ評。村上春樹のジャズの好みは共鳴するところもあれば違和感をおぼえる箇所もあるが、つぎのくだりはとても合点がいく。

いずれにせよ、クリフォード・ブラウンの音楽には、ジャズという音楽形式の持つ素晴らしい面が残らずみっちりと詰め込まれている。そして素晴らしくない面は(おそらく)ただのひとつも入りこんでいない。それはまさに奇跡的といってもいい達成である。これはほとんどのジャズ・ファンが進んで認めるところだろう。
にもかかわらず僕は、クリフォード・ブラウンの音楽を溺愛しているという人に一度も巡り合ったことがない。そして正直に打ち明けるなら僕自身、彼の音楽を「溺愛する」ことはできないでいる。保留のない敬意を捧げることはできる。それなのに彼の音楽に今ひとつ感情的にのめり込むことができない。どうしてだろう? それはたぶん僕らがそこに、弱さや過剰性や迷いや、あるいは抜き差しがたい人間的矛盾の影を見いだすことができないからではないか。僕らはなぜか多くの場合、好むと好まざるとにかかわらず、あらゆる道理を超えて、自堕落でだらしのない弱さを含んだ芸術に引きつけられてしまうようだ。
もちろんそれはクリフォード・ブラウンの責任とは言えない。そんなことが言えるわけがない。音楽的にも個人的にも、彼の人生には余分な寄り道をしているような暇はなかったのだ。なにしろ死はすぐうしろに迫って、彼の首筋に冷たい息を吹きかけていたのだから。クリフォード・ブラウンの音楽は安易な溺愛を超えたところに厳然と聳えたっているし、僕らはその前に静かに頭を垂れるしかないのだろう。

Thursday, April 16

朝の音楽、Christian McBride「The Revisited:A Musical Portrait of Four Icons」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。朝の散歩のついでに、午前8時から開店しているスーパーで買いもの。

昼ごはん、ソーセージとキャベツのトマトソースパスタ、炭酸水。

閉塞的な雰囲気のなか音楽の力で元気を取り戻そうとの発言をラジオなどで耳にするたび、音楽(を含めて芸術全般)の受容で膂力を取り戻せるほどじぶんは感受性の豊かな人間ではないなと思うのだが、YouTubeでミセス・ミラーの唄う「イパネマの娘」を聴いたらすべてのことがどうでもよくなってきて、前言撤回で音楽は重要だ、というかミセス・ミラーは偉大だと再認識する。

彼女の唄う「A Hard Days Night」も、何度聴いても痺れる。

夕方、郵便受けを確認しに外にでると小雨が降っている。『MONOCLE』が届く。

晩ごはん、焼豚と茹で卵と万能葱をのせた醤油ラーメン、柿の種、麦酒。

Friday, April 17

朝の音楽、Karen Souza「Language Of Love」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。朝の散歩、近隣の住宅街を歩く。

もう在宅勤務に厭きてきた。昼ごはん、豚肉とほうれん草のレモンパスタ、炭酸水。

エコノミスト誌は今週もまた新型コロナウイルスの話題で埋まっている。コロナウイルス関連以外のニュースはないのかと探してもほぼない。ほかに話題がない。

明日は大荒れの天候らしいので、在宅での仕事を終えてから日用品の買いものに向かう。

晩ごはん、白米、油揚げと小松菜の味噌汁、豚肉とキムチの炒めもの、かいわれ、麦酒。読書、『MONOCLE』5月号を読む。

Saturday, April 18

朝の音楽、Lido Pimienta「Miss Colombia」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

朝から悪天候で土砂降りの雨。ふだんの朝とちがって日輪の光の差し込まない部屋で、尾仲浩二の写真集をめくる。

昼ごはん、レトルトのカレー(煉瓦亭のポークカレー)、炭酸水。食後、ロベール・ブレッソンの監督した映画を二本見る。『バルタザールどこへ行く』(1964年)と『少女ムシェット』(1967年)。

雷雨が去って晴れたので、散歩ついでにスーパーで食料品の買いもの。

晩ごはん、蒸籠でつくる蒸し餃子、葱塩わかめスープ、キムチとかいわれ、麦酒。radikoのタイムフリーで佐藤オオキとクリス智子の「CREADIO」(J-WAVE)を聴く。コロナにまつわる話題をしているのだが、息の合った愉しげな会話が展開されていてとてもよい。

Sunday, April 19

早朝からの常備菜づくりののち、朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

外は快晴。近所をぐるっと散歩する。今週は一度も電車に乗らずに終わってしまった。

昼ごはん、豚肉と玉葱と万能葱の焼きそば、炭酸水。

ピスタチオと白ワインをお供に読書。鈴木理策の写真集『Water Mirror』(Case Publishing)と『Stream of consciousness』(edition.nord)をめくり、山田宏一『友よ映画よ わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』(ちくま文庫)を再読する。

晩ごはん、豚肉のステーキ、ジャーマンポテト、蛸とほうれん草とミニトマトのサラダ、赤ワイン。

感染症の流行はいつかは下火になる。いつ終わるかはわからないが、いつまで経っても終息しない事態にならないのは歴史が教えることである。ウイルスによって人類が絶滅することはなく、人類はゴキブリのようにしぶとく生き延びてゆく。