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Monday, April 6

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

気の緩められる瞬間が一度もない仕事が朝から晩までつづく。どっと疲れて免疫力が低下したので、いま新型コロナウイルスに感染したら症状が悪化するかもしれない。

晩ごはん、ソーセージとキャベツと人参のコンソメスープ、麦酒。

Tuesday, April 7

朝の音楽、Thundercat「It Is What It Is」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

日本政府により緊急事態宣言が発令されたようだが、こちらは炎上案件で緊急事態のオンパレードの渦中に巻き込まれているので、政府の動向にかまっている余裕はまったくなかった。

晩ごはん、おこわ、豆腐とわかめの味噌汁、麦酒。

Wednesday, April 8

朝の音楽、José James「No Beginning No End 2」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

後世から振り返ればまちがいなく大文字の歴史に刻まれる事態に遭遇しているのだから、時間に余裕があれば丁寧に報道を追うことをしたかもしれないが、いまは忙しすぎるので新型コロナウイルスの話題が他人事になりつつある。

晩ごはん、グリーンカレー、麦酒。

Thursday, April 9

朝の音楽、Grimes「Miss Anthropocene」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

行き帰りの電車は空いている。しかし体感的には、乗客の減少数は半分にも届かないと思われる。会社に赴くとほぼ全員が出社しているので、いつもどおり空気は淀んでいる。そして残業はつづく。

晩ごはん、カップラーメン、麦酒。

Friday, April 10

朝の音楽、Aaron Diehl「The Vagabond」を聴く。朝ごはん、スクランブルエッグ、ピーマンと赤パプリカのオリーブオイル炒め、ミニトマト、レモン、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

今週は読書に時間をあてる余裕がほとんどなかったものの、鞄にそっと忍ばせたのは、不穏な情勢を前にした喧しい騒音を打ち消すようなものを。ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(野矢茂樹/訳、岩波文庫)を読む。

あるできごとが起こったために必然的に他のできごとが引き起こされるといった強制は存在しない。存在するのはただ、論理的必然性のみである。

晩ごはん、おこわ、豚肉と長葱と茄子のスープ、麦酒。

Saturday, April 11

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

東急百貨店「東横のれん街」の移転予定はどうなったのだろうと思って渋谷ヒカリエのホームページを見たらオフィステナント従業員が新型コロナウィルスに感染したとのお知らせを見つける。雑誌の最新号の特集はどうなっているのだろうと思ってマガジンハウスのホームページを見たら社員が新型コロナウィルス感染したとの告知がでている。インターネットをひらくとコロナにあたる。

残業つづきなうえに営業時間短縮の店舗が多くて、今週は平日に食料品を調達する余裕がなかったので、やむなく本日近所のスーパーでまとめ買い。それなりに混んでいて、都心の繁華街に出向かないことが自粛なのだと勘違いされているようなきらいがある。多少混んでいても喋らなければ感染リスクは減ると思うのだが、人はやたらと喋る。不安な状況下においては、人は誰かと喋らずにはいられないのだろうか。

スーパーを逃れて近所の小さな店で消費活動。本屋で『POPEYE』5月号(マガジンハウス)と『FUDGE』5月号(三栄)を買って、花屋でスプレーバラとラナンキュラスを買って、酒屋でワインを買う。

昼ごはん、白米、小松菜と茄子の味噌汁、鯵のひらき、緑茶。午後は珈琲を飲みながら、買ってきた雑誌をめくる。『POPEYE』の東京特集と『FUDGE』のデニム特集。BGMは「シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲、浄夜」(イザベル・ファウスト、スウェーデン放送交響楽団)と「シチェドリン:カルメン組曲/レスピーギ:ローマの松」(マリス・ヤンソンス指揮、バイエルン放送交響楽団)。

『詳説 世界史研究』(山川出版社)で14世紀の黒死病に関する記述に目を通したら、ペスト流行による西欧の陥った悲惨な状況について書いてあるのだが、最後の最後は、なんとなく「めでたしめでたし」で終わっている感がある。

他方、黒死病は生存者に好機も与えた。人口の減少は食料需要の減少を意味し、領主は低い需要を埋め合わせるため、農業を多角化し牧畜業に転換した。同時に人口の減少は雇用の競争の低下を意味し、労働者は高い賃金を要求できるようになり、結果的に生活水準が向上した。疫病の時期の後には雇用機会が改善し、若年で結婚する者が増えたため、全体的に出生率が上昇した。

晩ごはん、牛肉のステーキ、ソーセージ、スキレットでトマト焼き、蛸とベビーリーフのサラダ、レモン、ミルクブレッドとパテ、赤ワイン。

Sunday, April 12

朝の音楽、The Weeknd「After Hours」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとわさびドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

「ザ・シネマ」が月額500円の映画配信サービスをやっていると教えてもらう。現在配信中のラインナップがエリック・ロメール、ロベール・ブレッソン、ホウ・シャオシェンの作品で、顧客のターゲットがピンポイントすぎる。そのピンポイントに嵌って会員になった。早速ロメールの映画を二本見る。『飛行士の妻』(1980年)と『美しき結婚』(1981年)。どちらの映画も、部屋を出ていこうとする人を引き留めようとする。

昼ごはん、蛸としらすとかいわれのパスタ、白ワイン。晩ごはん、合い挽き肉と長葱とレタスの蒸し餃子、わかめと小松菜の中華風スープ、麦酒。

細かな差異はいくらでも存在するが、いまの状況が東日本大震災の頃と似ているといえば似ている。あまたの人間が犠牲になっているにもかかわらず、じぶんのまわりでは実際的な被害は確認できなくて、事態のほとんどがメディアの向こう側で起きているところが、似ている。