489

Monday, March 23

朝の音楽、YeYe「30」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとレモンドレッシング、トマト、ミルクブレッドとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。

新型コロナウイルスをめぐる状況の、なんとも説明のつかなさが、知的関心事としてとても興味ぶかい。たとえば、イタリアでウイルス感染が猖獗を極めた理由について、国民性や衛生観念をもちだして説明を書き連ねている人がいるけれども、どれもじゅうぶんに説得的とは言い難く、あまり実証性のある話とは思えない。イタリア人の生活習慣上の特性を列挙したところで、ではなぜイタリアの「北部」で爆発的に流行したのかの説明にはならない。あるいはべつの視点から、イタリア北部は近年、中国人の往来が頻繁だったのだといわれても、たしかにそれは無視できない一因であるかもしれなが、決定的な結論だとはとても思えない。ビジネスやら観光やらで中国人は世界中のどこにでもいるのだから。さらには、同じく大流行中のイランはどうなのかといえば、イランの状況を説明するにはイラン固有の理由づけをもちだすことになり、話はきりがないというか意味がない。詰まるところ、集団感染の暴発が起こるかどうかは、運がいいか悪いかだけなのではという身も蓋もない話になる気がして、議論の煮え切らなさだけが残る。その茫漠としたところが知的興味をそそる。

読書。ヘンリー・ジェイ・プリスビロー『意識と感覚のない世界 実のところ、麻酔科医は何をしているのか』(小田嶋由美子/訳、勝間田敬弘/監修)を読む。

残業。晩ごはん、白米、大根とほうれん草の中華風スープ、麻婆豆腐、麦酒。

Tuesday, March 24

朝の音楽、Asa Tone「Temporary Music」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとレモンドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

読書。みすず書房のPR誌『みすず』の連載でおもしろく読んだ、山内一也『ウイルスの意味論 生命の定義を超えた存在』(みすず書房)を読む。

現在、われわれの周囲に存在するウイルスの多くは、おそらく数百万年から数千万年にもわたって宿主生物と平和共存してきたものである。人間社会との遭遇は、ウイルスにとってはその長い歴史の中のほんの一コマにすぎない。しかし、わずか数十年の間に、ウイルスは人間社会の中でそれまでに経験したことのないさまざまなプレッシャーを受けるようになった。われわれにとっての激動の世界は、ウイルスにとっても同じなのである。

残業。晩ごはん、オイルサーディン丼、大根とあおさの味噌汁、人参の糠漬け、麦酒。

東京オリンピックは中止ではなく延期になるとのことだが、となると世界が新型コロナウイルスに打ち勝ったうえでの五輪開催という薄ら寒い物語が醸成されそうで、いやな予感しかない。

Wednesday, March 25

朝の音楽、Asa Tone「Temporary Music」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとレモンドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

炉心溶融(メルトダウン)という、漢字×カタカナの組み合わせを報道で幾度も目にした時期から9年あまり経過し、現在、クラスター(集団感染)やらオーバーシュート(感染爆発)やらロックダウン(都市封鎖)やらの漢字×カタカナが、ふたたび。SNS界隈では9年前と同様、加速する不安感とともに喧々囂々の議論が繰り広げられているようで、ご苦労なことである。

読書。アルベール・カミュ『ペスト』(宮崎嶺雄/訳、新潮文庫)を読む。カミュという作家と相性が悪いのもあって、それほど魅力的な小説と思えず。

残業。晩ごはん、チリコンカンパスタ、麦酒。

夜、映画鑑賞。『マルタの鷹』(ジョン・ヒューストン/監督、1941年)を見る。

Thursday, March 26

朝の音楽、Jónsi「Love & Found」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとレモンドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

読書。小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』(春秋社)を読む。

残業。晩ごはん、ざるうどん、鶏肉と長葱としめじのつけ汁、アボカドと醤油、麦酒。

小池百合子が記者会見で掲げた「感染拡大 重大局面」というプラカードには、「チャッチャチャチャチャ、チャチャチャチャッチャチャ」と合いの手を入れたくなる。

Friday, March 27

朝の音楽、Terri Lyne Carrington「Waiting Game」を聴く。朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとレモンドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

エコノミスト誌は今週もCOVID-19関連の話題で埋まっている。ひとつの事象が誌面のほとんどを覆うのは稀だろうから、記録として紙媒体の購入を考えたのだが、きのう会社帰りに本屋を覗いても先週の号がまだ入荷していなかった。輸入が滞っているのだろうか。

そして残業はつづく。晩ごはん、日清食品のカップヌードル、麦酒。

Saturday, March 28

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフとレモンドレッシング、トマト、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。

東京都は週末の不要不急の外出自粛を求めているが、昨晩の帰り道、居酒屋を窓越しに見ると結構な人数が固まって飲み食いする光景を目にしたし、スーパーは駆け込む買い物客で大混雑だったらしいので、週末だけ自粛したところでどれほどの効果があるのか感はある。ウイルスの流行を抑え込むのであれば平日を含めて都市を徹底封鎖するのが有効なようなので、独裁国家は感染症対策に向いていると思う。

天気が悪いうえに臨時休業の店舗が多いので無理にでも外出する理由が消え、終日自宅にて。ラジオを聴く。J-WAVEの「RADIO DONUTS」を聴くと、はたしてこの番組は不要不急なのだろうかと渡辺祐はネタにするかもと思っていたら、やっぱりネタにしていた。

昼ごはん、牛肉とほうれん草のパスタ、白ワイン。

沼野充義の最終講義をYouTubeで視聴。「視点・論点」のような、放送大学のような光景。講義の題目は「チェーホフとサハリンの美しいニヴフ人 村上春樹、大江健三郎からサンギまで」。沼野充義は村上春樹の6歳年下という事実は、村上春樹の見た目が若いのか沼野充義に貫禄がありすぎるのか。

晩ごはん、蒸籠でつくる蒸し餃子、麦酒と紹興酒。

Sunday, March 29

朝から雪が舞っている。桜が満開の時期に雪が降る。朝ごはん、目玉焼き、サニーレタスとレモンドレッシング、トマト、イングリッシュマフィンとクリームチーズ、ヨーグルト、珈琲。きのうの紹興酒が残ってやや宿酔。胃薬を飲む。

窓の外の雪を眺めつつ、本棚にある写真集や図録の棚卸し。昼ごはん、豚まん、緑茶。夕方、映画鑑賞。『不滅の女』(アラン・ロブ=グリエ/監督、1963年)を見る。

晩ごはん、おこわ、豚汁、麦酒。InterFMのピーター・バラカン「Barakan Beat」を聴き、Radikoのタイムフリー機能で本日最終回の沖野修也「JAZZ ain’t Jazz」を聴く。