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Monday, July 22

先週の出張の疲れがいまだ残っていて、朝から晩までずっとねむい。

先日『WiLL』(ワック)の中吊り広告を山手線車内で見かけて、安倍政権を信奉する人びとの言説にはまったくついていけないものを感じたが、しかし同時に、反安倍を標榜する人たちによるこのたびの参議院選挙の結果をうけての反応もまた、どうにもついていけないものを感じた。最新号のエコノミスト誌によれば、今回の選挙の争点は消費税と年金と憲法らしいのだが、そのような長期的な制度設計にかかわる問題が、短い選挙期間のなかで議論が煮詰まるわけなどないのは自明であり、投票率も選挙結果もある程度想像できそうなもので、実際おおかたの事前予想とさしてズレることなく決着した。なんの驚きもない結果に対して、過度に反応する理由が見あたらない。消費税や年金は政権が交代したからといって直近でどうにかなるものでもなかろう。いまの制度設計が最良であるとはもちろん考えてはいないが、現状をひっくり返すような急激な変化のほうがよほど有害である。改憲勢力が3分の2を超えなかったこのたびの選挙結果は、そこそこバランスよく着地したのではないかと思っているのだが、これは危機感の欠如した鈍感な人間の感想だろうか。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、サニーレタス、トマト、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、お弁当。晩ごはん、白米、茄子と玉ねぎの味噌汁、豚キムチ、麦酒。

夜、Roberta Sá「Giro」を聴く。

Tuesday, July 23

きょうも疲れている。

最新号の『メトロミニッツ』(スターツ出版)はハンバーガーを特集している。都内のハンバーガー店の紹介とあわせて、ハンバーガーの日本における受容史をフリーペーパーとは思えない文章量で詰め込む、ひさかたぶりの好きなタイプの『メトロミニッツ』である。

朝ごはん、ベーコン、サニーレタス、トマト、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、お弁当。晩ごはん、蛸とトマトとベーコンのバターレモンパスタ、麦酒。

夜、Attacca Quartet「Caroline Shaw: Orange」を聴く。

イギリスの次期首相がボリス・ジョンソンに決まる。

Wednesday, July 24

大澤真幸『社会学史』(講談社現代新書)を読む。本書については『UP』(東京大学出版会)の6・7月号で佐藤俊樹が書評を書いているのだが、大澤真幸の語るマックス・ヴェーバーについての伝記的な事実関係が、ずいぶんとまちがっていることを指摘している。

最初に述べておくが、本書には通常の社会学史では考えにくい、初歩的な事実の誤りがいくつかある。
例えば「ヴェーバーは、39歳のとき、大学を退職します。……以降、ヴェーバーは一生大学に復帰しない。大学に戻らないかという話は何度かあったのですが、結局復帰しなかった」(10頁)。これは完全なまちがいで、ウェーバーはミュンヘン大学の正教授在職中に亡くなる。どんな社会学史にもこのことは出てくるし、日本語・英語・ドイツ語それぞれのWikipediaにも載っている。
現在ではもっと詳しくわかっている。野崎敏郎『大学人ヴェーバーの軌跡』(晃洋書房、2011年)によれば、ウェーバーはそもそも39歳のときにハイデルベルク大学を退職していない。病気のため講義はできず、報酬も辞退したが、学生指導はつづけており、教授会の正式な構成員でもあった。著者もふれているように、ウェーバーはハイデルベルク大学にG・ジンメルを招聘しようとした。結局、失敗に終わるが、彼は在野の研究者として運動したわけではない。最適任の人物を採用するよう、教授会の同僚たちに働きかけたのだ。
ウェーバーがハイデルベルク大学を退職するのは1919年6月、ミュンヘン大学に移るときである。バーデンの文部省に正式の退職願が出され、承認されている。だから、例えばヴェルサイユ講和条約への関与は、バーデンの公務員としての活動でもあった。この関与自体、ドイツ帝国の最後の首相マックス・v・バーデンとの関係によるものだ。マックス・v・バーデンはバーデン大公国の次期大公であり、それゆえ、ハイデルベルク大学の次期名誉総長でもあった。「大学に所属しないフリーの学者として高く評価されていた」(295頁)からではない。
これはたんなる履歴上の問題ではない。ウェーバーの代表作の一つに『職業としての学問』がある。このなかでウェーバーはさまざまな学術をとりあげて、それぞれが主張する「何をやっているか」と実際には何をやれているのかを、解剖実習のように、怜悧に精密に論定していく。そうやって、それぞれの学術の理想像(sollen)と現実(sein)の喰い違いと混同を、赤裸々に解き明かしていく。
野崎も強調しているように(野崎前掲323頁)、これは在野からのアカデミズム批判ではない。アカデミズムのど真ん中にいる学者が、全く講義できないにもかかわらず教授団の一員にとどまれるほど、アカデミズムで高く評価された学者が、アカデミズムが実際には何をやれているのかを徹底的に内部批判した。そういう意味で、凄まじい学問論なのである(佐藤俊樹「マックス・ウェーバーをめぐる最近の展開」『UP』2016年12月号も参照)。
要するに、ウェーバーは終生、大学人でありつづけた。ウェーバーの履歴や書誌には他にもいろいろ誤りがあるが、特にこれは『社会学史』の冒頭に出てくるように、本書全体に論理展開にも関わる。

佐藤俊樹はウェーバーと表記するので、引用文はヴェーバーで地の文ではウェーバーとなっている文章をながながと書き写してしまったが、それにしても講談社の校閲はなんの指摘もしなかったのだろうか。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、ベビーリーフ、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、お弁当。晩ごはん、豚肉をのせた温かい素麺、トマトとかいわれと冷奴、茄子とほうれん草の胡麻ドレッシング炒め、麦酒。

夜、Daniel Wohl「État」を聴く。

Thursday, July 25

『社会学史』のつづき。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、サニーレタス、イングリッシュマフィン、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、お弁当。晩ごはん、茄子とほうれん草とベーコンのアンチョビパスタ、麦酒。

夜、Mayer Hawthorne「A Strange Arrangement」を聴く。

Friday, July 26

本格的な夏の陽気の到来で、東京の暑さに辟易していたら、パリは40度超えだという。避暑をかねて夏場にヨーロッパを旅しようという考えは、もう改めたほうがよいのかもしれない。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、トマト、サニーレタス、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、お弁当。晩ごはん、鶏肉と玉ねぎとトマトとほうれん草のコンソメスープ、麦酒。

夜、『ゴールドウィン・フォリーズ』(ジョージ・マーシャル/監督、1938年)を鑑賞。

Saturday, July 27

日本列島に近づいてきた台風は温帯低気圧に変わったようだが、気圧の影響か、体調がすぐれず。部屋の掃除とアイロンがけで疲れてしまう。活字を追う気分になれないので、シンガポールの空港で買った『FEMALE』というファッション誌と、書棚から無作為に拾った展覧会図録(ザオ・ウーキーとアントニオ・ロペスのもの)を眺めてすごす。

朝ごはん、ソーセージ、目玉焼き、サニーレタス、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、オムライス、レモンソーダ水。ゴンチチの三上さんがラジオでことあるごとにオムライスの話をするものだから食べたくなって。晩ごはん、白米、茄子と長ねぎの味噌汁、野沢菜、みつばとレモンと冷奴、鯵のひらき、麦酒。

Sunday, July 28

雨が降るとの天気予報に反して現実は曇りのち晴れという降る降る詐欺に遭う。急いで洗濯機をまわして洗濯物を干す。

終日自宅にて、珈琲と読書。ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』(岸本佐知子/訳、講談社)、江國香織『旅ドロップ』(小学館)、松浦寿輝『人外』(講談社)を読む。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、鶏肉のレモン煮、サニーレタス、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、みつばを添えた月見うどん、冷たいお茶。晩ごはん、豚肉とニンニクのオリーブオイル炒め、トマト、サニーレタス、玉ねぎとかいわれのスープ、バゲット、麦酒と赤ワイン。