Monday, July 1
梅雨空がつづく。残業で疲弊。
近藤譲『ものがたり西洋音楽史』(岩波ジュニア新書)を読む。西洋クラシック音楽の歴史を教科書的に概観したコンパクトな本で、一般の大人向けの新書として上梓してもよさそうな水準の筆致で紡がれているが、これはジュニア新書である。ジュニア新書がターゲットとする読者層は中学生から高校生であろうが、しかしながら本書をさらっと読んで咀嚼する中学生がいたとしたら、インテリすぎて相当感じの悪い奴である。
晩ごはん、白米、小松菜と玉ねぎの味噌汁、まぐろの刺身、茶碗蒸し、ビール。
夜、山中千尋「Prima Del Tramonto」を聴く。
Tuesday, July 2
『みすず』7月号(みすず書房)と本庶佑『がん免疫療法とは何か』(岩波新書)を読む。晩ごはん、タコとオリーブのパスタ、ベビーリーフのサラダ、バゲット、ビール。夜、Emi Meyer「Wings」を聴く。
Wednesday, July 3
小倉紀蔵『京都思想逍遥』(ちくま新書)を読む。晩ごはん、水菜と鶏肉をのせたうどん、ビール。夜、Ryan Porter「Force For Good」を聴く。
Thursday, July 4
山本章子『日米地位協定 在日米軍と「同盟」の70年』(中公新書)を読む。
日本外交史家の明田川融は日米合同委員会について、「〔日米地位〕協定実施に関わって日米相互の協議を必要とする『すべての事項』を協議しているにもかかわらず、その秘密性から『密約製造マシーン』とも称される」と説明している(『日米地位協定』)。『朝日新聞』もこの委員会について、「委員会の議題も公開されず、『ブラックボックス』とも批判される」と解説している(2019年1月31日付朝刊)。だが、これらの議論は正確ではない。
明田川も記しているように、日米合同委員会は日米両政府の協議機関だが政府間の新たな合意を決定する権限はない。合意には別途、正式な閣議決定や通常の政府代表者同士の合意が行われる必要がある。つまり、日米合同委員会の場で日米「密約」が結ばれることはないのだ。
では、なぜ日米合同委員会が「密約製造マシーン」「ブラックボックス」と呼ばれるのか。それは2000年代初頭まで非公表だった日米地位協定の合意議事録にもとづいて、協定本文の規定に反する運用が行われてきたからである。日米安保条約改定時の「密約」である合意議事録に従った日米地位協定の運用が、日米合同委員会で確認されてきたことが、合意議事録の内容を知らない日本国民の目からは、あたかも日米合同委員会の場で「密約」が生まれているかのように見えているのだ。
夜、Kan Sano「Ghost Notes」を聴く。
自宅シネマ。『桃色の店』(エルンスト・ルビッチ/監督、1940年)を見る。
Friday, July 5
オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』(神吉敬三/訳、ちくま学芸文庫)を読む。晩ごはん、素麺、かつおのたたき、ビール。夜、Two Door Cinema Club「False Alarm」を聴く。
Saturday, July 6
曇天。『UP』7月号(東京大学出版会)を読む。楽しみにしている川添愛の連載「言語学バーリ・トゥード」に目をとおすと、まるで格闘技の話を挟むのが義務であるかのように、比喩がいちいち格闘技である。
実は私はSTO先生の著作の長年のファンであり、この連載もSTOスタイルを若干パクリ気味で開始してしまったため、まずはお会いしてきちんとご挨拶を、という意味の会合でもあったのだ。つまり図式としては、長州小力が長州力に挨拶に行ったようなものなのである。私がSTO先生の「天敵」であるなどという、初代タイガーマスクに対する「虎ハンター」小林邦昭のような立ち位置ではけっしてない。
恵比寿へ。東京都写真美術館で「場所をめぐる4つの物語」と「宮本隆司 いまだ見えざるところ」を鑑賞後、limArtに立ち寄って、NADiff a/p/a/r/tで「ニァイズ」のバックナンバーを手に入れる。
晩ごはん、ソーセージと種入りマスタード、トマトと紫玉ねぎとチーズとサニーレタスのサラダ、バゲット、赤ワイン。
Sunday, July 7
きょうも梅雨空。Fm yokohamaで堀内隆志が話すのを聴いて、ジョアン・ジルベルトの訃報を知る。
村上春樹+柴田元幸『本当の翻訳の話をしよう』(スイッチ・パブリッシング)と片山杜秀+山崎浩太郎『平成音楽史』(聞き手/田中美登里、アルテスパブリッシング)を読む。
晩ごはん、卵かけごはん、小松菜と長ねぎの味噌汁、わさび漬け、牛肉の蒸し煮、枝豆、さくらんぼ、ビール。