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Monday, May 27

佐藤卓己『流言のメディア史』(岩波新書)をおもしろく読む。詰まるところフェイクニュースなど昔からいくらでも存在したという話なのだが、とりあげられているエピソードがどれも興味ぶかい。

晩ごはん、生卵をのせた鮪のたたきとしめ鯖の海鮮丼、ほうれん草の味噌汁、麦酒。

夜、Michel Camilo「Essence」を聴く。読みさしだった蓮實重彦『帝国の陰謀』(ちくま学芸文庫)を読了。

Tuesday, May 28

吾妻光良 & The Swinging Boppersの新譜「Scheduled by the Budget」をSpotifyで聴く。楽しい。しかしバッパーズはレコードを出してくれたら買うのにといつも思うのだが、吾妻さんはレコードに関心がないのだろうか。

晩ごはん、若鶏の骨つき肉の酒蒸し、レモン、クレソン、オリーブ、麦酒。

Wednesday, May 29

登戸駅近くで通り魔事件が発生。不幸な事件ではあるが、過去発生した数ある通り魔事件と何かが異なるのかといえば別段特異性を見出すことはできないので、報道が無駄に感情移入する必要はない。

きのうときょうにかけて、松尾秀哉『ヨーロッパ現代史』(ちくま新書)を読んでいたのだが、最後の「あとがき」のところで、こんな痛々しい「あとがき」ははじめて目にしたと思った。

実はもう一年前に刊行するつもりで書いていたが、大幅に遅れてしまった。何より私の不出来で勉強しなければならないことが多すぎたことに原因があるが、執筆が職場の移籍と重なって引越しの際に利き腕の右肩を脱臼し、着任時でしっかり治せずそのまま重症化したことも原因だ。夏から治療したが良くならず、激痛で睡眠さえままならず、風呂や食事の時に寝落ちして気分も滅入っていたが、「どうせ寝られないなら」と夜中に書くことにした。
しかし右手は痛くて動かず、左手一本でパソコンをうった。そうすると左手が攣るようになり、痛くて夜中に叫んでいたのだが、あるとき左手が攣って痛いときは相対的に右手の痛みが軽減されることに気づき、右手でうつことができた。この「痛みの相対性」を発見し、ようやくコントロールして執筆できるようになった。ようやく快方に向かっているらしい。が、まだ痛い。

「痛みの相対性」を発見とかいってないで、治療に専念したほうがよいのでは。

晩ごはん、ひやむぎ、かまぼこ、まぐろの刺身、麦酒。夜、Francesco Tristano「Tokyo Stories」を聴く。

Thursday, May 30

『古代史講義 戦乱篇』(佐藤信/編、ちくま新書)を読んでいたら、つぎのようなくだりに出くわす。

本稿で取り上げる「橘奈良麻呂の変」は、学校教育の場ではおそらく印象が薄い事件の一つなのではないだろうか。小学校・中学校の教科書には見られず、高等学校の日本史の教科書でも全てにおいて触れられているわけではないため、古代史に強い関心をお持ちでない限り、高校で日本史を履修しなければその名を知る機会さえない事件である。しかしながら、知名度が低いこの事件が、歴史上の重要性も低かったかといえば、決してそうではない。

日本の古代史に別段関心があるわけではないのだが、大学受験で日本史を選択したので橘奈良麻呂のことは記憶の片隅に残っている。若い時分の「詰め込み教育」は重要である。詰め込めるだけ詰め込んでおいたほうがよい。あとで効いてくる。

夜、Bill Frisell/Thomas Morgan「Epistrophy」を聴く。

Friday, May 31

『中世史講義 院政期から戦国時代まで』(高橋典幸・五味文彦/編、ちくま新書)を読む。India.Arie「Worthy」を聴く。『グッバイ、レーニン!』(ヴォルフガング・ベッカー/監督、2002年)を見る。

Saturday, June 1

スターバックスにて。Spotifyで音楽を聴きながら雑誌をめくる。Foxygen「Seeing Other People」、PROTO「Holly Herndon」、UNKLE「The Road: Part II (Lost Highway)」を聴く。

福岡を特集している最新号の『Hanako』にかんして、版元であるマガジンハウスのWebページ上に、誤植についてのお詫びが掲載されている。

誤:2018年末に聞いた→正:2018年末に開いた

漢字変換を間違えたわけでもなく、キーボードを叩き間違えたわけでもなさそうだし、何かをコピペしてもこうはならなそうだし、不思議な誤植である。

フィルムアート社50周年記念冊子『かみのたねをまく』を読む。冒頭に蓮實重彦による小文が掲載されているのだが、以降、映画について書いている執筆者の多くは、蓮實重彦に対する愛憎の吐露のようなことになっている。

『図書』6月号(岩波書店)、『みすず』6月号(みすず書房)、デイヴィッド・シルヴェスター『フランシス・ベイコン・インタビュー』(小林等/訳、ちくま学芸文庫)を読む。ベーコンのインタビュー本は、保坂健二朗による解説が参考になった。

晩ごはん、焼売、麻婆豆腐、わかめスープ、麦酒。

Sunday, June 2

ひさかたぶりの清澄白河。しまぶっく、smokebooks、POTPURRI、POTPURRI、L&HARMONYなどのお店をめぐりながら、途中でブルーボトルコーヒーで休憩。リニューアルした東京都現代美術館を訪問。企画展「百年の編み手たち 流動する日本の近現代美術」と常設展「MOTコレクション第1期 ただいま/はじめまして」を見る。夜、清澄白河フジマル醸造所で夕食。