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Sunday, November 18

ホテルで朝食。このたびの旅行はずっとおなじホテルで、毎朝一緒のものを食べることになるから朝食の評判のいいホテルを選んだ。評判どおりとてもおいしい。しかし今回の旅行で一生分のイングリッシュ・ブレックファストを食べた感じである。

ロンドンの天気には一切期待していなかったのだが、本日は見事な晴天。ロンドン市内の公共交通機関で使うICカード(オイスターカード)を地下鉄の駅で購入して、街の散策をはじめる。地下鉄の駅構内に感心したのは、進路が可能なかぎり一方通行になっていることで、ひとの流れがシステマティックにできあがるようになっている。とても合理的な構造。もっとも、その流れをつくるために利用客は駅構内を実際の距離以上に歩かされている気もするが。

ヴィクトリア駅からチョーク・ファーム駅へ。プリムローズ・ヒルに向かう。小さな丘からロンドン市街地を一望できるスポット。ジョギング中の男女にロンドンの街をバックに写真を撮ってくれと頼まれるも、逆光なのでひとの顔はほとんど影でしかないイマイチな写真ができあがる。「Thank you!」といわれるもスマホの画面をみつめて微妙な表情をしていた。

地下鉄でオックスフォード・サーカス駅へ。駅周辺はファストファッション・ストリートと呼びたくなるほど、ファストファッションの店ばかりがならぶ。りんごの旗の掲げられたアップルストアがかっこよかった。

午前中までに入館すると無料なので開館と同時に向かったのはThe Photographers’ Gallery。第二次世界大戦前後のユダヤ人の姿を写したローマン・ヴィシュニアックの作品をならべた企画展がとてもよかった。鑑賞後、ギャラリー近くにあるSister RayとReckless Recordsのレコード店ふたつをまわる。Sister Rayにブロッサム・ディアリーの欲しいレコードがあったのだが、50ポンドもするのでレコードではなくトートバックを買って店をあとにする。

オックスフォード・サーカス駅からパディントン駅へ。『モノクル』がやっている雑誌&カフェの店Kioskaféを訪ねる。ノートとトートバックを買う。事前に知識として知ってはいたものの、イギリスでは文房具が阿呆みたいに高額である。

サウス・ケンジントン駅。ヴィクトリア&アルバート博物館を訪問。とりあえず休憩しようとカフェに向かうと、豪華絢爛な建築なのに雰囲気はショッピングモールにあるフードコートみたいで不思議な空間が広がっていた。日曜日ということもあってか、大変な混雑っぷり。オレンジジュースを飲んで休息。フリーダ・カーロの企画展が旅程の直前に会期終了を迎えることは事前に知っていたのだが、博物館を訪れてみたら好評だったようで会期を延長していた。もっともチケットはすでに売り切れ。展覧会の図録だけ買って、常設展だけを見学する。常設展だけといっても膨大な展示数で、見たいものに絞っての鑑賞。日が暮れた頃に博物館をでて、お隣の自然史博物館の前で賑わっているスケートリンクとメリーゴーランドの楽しげな光景を眺めてからヴィクトリア駅に戻る。

夜はホテルちかくのSeafreshで夕食。陽気な店員が迎えてくれる。はじめてのフィッシュ・アンド・チップス。おいしい(おいしいと評判の店を探したのだから当然だが)のだが、量が多いうえに味が単調なので途中からだんだんつらくなってくる。イギリス料理がとやかくいわれるのは、味が薄くて単調なのと、テーブルに置いてある塩と胡椒で勝手に味付けをアレンジせよというスタンスにあるのではないかという気がしてくる。揚げもの×揚げもの、というのもどうなのか。野菜を食べたい。