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Monday, September 3

Sumie「Lost In Light」を聴く。朝の読書、チャールズ・ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』(石塚裕子/訳、岩波文庫)の第2巻。勢いよくどんどん物語が進むなか、その翻訳文でひっかかりをおぼえたのは「意欲満々亭」なるパブの存在である。すごい店の名前だ。意欲満々亭。麦酒ではなく紹興酒が出てきそうな店名であるが、パブと書いてあるのでパブなのだろう。原文でどう表現されているのか気になって確認したら‘The Willing Mind’とあって、あらためて「意欲満々亭」という訳文に感銘を受ける。

曇天から雨。行き帰りの通勤時間を埋めるためにと、先週火曜日に本屋で購入したタイム誌を読み終える。

夜ごはん、白米、納豆、茄子と玉ねぎの味噌汁、豚肉とキャベツと人参の炒めもの、冷奴、きゅうりと人参の漬物、麦酒。

Tuesday, September 4

the innocence mission「Sun On The Square」を聴く。朝の読書、『みすず』9月号(みすず書房)。

台風21号が関西圏を直撃。関東地方も夕方から夜にかけて強い風が吹いている。台風の到来にあたって、毎度お馴染みの「不要不急の外出を控えるように」とのお達しを気象庁が出しているようだが、そんなゆるい表現を使っているから会社員人生以外に居場所のない者たちがひょいひょい嵐のなか出社してしまうのである。「じぶんがいなかったらこの仕事はまわらないと思っている人がいたら、それは失笑を禁じ得ない妄想であり、あなたがいなくても、なんならあなたがいま死んでも、業務にさしたる影響はないし、あなたがこの世から消えた数週間後、数ヶ月後にはあなたの存在などまるでなかったかのように仕事はまわります。ですから本日の出社は自己満足以外の価値をもちませんから取りやめてください」くらいの丁寧な表現で勧告する必要があると思われる。

関西空港が水没している。

夜ごはん、白米、納豆、豆腐とほうれん草の味噌汁、鯵のひらき、人参の漬物、たくあんの醤油漬け、小松菜のピリ辛炒め、麦酒。

Wednesday, September 5

台風の残滓で雷鳴轟く朝まだき。朝の音楽、ネヴィル・マリナー指揮&アカデミー室内管弦楽団でヘンデル「王宮の花火の音楽」。朝の読書、『UP』9月号(東京大学出版会)。

ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』の第3巻を半分ほど読む。

夜ごはん、鶏肉とじゃがいものコンソメスープ、アボガドとトマトとサニーレタスのサラダ、赤ワイン。

Thursday, September 6

北海道で震度7の地震。台風のつぎは地震。地震の影響による停電で北海道全域の鉄道が止まった。

夜ごはん、茄子と麻婆豆腐、溶き卵の中華風スープ、きゅうりの漬物、麦酒。

Friday, September 7

クラウディオ・アラウの演奏でモーツァルトのピアノソナタを聴く。朝の読書、『図書』9月号(岩波書店)。

午後半休からの自宅シネマ。『アラビアのロレンス』(デヴィッド・リーン/監督、1962年)を鑑賞。初見。このたび見たのは1988年に再編集された完全版で上映時間は227分。この映画に関してWikipediaを参照すると、つぎのようなことが書いてある。

映画では冒頭でバイク事故死させることでアラブ時代の自身との決別を描き、また映画の最後でロレンスの乗った車がバイクに抜き去られるシーンは、非アラブのトルコ人対アラブ人という民族対立の構図からスンナ派のハーシム家対ワッハーブ派のサウード家の部族間対立へと移り変わろうとする時代の流れに置いていかれようとするロレンス達のヒジャーズ王国を暗示していた。また、映画の公開時はイギリスがスエズ運河を失った第二次中東戦争と第三次中東戦争・第四次中東戦争の間という中東の情勢が緊張した時期であったことから、アラビアに再び起きようとする資源ナショナリズムという現実の時代の流れ、即ちソビエト連邦とエジプト・シリア・ヨルダンの行動や、米国がベトナム戦争直前の情勢緊張から中東まで手が回らないことによりイスラエルを失う可能性、イギリスがオイルメジャーの利権を失う可能性を演出する極めて劇的な政治的メッセージを持つ仕掛けだった。

このような話は説明されないとわからない。もっとも、あまりにややこしすぎて説明されてもよくわからないが。

夜も映画。アキ・カウリスマキの映画を二本見る。『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』(1987年)と『真夜中の虹』(1989年)。

Saturday, September 8

武邑光裕『ベルリン・都市・未来』(太田出版)を読む。ベルリンの現在形を活写する都市論であるが、ベルリンに愛着のある執筆者の書くものなので、あまりに楽観的にすぎるのではないかと感じる筆致が目につく。

お昼ごはんは五反田にある洋食店グリフエフで。いちおうは裏メニューのはずなのだが、有名になりすぎてみんな注文するものだから事実上は看板メニューとなっているハヤシライスを食べる。

山手線で新宿まで向かい、京王線に乗り換えて芦花公園へ。世田谷文学館で「ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ」を見る。

恵比寿に移動して、スクールデレック芸術社会学研究所でやっているダレン・アーモンド「時の光」を見るためにナディッフに赴くも、臨時休廊。8月に訪れたときはお盆休みで休廊。見れずじまい。G/P Galleryで多和田有希「悪魔祓い、系統樹、神経の森」を見てから、東京都写真美術館へ。「TOPコレクション たのしむ、まなぶ 夢のかけら」「杉浦邦恵 うつくしい実験 ニューヨークとの50年」「マジック・ランタン 光と影の映像史」を鑑賞。会場ではスタンプラリーをやっていて、カレー沢薫の描いたイラストがプリントされた消しゴムをもらう。しかしこれ、「ニァイズ」を知らない人がもらったら意味不明である。

夜ごはん、マグロとハマチの海鮮丼、味噌汁、大根の醤油漬け、麦酒。

Sunday, September 9

やや胃がもたれたので朝食はお粥、昼食は素麺。午前の読書は、四方田犬彦『神聖なる怪物』(七月堂)。

静岡にある文化複合施設のクレマチスの丘がなくなるとの噂を目にする。明確になくなると記された文章を見つけられなかったのであくまで噂の域をでないようではあるが、なぜこんな話がでてくるかといえば、不正融資問題でいま報道を賑わせているスルガ銀行がクレマチスの丘の運営母体だからだ。火のないところに煙は立たぬ。クレマチスの丘の運営がスルガ銀行であるのをはじめて知った。

午後の読書は、福尾匠『眼がスクリーンになるとき ゼロから読むドゥルーズ『シネマ』』(フィルムアート社)。ドゥルーズは苦手なのだが、本書を読んでも苦手意識は改善されず。

夕方、ネルソンス指揮&ボストン交響楽団によるショスタコーヴィチの交響曲第4番と第11番を聴く。ショスタコーヴィチのシンフォニーはやかましいな。

夜ごはん、マッシュルームのリゾット、生ハム、ポテトサラダ、蒸したブロッコリー、赤ワイン。