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Monday, August 27

三日坊主になってしまう予感がなくもないけれど、朝起きたら音楽を聴きながら本を読むのをこれからの習慣にしようと目論む。4時45分起床、バーンスタイン指揮によるニューヨーク・フィルハーモニックの演奏でハイドンの「戦時のミサ」を聴く。朝の読書は、レベッカ・マカーイ『戦時の音楽』(藤井光/訳、新潮社)。

本日もまた、辟易するような暑さ。夏はもういいよ。

夜ごはん、ベーコンとほうれん草のパスタ、麦酒。食事を終えたあたりで窓の外に光がさす。雷。ひさかたぶりの凄まじいゲリラ豪雨で、停電するんじゃないかと心配になるほどの雷ゴロゴロ。

さくらももこ死去の報せに驚く。

Tuesday, August 28

ヘニング・シュミート「Klavierraum」を聴く。朝の読書、アンヌ・ヴィアゼムスキー『それからの彼女 Un an après』(DU BOOKS)。いつもイライラしている1968年のゴダール。

出勤時は暑さは多少緩和されたものの、帰宅時はいつもどおりのげんなりする蒸し暑さ。

ポール・クルーグマンがアメリカにおけるデモクラシーの機能不全を嘆いて、このままだとポーランドやハンガリーのようになるぞとニューヨークタイムズ紙のコラムに書いている [1]。去年ポーランドを旅して「親ポ派」となった身としては複雑な気分だが、強権化の様相を呈している現在のポーランド政府については各種報道のとおりである。旅のあいだはポーランドに対して牧歌的な雰囲気しか感じなかったのだが、数日旅した程度では、その国のことなどわかりはしない。旅をするとその土地についてなにかをわかったように錯覚するので気をつけたい。

夜ごはん、茹でた豚肉とキムチをのせたひやむぎ、麦酒。石弘光の訃報を知る。

Wednesday, August 29

ローラ・マーリングとマイク・リンゼイのコラボアルバム「LUMP」とLaura Veirs「The Lookout」を聴く。朝の読書、『社会が現れるとき』(若林 幹夫・立岩真也・佐藤俊樹/訳、東京大学出版会)。おもしろい論文集だった。

夜ごはん、鶏肉とセロリとトマトのコンソメスープ、かぼちゃのパテ、バゲット、赤ワイン。

Thursday, August 30

アルバン・ベルク弦楽四重奏団の演奏でモーツァルトの弦楽五重奏曲第3番と第4番を聴く。朝の読書、いとうせいこう・みうらじゅん『雑談藝』(文藝春秋)。

サマータイム導入の賛否は、そのひとの思考力と想像力を試すリトマス試験紙のようになっている。

夜ごはん、醤油ラーメン、キムチ、麦酒。

自宅シネマ。『マドモアゼルC ファッションに愛されたミューズ』(ファビアン・コンスタン/監督、2013年)を見る。

Friday, August 31

朝まだき、グレゴリオ聖歌を聴きながら吉田秀和『名曲三〇〇選』(ちくま文庫)を読む。

御茶ノ水にあるジャニスのレンタル店が閉店するという。タワーレコードやディスクユニオンで欲しいCDすべてを買えるほどの予算はなく、かといって基本的に売れ線に限られるツタヤのレンタルでは話にならないといったとき、救世主がジャニスという存在であった。だから、たぶん多くの人がそうであるように、お金はあまりないけれど音楽への好奇心は高かった学生のころにしばしば通っていた。ところで、ジャニスあるあるのような話だが、膨大な在庫のなかにはブート盤らしきものもたくさんあって、これははたして合法なのか? と訝しく思うものも平気でレンタル可能だった。マニアが涎を垂らして喜ぶようなものがわんさかあったわけである。詰まるところそれは、いまのインターネットである。怪しげなものも含めてなんでもアクセス可能という状態はインターネットそのものであり、インターネットの興隆によりジャニスが閉店するというのは、ほとんど必然的なことに思える。ジャニスという店は、インターネットにおけるコンテンツが充実するまでのあいだのポップアップストアみたいなものだったと定義できるかもしれない。

夜ごはん、横浜特集の『Hanako』(マガジンハウス)を読んだら食べたくなって、崎陽軒のシウマイ弁当と麦酒。

Saturday, September 1

Spotifyを使いはじめて「最近の音楽」を聴くようになった。聴いてみたい音楽が数多あるのでおなじアルバムをリピートするのは稀なのだが、Idris Ackamoor and the Pyramids「An Angel Fell」とTom Misch「Geography」は何度か繰り返し聴いている。

曇天。近所の理髪店で髪を切り、食料品の調達のためにスーパーで買いもの。

自宅にて。バッハの無伴奏チェロ組曲全曲(ヨーヨー・マ)とブラームスの交響曲全集(バレンボイム&シカゴ交響楽団)を聴きながら読書。片岡義男『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、岡田温司『アガンベンの身振り』(月曜社)、芥川喜好『時の余白に 続』(みすず書房)を読む。

夜ごはん、白米、辛子明太子、豆腐と三つ葉の味噌汁、鮪のたたき、きゅうりの漬物、枝豆、麦酒。

Sunday, September 2

アバドとアルゲリッチの共演による、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番&第25番を聴く。朝の読書は、新聞。ファイナンシャルタイムズ紙の週末版を読んだら、今月9日に実施されるスウェーデンの総選挙についての記事がある。極右政党と評されるスウェーデン民主党がどこまで票を伸ばすかが注目。しかし極右なのに「民主党」って名前なのすごい。

朝の映画。『世界』(ジャ・ジャンクー/監督、2004年)を見る。

午後は読書。 チャールズ・ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』(石塚裕子/訳、岩波文庫)の第1巻を読む。BGMはフィリップ・グラス。グラスの単純な音型には食傷気味になるけれどヴィキングル・オラフソンの弾くグラスはいい、と坂本龍一が宣伝文を寄せていたのでそれを聞いている。アイスランド生まれのピアニストによる演奏。

夜ごはん、白ワインビネガー風味の豚肉とほうれん草とトマトのソテー、ジャガイモのポタージュ、カマンベールチーズ、麦酒。

  1. Why It Can Happen Here : We’re very close to becoming another Poland or Hungary. []