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Monday, August 20

ないものはない。radikoのプレミアム会員なので日本全国のラジオ局の放送を聴ける環境にあるのだが、京都のFM放送局α-STATIONの番組「NICE POP RADIO」をここ東京でかかさず毎週聴いている。番組のDJをつとめるスカートの澤部渡による選曲がとてもよくて、今週はブロッサム・ディアリーについて熱く語っていた。熱く語りすぎて途中からちょっとやばい人のテンションになっていたのだが、それはともかく、今年発売されたブロッサム・ディアリーのオランダで録音された未発表音源集「Lost Sessions from The Netherlands」を取りあげていたので、早速Spotifyで検索してみたところ、なかった。Spotifyの不満は、思いつきのてきとうなワードで検索するとずらずらと結果が表示されるのに、ピンポイントで探すと意外と肩透かしを食らうことだ。ないものはない。

Tuesday, August 21

あるものはある。自宅の本棚にある何冊かのディスクガイドを取り出して、そこに載っているアルバムをSpotifyで検索してみる、という作業を繰り返している。わりとある。音楽のジャンルにもよるのだが、結構あるといってよい。あるものはある。定額制音楽ストリーミングサービスが変えてしまった音楽聴取環境については、さまざま論じられているのでいまさら追加する論点などとりたててないのだが、地味なところでいえば、ディスクガイドというもののありかたも変えてしまったように感じる。ふつう読者の側からすれば、よほどの好事家で資産家でもないかぎり、ディスクガイドに載っている楽曲をすべて聴こうなどとは考えない。買う金がない。ディスクガイドの書き手の側も、ぜんぶ聴く読者なんてあまり想定していないと思う。しかしながら、ストリーミングサービスは原理的にはすべて聴けてしまう可能性を生んだ。

Wednesday, August 22

コーディー・キャシディー&ポール・ドハティー『とんでもない死に方の科学 もし○○したら、あなたはこう死ぬ』(梶山あゆみ/訳、河出書房新社)を読む。楽しい本。

夜ごはん、めかじきのステーキ、じゃがいものポタージュ、紫キャベツとベビーリーフのサラダ、バゲット、麦酒。

Thursday, August 23

マックス・ウェーバー『仕事としての学問 仕事としての政治』(野口雅弘/訳、講談社学術文庫)の訳者あとがきより。

30年ほど前に初めてこの二つの講演を読んだとき、わたしが感じたのは「重さ」だった。逃げようにも逃げられず、壊そうにも壊せない「近代」の宿命を見据えたのがウェーバーという人だ、というのが、そのときの理解だった。しかし、今回、翻訳をしながらそこに感じたのは、むしろ「軽さ」の感覚のほうだった。
そのため、この訳書では「重厚長大」な表現はなるべく避けるようにした。「諸君」、「我々」、「我が国」など、わたしが日頃使わない表現はもちろん使わなかった。ウェーバーの一人称は「ぼく」、(明確な目標を前提にした)チャンスではなく「偶然」、僥倖は「サイコロ賭博」、ザッヘは「なにごとか」、脱魔術化は「魔法が解ける」、猟官は「就職活動」、服従は「言うことを聞く」、追従者は「フォロワー」、ディレッタントとディレッタンティズムは「物好きな素人」と「素人芸」、学者は「研究者」、献身は「コミットメント」と訳した。

マックス・ウェーバーが「ぼく」!

夜ごはん、鶏肉と万能ネギをのせた醤油ラーメン、人参と茗荷の漬物、麦酒。

Friday, August 24

今週ずっと断続的に読んでいたのは、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(御輿哲也/訳、岩波文庫)。

夜ごはん、チキンステーキ、サニーレタスと紫キャベツのサラダ、かぼちゃのパテ、バゲット、赤ワイン。

Saturday, August 25

御茶ノ水にあるディスクユニオンのジャズ専門店に向かう。ちょうど廃盤セールに搗ち合ってしまったようで、レコード棚のまわりは人で溢れかえっている。溢れかえるのはいいのだが、いるのはおっさんばかりだ。レコード女子はおろか若い男性もいない。見事なまでに中高年男性の溜まり場となっている。セールといっても千円とか二千円とかではなく、五千円オーバー、さらには一万円を超えるレコードもずらずらあって、それらを中高年たちがひょいひょい抜いていく。深入りしないほうが身のための趣味だな、とあらためて思った。

小学生低学年くらいの男の子とその父親が併設のソウル・レアグルーヴ館から出てきて、「ドラえもんのレコードなかったね!」と父親に話しかけている。当たり前だ。あるわけがない。父親がレコードを見たくて出掛けようとしたら、妻に子供の面倒みてよと言われ、ドラえもんのレコードがあるかもよと騙くらかして子供を連れてきたのだろうか。

お昼ごはん、神保町の揚子江菜館で冷やし中華と麦酒。

東京堂書店で新刊をひととおりチェックしたあとで、なにも東京堂書店で買うこともないだろうと思いつつ『Hanako』(マガジンハウス)の最新号を買う。

神保町から銀座に移動。「宇多村英恵 戦争と休日」(資生堂ギャラリー)と「山口はるみ+YOSHIROTTEN Harumi’s Summer」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)を見る。資生堂パーラーは長蛇の列だったのでAUX BACCHANALESで休憩。ギネスを飲みながら『花椿』の秋号を読む。

銀座から麻布十番に移動。どこが納涼なのかという暑さにうんざりしつつ麻布十番納涼まつりに向かう。今年も国際バザールは復活せず。高級中華料理店の中国飯店 富麗華が納涼まつり向けに安価で提供するものを食べながら麦酒を飲んで、お祭りの様子をざっくり観察する。脇道に入ると道路に人がずらずらと座ってスマホ片手にSNSをやっている。地べたからのフェスティバル・レポート。最後にbeillevaire 麻布十番店でソフトクリームを食べて帰る。

Sunday, August 26

アニー・ディラード『アメリカン・チャイルドフッド』(柳沢由実子/訳、パピルス)を読んでから、図書館と買いもの。

自宅に戻ってクーラーの効いた部屋で麦酒を飲みながら雑誌を読む。マガジンハウスまみれ。きのう買った横浜特集の『Hanako』、表紙の写真がいいなと思って撮影者を確認したら例によって横浪修。このあいだAmazonで取り寄せた2015年刊行の『BRUTUS』、特集はロンドン。図書館で借りた今年6月号の『POPEYE』、特集は「ぼくの好きな音楽」。

岡本仁『東京ひとり歩き ぼくの東京地図。』(京阪神Lマガジン)を読む。東京についての本なのになんで版元が京阪神Lマガジンなのだろうと思ったが、出版社のホームページをみて東京をテーマにした本もたまにつくっていることを知る。

夜ごはん、サーモンのステーキ、サニーレタス、かぼちゃのパテ、バゲット、麦酒。