394

Monday, August 13

勝手にジャン=リュック・ゴダール映画祭。自宅のプロジェクターで『ウイークエンド』(1967年)と『彼女について私が知っている二、三の事柄』(1966年)を見る。

夜も映画。『白い花びら』(アキ・カウリスマキ/監督、1999年)を見る。

Tuesday, August 14

夏生まれだが夏が嫌いなので一日も早く夏が終わって欲しい。

本日も勝手にゴダール映画祭。『ゴダールの探偵』(1985年)と『ゴダールのリア王』(1987年)と『新ドイツ零年』(1991年)を見る。ゴダールの作品群で好きなのは60年代ゴダールと90年代以降のゴダールだと再認識する。70年代ゴダールはその姿勢の意義は理解するものの作品自体はそれほどおもしろいと思わない。80年代ゴダールはそもそもおもしろくない。

渋谷のツタヤで、アラン・ドロンが主演をつとめた1990年のゴダール作品『ヌーヴェルヴァーグ』を借りたつもりが、まちがえて同名タイトルのヌーヴェルヴァーグについて紹介するドキュメンタリー映画を借りてしまった。十数年前にもおなじことをやらかした記憶がある。

夕食、牛肉のソテー、サンーレタスと紫キャベツとミニトマトのサラダ、玉ねぎとセロリのコンソメスープ、バゲット、シャンパン。

Wednesday, August 15

この夏は旅する予定がないので、晩秋に予定している旅の行程を考えて一日が終わる。

若山曜子『アペロ フランスのふだん着のおつまみ』(立東舎)を読む。レシピ本。夕食の前に簡単なおつまみと一緒に軽くお酒を飲む「アペロ」なるフランスの習慣が、日本において形式的には流行するかもしれないがはたして本質的な部分で定着するだろうか訝しい。2時間飲み放題とかいっているこの国で。

夕食、鶏雑炊ラーメン、きゅうりと人参の漬物、たこさわ、ビール。

Thursday, August 16

朝の電車が空いている。読みさしだった大江健三郎『美しいアナベル・リイ』(新潮文庫)を読み終える。

いまさらながらSpotifyを使いはじめている。有料会員にもなった。定額制音楽ストリーミングサービスの存在はこれまで食指が動かなかったのだが、クラシック音楽が結構充実していると知って、試しに使ってみたら確かに豊富な品揃えである。作曲家や演奏者で検索すると、どばーっとでてくる。聴ききれないほど、どばーっとでてくるのがよい。音質論争に踏み込まなければ、Spotify(Apple Musicでもいいけど)でもう十分なのではと思えてくる。

夕食、チャーハン、シュウマイ、卵と小松菜の中華風スープ、ビール。

Friday, August 17

アリーサ・フランクリンの訃報。「Aretha In Paris」のレコードに針を落として追悼。

湘南新宿ラインで恵比寿駅から宇都宮駅へ。列車に揺られている時間が長いのでひたすら読書。井上荒野・江國香織『あの映画みた?』(新潮社)、伊藤貞夫『古代ギリシアの歴史 ポリスの興隆と衰退』(講談社学術文庫)、山川偉也『古代ギリシアの思想』(講談社学術文庫)を読む。

栃木県立美術館で「ウェザーリポート 風景からアースワーク、そしてネオ・コスモグラフィア」を鑑賞。美術館の所蔵品を中心としながらも意欲的な構成の展示で、世界的に狂った天候の連続であった今夏にふさわしい(?)見応えのある展覧会だった。会場の冒頭に掲げられたつぎのリード文もいい。

「どんな天気でも、それはいい天気なんだ」
ドイツの彫刻家ヨーゼフ・ボイスは人間の都合とは無縁の自然の摂理をこう表現しました。巨大地震、津波、スーパー台風、連続豪雨、竜巻の突発、大洪水などが世界各地で頻発するこの21世紀になってもこの箴言は有効でしょうか。
このような気象現象を視覚化したのは風景画といわれています。しかし風景画は空間恐怖(ホロル・ヴァクイ)を克服すると同時に、空間の自由な表象化を固着し、今日の観光化された表象のモデルを提供することともなりました。
その一方で、風景画の成立に先立ってコスモグラフィアという地球画とも宇宙画とも呼ぶべき図像が誕生したことは美術においては重視されてきませんでした。それは天文学や地理学と美術が交差する機会がほとんどなかったからと考えられます。しかし、望遠鏡などの光学装置とヘリコプターや飛行機、宇宙探査機などの飛翔機械の目覚ましい発達によって、かつて風景画が提起した水平的眼差しとは異なる垂直的眼差しが美術に視覚革命ともいうべき事態をもたらしました。
本展は風景を成立させる基体としての大気の上層にある光源と地表、そして不可視の光源であるマグマを結ぶ垂直軸と地表的な水平軸の交差における眼差しのダイナミズムから美術における新たな世界画としてのネオ・コスモグラフィアの可能性を探る試みです。

宇都宮の駅ビルにある青源で餃子を食べてから都内に戻る。

ナディッフアパートに向かうもギャラリーはお盆休みでほとんど休廊。唯一やっていた地下の展示、田中麻記子「Vu Vu」を見る。もらい損ねていた「ニァイズ」をごっそり入手してから、Rue Favartに移動してロゼワインを飲んで休憩。

Saturday, August 18

素晴らしい天候。この天候でよい。この天候以外認めない。

原美術館で「小瀬村真美 幻画~像の表皮」を見る。古典的な西洋絵画のもつ不自然さをアクロバティックなやりかたで暴露するような手法だが、ややもすれば露悪的になりがちなところをエレガントな作品に仕上げているのがおもしろい。

品川のAUX BACCHANALESで昼食兼夕食。食べて飲む。

郵便受けに『MONOCLE』9月号が届く。

Sunday, August 19

朝の映画。『罪と罰 白夜のラスコーリニコフ』(アキ・カウリスマキ/監督、1983年)を見る。

驚くべきことにサマータイム導入の「議論」が進んでいるという。導入の必要性なしの一択で、議論などする余地はないと思うのだが。賛成派が軒並み頭の悪いことを言いだしているのも目に余る。「コンピュータなどの時間設定の変更は、律儀で真面目な国民ならば十分乗り切れるはずだ」とじぶんのホームページに書く船田元とか。あと麻生太郎は完全に痴呆老人なので誰か止めてあげて。

小沼丹『椋鳥日記』(講談社文芸文庫)と『ヴァージニア・ウルフ短篇集』(西崎憲/訳、ちくま文庫)を読む。

夕食、ラタトゥユ、ピザ、サラダ、カプレーゼ、シャンパン。