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Monday, February 12

祝日。晴れ。近所の公園を散歩してから花屋へ。桜の枝、カラー、黄色の薔薇を買う。

ウラジーミル・ナボコフ『アーダ』(若島正/訳、早川書房)の上巻を読みはじめるも、いまいちピンとこず。原文がどうなっているのか知らないけれど、言語的変態が書いた物語を翻訳で読むことの虚しさを感じなくもない。もっとも、どれほど外国語の能力が高くても読解不能な作品であるような気もするが。

Tuesday, February 13

ナボコフ『アーダ』の下巻に突入。最後までピンとこないまま最終ページへ。こちらの文学的な素養のなさが原因であろう。「好きな人にはたまらないでしょうね」という、食レポで自身の好みの味でなかったときの逃げの口上のような感想が浮かんでしまう。

Wednesday, February 14

700ページを超える熊野純彦による浩瀚な書物『マルクス 資本論の思考』(せりか書房)が気になりつつも手を伸ばさないままでいたら、岩波新書から『マルクス 資本論の哲学』なる本を上梓していたのでこちらを読む。その語彙を平仮名で書くか、という熊野文体はあいかわらず。

Thursday, February 15

『資本論』のおさらいをしたところで、この機を逃すともう再読しないような気がして柄谷行人『マルクス その可能性の中心』(講談社学術文庫)を本棚から取り出す。本書を読むのはこれで三度目くらいだと思うが、いつも途中で飽きる。

Friday, February 16

政府が日銀の黒田東彦総裁を再任する人事案を提示。岩田規久男は副総裁を降りて、若田部昌澄が就任するとのこと。『昭和恐慌の研究』(東洋経済新報社)を読んだ当時、この本の執筆者たちが日銀内部で金融政策の舵をとることになるとは想像しなかった。

三島由紀夫『夏子の冒険』(角川文庫)を読んでいる。『金閣寺』や『仮面の告白』といった主人公による独白モノと比較すると、三島由紀夫が男女の恋愛モノを書くと妙に芝居がかっているというか、コントっぽくなるのはどうしてだろう。

Saturday, February 17

将棋の朝日杯オープン戦準決勝で、藤井聡太五段が羽生善治竜王に勝利。そのまま決勝でも勝って優勝してしまった。白熱した人間同士の戦いを横目に、王銘琬『棋士とAI アルファ碁から始まった未来』(岩波新書)を読んで人間とAIの攻防について考えを巡らす。

Sunday, February 18

池内紀『闘う文豪とナチス・ドイツ トーマス・マンの亡命日記』(中公新書)を読了。重厚感ありすぎなトーマス・マンの文学はあまり得意ではないのだが、亡命生活を送りながらナチスに抵抗しつづけるマンの人生はおもしろい。