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Saturday, August 20

午前4時45分、目覚めて窓の外を見る。まだ薄暗い。まだ8月だけれど、季節はいよいよ秋冬に近づいてきている。二度寝。朝ごはん、クロワッサン、目玉焼き、ベーコンとトマトとほうれん草のグリル、ヨーグルト、珈琲。午前中、沛然たる豪雨。23区に大雨洪水警報が出たものの、解除を待たず、我が家の上空は青空が見えてきた。支度をして出かける。

世田谷美術館で「アルバレス・ブラボ写真展 メキシコ、静かなる光と時」鑑賞。野谷文昭が編纂した『メキシコの美の巨匠たち』に収められた港千尋によるブラボ論考を読んでからというもの、ずっと気にかかっていた写真家なのだけど、なにしろ国内でまとめて公開されることがなかった。今年6月に行った京都国立近代美術館のコレクション・ギャラリーで、やっと4点ほど観ることができて嬉しく思っていたところ、東京に戻ってきたら夏に東京で国内初の大回顧展が開かれると知って、心待ちにしていた。本の中で、港さんは《白昼夢》《戸口》《眼鏡店》《人間の魂》などの代表作について、とりわけ《人間の魂》に衝撃を受けたとして、丹念に解説している。そのテキストを導きの糸に、わたしもじっくりと作品に向き合った。港さんが「ブラーボの写真のすべてについて言えることだが、彼には分からなさ、はっきりしないことを画面のなかに呼び込む力があるように感じるのだ」と書くように、ブラボは、何でもない場所の、一見何でもないような事物をカメラに収める。わたしたちは何かを見出そうと目を凝らし、見るたびにきっと何かを見つけるのだ。

夜は、友人たちと5人で飲む。胃カメラとバリウムの話に終始する。