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Monday, October 26

フランソワーズ・エリチエ『人生の塩』(井上たか子・石田久仁子/訳、明石書店)を読み終える。途中で飽きてしまうかなと思ったけれど杞憂に終わった。とても良かった。添えられた写真が、単なる人生の味わいの瞬間の羅列にとどまらず、読みの可能性を広げる装置となっていた。

Saturday, October 31

御茶ノ水のエスパス・ビブリオで、前田和泉と宮田眞治によるトークイベント「鏡の二人 タルコフスキーとホフマンをめぐって」を聴く。アンドレイ・タルコフスキー『ホフマニアーナ』(前田和泉/訳、山下陽子/挿絵、エクリ)の刊行記念イベントとして行われたもの。トークは、文学や映画や絵画や歴史について、話題が縦横無尽に駆け巡る、とても素晴らしいものだった。おっ、と思うポイントがいくつもありすぎて、内容が濃すぎて、最も興味を惹かれたトピックをひとつに絞ることなどできないくらいだけれど、前田さんが、タルコフスキーの『鏡』について、印刷所で働いていたタルコフスキーの母が、誤植の不安にかられて雨の中印刷所に駆けつけるシーンがスローモーションであることに言及していたのが嬉しかった、わたしはあのシーンが、恐ろしくも深い印象を与えて、とても好きであるから。

トーク後、エスパス・ビブリオが金土のみ開いているビオワインバーでチーズ、ドライフルーツ、赤ワインをいただき、楽しかったトークの感想を、夫と興奮しつつ放談。その後、新宿の紀伊國屋書店で森本孝徳『零余子回報』(思潮社)を買い、新宿ルミネエストのdestination Tokyoで「宇壽山貴久子 ワンピースのおんな」を観て帰る。