241

Saturday, November 7

美容院の後、ひとつ用事を済ませ、立ち寄った古本屋で探していた『チェーホフの手帖』を見つけ、喜んで買う。新宿に出て、ニコンサロンで「仲田絵美 よすが」「高島空太 ざわつき2015」を観る。日暮里に移動し、谷中墓地の脇をテクテク歩いて、SCAI THE BATHHOUSEで「李禹煥 色のハレーション/空間のハレーション」を鑑賞。今回は、1968年に発表した後に紛失してしまったという絵画作品シリーズ《風景》の再制作が展示されており、一面、蛍光色のピンクとオレンジに塗られたキャンバスがどーんどーんどーんと3枚壁に掛けられたこの作品は、やはり圧巻の一言。そばに近づくと色が意味をなさず、無機質にただ強い光を発光する平面体に飲み込まれてしまう感覚に陥る。

夕焼けだんだんを下り、古書信天翁で『魂の本 中村一義全録』を購入。続けて訪れた古書ほうろうで、なんと、なんと、ついに、ついに、伊井直行『三月生まれ』を見つけてしまった! どの古本屋でもめぐりあえなかったこの一冊に、とうとう出会えた。ほぇー。放心状態。喜びが足元から頭のてっぺんまで駆け上がり、身体の中をぐるぐる循環する。しかし、これで古本屋をめぐる目標を失ってしまったとも言える。これから何を求めればよいのかわからない。いやしかし、伊井直行の本は、ほかにも絶版になっているのがあるのだから、それを求める旅に出るのもよいかもしれない。それもいいな、そうしよう。それによく考えたら、ほかにほしい本だって絶対にあるはず。

その後、稲毛屋で、鰻御膳(鰻重、お吸い物、茶碗蒸し、こんにゃくの田楽、冷奴、お新香)、ポテトサラダ、エシャレット、ホタルイカの塩辛、タコの甘辛ごま和え、ビールを食す。ずっと食べたかったのだ、鰻。ごちそうさまでした。

Sunday, November 8

江國香織『抱擁、あるいはライスには塩を』上・下巻(集英社文庫)を読み終える。これは江國香織の新たな代表作だなあ。文庫本解説が野崎歓で、ちょっと意外?