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Monday, May 4

朝5時半に目を覚ますものの、日中ずっと代々木公園にいた昨日の疲れが残っている。大型連休半ばにして体力の限界を感じつつ、東急東横線の急行で横浜方面に向かった。まずはお昼ごはんをということで、日本大通り駅で降り、京おばんざいを中心とした和食の店「Charan Paulin」でおばんざいプレートを注文する。竹の子ごはん、さつま芋のレモン煮、新玉葱の醤油糀和え、おから、人参のナムル、オクラの揚げ浸し、鰆の幽庵焼き、味噌汁という献立。Charan Paulinに来るといつも料理欲を刺激される。

みなとみらい線で二駅移動し、横浜美術館に向かう。「石田尚志 渦まく光」を鑑賞。最後の展示室にならんだ作品がいちばんよいと思うのだけれど(逆にいってそこに至るまでの作品にはいまいち乗り切れず)、横浜美術館の冷房が効きすぎてじっくり鑑賞できないという陥穽が。石田尚志の作品を直近で見たのがどこだったのか思い出せず、美術家の略歴を見てもヒントはなく、結局思い出せないまま美術館を後にする(あとで調べたら、水戸芸術館での「ダレン・アーモンド 追考」の関連企画として展示があったことが判明)。

美術館の真向かいにある商業施設「MARK IS みなとみらい」を少し覗いてから、バスで横浜赤レンガ倉庫へ。ドイツビールのイベント「ヨコハマフリューリングスフェスト2015」に参戦。ウア・ヴァイセというドイツビールを飲んで、ソーセージ(テューリンガーブラートブルスト、ベルリナーカリーブルスト)を食べる。陽射しが眩しい。大混雑の会場からは、海が見える。背面に体を返せば、神奈川県警察本部が見える。

夕方、東京に帰還。帰りの車中で松浦寿輝『青天有月 エセー』(講談社文芸文庫)を読了。夕食は近所のカフェで。牛すじ赤ワインペペロンチーノ、ピクルス、トマトのブルスケッタ、赤ワイン。

本日もまた、どっと疲れて体力の限界。私が千代の富士だったら毎日のように引退会見を開かなければならない。

夜、届いていた『みすず』5月号(みすず書房)を読む。森まゆみによる国立競技場新築反対の連載を読んでいると、安藤忠雄がさがなものに思えてしょうがない。ザハ・ハディドの建築案実現は阻止できないかもしれないが、安藤忠雄のイメージ悪化には貢献している連載だと思う。

Tuesday, May 5

肌寒い。外出の予定はなし。午前中は、蔵書の写真集や画集や展覧会カタログを片っ端から眺めるのに没頭する。

近所のスーパーに買い物に行ったら、ものすごく混んでいた。食料品と日用品を買い込む。

午後、最相葉月『れるられる』(岩波書店)と江國香織『雨はコーラがのめない』(新潮文庫)を読む。最相葉月の本が重い内容だったので、江國香織の飼い犬エッセイでバランスをとった。

蒸し餃子をつくる予定が訳あって水餃子をつくることになり、結局それも変更になって焼き餃子をつくった。春雨とハムときゅうりのサラダ、紹興酒とともに。食べすぎて胃がもたれる。数日にわたって続いた咳がようやく治まったと思ったら、今度は胃が悪化した。

Wednesday, May 6

寒くもなく、暑くもなく。連休最終日は渋谷へ。道中の読書は、三島由紀夫『小説家の休暇』(新潮文庫)。

Bunkamuraザ・ミュージアムで「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」を見る。フィレンツェのルネサンス芸術についての教科書を読んでいるような展示内容(悪い意味ではなく)。

正午すぎ、松濤にあるボルトガル料理の店「Manuel Cozinha Portuguesa」で昼食。ポルトガル料理の店に入ったのは初めてかもしれない。おいしい。

松濤美術館で「いぬ・犬・イヌ」を見る。俵屋宗達と円山応挙の犬の絵が並んでいるのだが、俵屋宗達の描く犬があんまりかわいくないのに対し、円山応挙の描く犬がものすごくかわいい。

帰宅。ルネサンス美術の復習として、書架から取りだした高階秀爾『ルネッサンスの光と闇 芸術と精神風土』(中公文庫)を読みはじめる。冒頭、フィレンツェで神権政治を敷いたドミニコ会修道士サヴォナローラではじまるので、展覧会を振り返るのに最適の内容。

夜、肉団子と椎茸の中華風スープ、トマトと長ねぎときゅうりの中華ドレッシングサラダ、ビール。

Thursday, May 7

連休明けの労働は過酷で、それは休み明けで身体が追いつかない過酷さではなく、実際問題としてトラブルが発生してしまったことによる過酷さで、残業ののち帰宅し、家に帰ってからも食事(レッドカレーとビール)をとりながら仕事をし、寝るまでの時間も仕事。問題は解決しないまま就寝。

Friday, May 8

5時起床。普段より1時間以上早く出勤し、昨日につづきトラブル対応に追われ、夕方になってようやく沈静化する。疲弊。

夜、炊き込みごはん、大根とわかめの味噌汁、ビール。

Saturday, May 9

曇天模様。昨夜の炊き込みごはんの残りでつくったおにぎりと大根の味噌汁が、本日の朝ごはん。天気が悪そうなので、なんとなく外出の予定が立てづらく、中条省平の編纂による『COM傑作選 上 1967〜1969』『COM傑作選 下 1970~1971』(ちくま文庫)を読みつつ、午前中は図書館に出向く。

昼、ベーコンとトマトとほうれん草と黄パプリカのパスタ、きゅうりと新玉ねぎのサラダ、バゲット、赤ワイン。赤ワインでやや酔いがまわりつつ、ワイシャツのアイロンがけをして、革靴を磨いて、読みさしの高階秀爾『ルネッサンスの光と闇 芸術と精神風土』(中公文庫)に目をとおしていたら、あっという間に日が暮れてきた。『ルネッサンスの光と闇』は、単行本の刊行が昭和46年となかなか古い本だけれど、格調のあるブリリアントな文体は素晴らしく、専門的な話でありながら門外漢が読んでも充実した読書体験を味わえるという好著。

夜、近所の焼鳥屋で夕食。お通しが一品でたあとに焼き魚がのった小皿がでて、焼き魚なんて注文したかなあと思ったらお通しだった。お通しが豪勢すぎる。家に戻ると、郵便受けに石井保子『特急電車 64号』が届いていた。

Sunday, May 10

晴れ。洗濯物を干し、午前中はアントニオ・タブッキ『イザベルに ある曼荼羅』(和田忠彦/訳、河出書房新社)を読む。

昼食は、三つ葉とベーコンと黄パプリカのパスタ、バゲット、赤ワイン。

天気がよいけど午後も読書。目の前に積んだのは、アンナ・カヴァン『氷』(山田和子/訳、ちくま文庫)とウラジーミル・ソローキン『氷』(松下隆志/訳、河出書房新社)。五月の午後の柔らかな陽射しの射し込む部屋のなかで、『氷』と題された本を読みつつ、どこかひんやりする感触を味わえるアルバム二枚(Sleepingdog「Polar Life」とSidsel Endresen & Bugge Wesseltoft「Out Here. In There.」)をかける。

夜、InterFMの「Barakan Beat」を聴きながらの夕食。わかめごはん、三つ葉とわかめの味噌汁、ぶりのみりん醤油焼き、新玉ねぎと三つ葉の茎の中華ドレッシング和え、豚肉と長ねぎのガーリック炒め、ごま昆布、人参のきんぴら、ほうれん草の塩糀和えおひたし、焼きミニトマト、ビール。