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Sunday, March 1

夕ごはんにトマトのファルシをつくる。そぼろ肉をつくる時、まろやかな甘みのつくパプリカパウダーを入れて、いい感じになった。パプリカパウダーは優秀。オーブンで焼く時間が少し足りなかったようで、トマトがもう少し柔らかくなったらよかった、これは反省事項。ほかに、じゃがいものバジルソース炒め、きのこのマリネ、ベビーリーフとタコのサラダで赤ワイン。どれもとても美味しい。しかしもうほんとにここ最近、一日が終わるとすっかりくたくたで、疲労困憊だ。まあわりと、常に疲れてる系の人間ですが…

今週読んだ本はまず、ゼバスティアン・メッシェンモーザー『空の飛びかた』(関口裕昭訳、光村教育図書。今年のみすず読書アンケート特集で知った絵本)と岡本裕一朗『フランス現代思想史 構造主義からデリダ以後へ』(中公新書)。いずれも面白く読んだ。

それから『共産主婦』(イスクラ、社会評論社)を興味津々で読んだ。もうこれは完全にわたしの趣味の世界。1970年代〜1980年代末の東ドイツ(1980年)、ポーランド(1972年)、ソ連(1981年)、ハンガリー(1976年)、チェコスロバキア(1987年)、ルーマニア(1970年)、ブルガリア(1981年)に暮らす7人の主婦をモデルに、朝から晩まで1日の動きや週末や休暇の過ごし方を、カラフルな生活雑貨の写真とともに紹介するという、東欧・中欧・ロシアの文化や風土に惹かれるわたしにとってはうってつけな内容。この時代、この地域の主婦がどのような生活を送っていたのか、ほんの一部に過ぎなくとも、知ることができて嬉しい。この時代の女性たちは家事育児に加えて国のために労働力を提供しなければならなかったから、みな専業主婦ではなく、しっかり働いている。求人率や雇用環境などの就労状態も垣間見れて興味深い。簡単ではあるけれど各国の歴史にも触れているし、汎ヨーロッパピクニックの話も出てきた。ソ連主婦の章では“その頃ラトビアでは…”とか“白ロシアでは…”とか“グルジアでは…”とか構成国の様子もちらりと紹介している。それにしても、1976年のハンガリー主婦の憧れはユーゴスラビアだったとか(同じ社会主義国でも自由な気風で西欧の製品がたくさんあったとのこと)、チェコスロバキアでクレジットカードが広く普及したのは1990年代後半だったとか、ルーマニアでの1989年当時のテレビ放映時間は1日たった2時間だったとか、ブルガリアでは1968年に少子化対策として子どものいない30歳以上の人は独身税として収入の10%を徴収されたとか(ヒェー!)、なんとも驚くべき事実を次々に知って、己の無知っぷりを反省する。

今週観た映画。1本目は『ビフォア・ミッドナイト』(リチャード・リンクレイター監督、2013年)。『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』、『ビフォア・サンセット』、と続いたこの三部作は、本当にこれで完結なのだろうか? あまり予備知識を仕入れないようにしていたので、冒頭、セリーヌとジェシーの関係が明かされて、びっくりしてしまった。そうかー、そうなったのかー! そこからつづく車で移動するシーンは、2人がえんえんとひたすらしゃべりつづけるもので、ただくっちゃべってるシーンがなぜこんなに面白いのか不思議。やっと2人きりになれた夜、いいところでかかってきた電話でセリーヌが話す場面、いいところだったものだからセリーヌは上半身裸の状態で話しつづけるのだけれど、ここはリアリティあるなあ、と感心した。

もう1本は『闇のあとの光』(カルロス・レイガダス監督、2012年)。期待していたほどの作品ではなかったが、終盤、男が自分の首をはねるシーンがよかった、と思う。