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Monday, November 3

夜ごはんに牛肉とルッコラのサラダをつくった。塩胡椒で炒めた牛肉を、お皿に敷き詰めたルッコラの上にのせ、チーズをすりおろしてバルサミコ酢をかけただけの簡単サラダで、レシピは野口真紀『きょうのサラダ』(主婦と生活社)より。やはり野口さんとは味覚が合う。久々にバルサミコ酢を使ったら最高に美味しかった。バルサミコ酢を使うレシピをいっぱい仕入れよう。

Friday, November 7

夜になって大内順子さんの訃報を知る。テレビがあった時分、かぶりつきで見ていたファッション通信で流れるエレガントで知的な声が耳によみがえった。

Saturday, November 8

午前7時起床。朝ごはん、くるみパン、かぶの葉とベーコンのソテー、ヨーグルト、珈琲。支度をして出かける。まずは東京駅。東京ステーションギャラリーで「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 『遠く』へ行きたい」を観る。REAL KYOTOに掲載されている、情報満載の浅田彰のレビュー [1]を読んだおかげで深く楽しめたと思う。このレビューの中で浅田彰は新しくなった東京ステーションギャラリーについて「入口の自動販売機で入場券を買ったあと、目の前の受付でそれを展覧会チケットと交換しなければならないというのは、一体どういうことだろう」と書いているのだけど、ここ、いちばん共感したところ。

次にブリヂストン美術館でウィレム・デ・クーニング、西村画廊で町田久美を観る。親子丼のお昼をはさんで、東京国立近代美術館フィルムセンターで「ジャック・ドゥミ 映画/音楽の魅惑」。『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』という大ヒット作があるにもかかわらず、トリュフォーゴダールシャブロルロメールリヴェットあたりに比べるといささか知名度が劣ると思しきジャック・ドゥミ(と、アニエス・ヴァルダ)の業績が、こうした形で日本で紹介される時が来たのはとても嬉しい。ベルばらが公開された時に作ったらしい日本語の名刺があり、“映画監督 ジャック・ドゥミー” と書かれていて可笑しかったし、シェルブールがカンヌでパルムドールを獲った時にトリュフォーが送った電報などが見れたのもよかった。願わくば、晩年に没頭したという写真作品について、もっともっと数多く見られたらよかったのだけど。あれではあまりに少ないのでは。

その後、LIXILブックギャラリーで高野文子『ドミトリーともきんす』を買い、ツァイト・フォト・サロンで「5人の写真展」、銀座玉屋ASビルで「エスプリ ディオール ーディオールの世界」を観てから西日暮里へ移動。スカイ・ザ・バスハウスで「中西夏之 キアスム/chiasme」最終日にすべりこみ。間に合ってよかった。カヤバ珈琲で谷中ジンジャーを飲みしばし休憩。谷中ジンジャーはとても美味しく、わたしは紅茶にすりおろした生姜を大量に入れて飲むのが好きなのでこの冬はもっとこまめに飲もう。

千駄木 露地に移動して夕食。野菜のピクルス、フォカッチャ、パテドカンパーニュ、ルッコラとペコリーノチーズのサラダ、タコのラグーとポモドーロのパスタ、サラミ盛り合わせ、赤ワインを4杯。散財だー。今月はもう外食は控えよう。ほろ酔いでゆらゆら不忍通りを歩き、てっきりもう閉まっているかと思われた古書ほうろうがまだ開いていたため吸い込まれるように入り、片山廣子『燈火節』(月曜社)、シモーヌ・ヴェイユ『工場日記』(講談社学術文庫)を購入。2冊とも探していた本だ。しばらく待っていれば、いつか出会いたい本には出会えるのかもしれない。

  1. REALKYOTO ふたたび「モーレツからビューティフルへ」?——東京ステーションギャラリーの冒険/浅田 彰 []