Monday, December 1
師走。
会社帰りに本屋で渡辺亨『音楽の架け橋 快適音楽ディスクガイド』(シンコーミュージック・エンタテイメント)を買う。じぶんのiTunesに溜め込まれた楽曲の羅列を横目に、本書で紹介されているさまざまなアルバムを概観すると、これまでいかに渡辺亨の選曲やレビューが自身の音楽体験に影響を及ぼしてきたかがわかる。きょうは、この本でいちばん最初に取りあげられている、ブルー・ナイルの「Hats」を聴いた。
夜、白米、ねぎとわかめの味噌汁、ボロニアソーセージとサラダ(グリーンリーフ、きゅうり、トマト)、ビール。
12月は『山尾悠子作品集成』(国書刊行会)をちびちび読んでいこうと思って、まずは冒頭の「夢の棲む街」を。
Tuesday, December 2
上川龍之進『日本銀行と政治 金融政策決定の軌跡』(中公新書)を読了。現在の日銀の金融政策の妥当性を検証するような内容かと勝手に想像して読み始めたら、著者の専門は政治過程論で、政府と財務省(旧大蔵省)と日銀の、金融政策をめぐる政治力学の歴史を追った本だった。主に政治家サイドでくすぶりつづけてきた(日銀が嫌がりつづけてきた)リフレ政策待望論が、現在の安部内閣によってとうとう押し切られるまでの過程が要約されている。筆致からして、著者はリフレ派のことをあまり好ましく思っていない模様。
夜、白米、じゃがいもと玉ねぎとわかめの味噌汁、鯵のひらき、茄子とさつま揚げの煮物、ビール。
Wednesday, December 3
橳島次郎・出河雅彦『移植医療』(岩波新書)を読了。移植手術はあくまで過渡的な医療として考えるべきとの指摘に頷く。
夜、白米、わかめと玉ねぎの味噌汁、きゅうりと味噌、焼いた鶏肉と白髪ねぎ、ねぎとパプリカの炒めもの、トマト、ビール。
Thursday, December 4
横手慎二『スターリン 「非道の独裁者」の実像』(中公新書)を読了。『フォーリン・アフェアーズ』だかなんだかで、ロシアにおいてスターリンはいまだ一定数の人気があるという論考を読んだ覚えがあるけれど、スターリンなんて悪い奴以外の何者でもないと思ってしまうが、本国での評価は少しちがうのだった。本書は、ロシアの内と外でかなりの温度差のあるスターリン像を踏まえて執筆された、手軽に読める評伝。
夜、ベーコンとトマトと玉ねぎとほうれん草のペペロンチーノ、赤ワイン。
Friday, December 5
届いた『KINFOLK』を、朝食後から出勤時間までのわずかな時間を割いて、少しずつ読んでいる。
夜、白米、油揚げとレタスの味噌汁、秋刀魚(缶詰)と万能ねぎ、もやしとほうれん草の炒めもの、ビール。『エコノミスト』誌の書評欄が「今年の本」を羅列していた。
Saturday, December 6
午前中、リニューアルオープンした東京都庭園美術館で「アーキテクツ/1933/Shirokane アール・デコ建築をみる」を見学し、新設されたギャラリーで「内藤礼 信の感情」を鑑賞する。ところで庭園美術館が最上階のウィンターガーデンをなかなか公開しないのは何か理由があるのだろうか。あんまり人が来ると床が抜けるとか。
渋谷経由で井の頭線に乗り換えて、駒場東大前で下車。駒場博物館で「越境するヒロシマ―ロベルト・ユンクと原爆の記憶」を見学。紅葉した銀杏並木をめでながら、日本近代文学館のカフェ「BUNDAN」で休憩しようと入口まで行ったら、臨時休業。
河野書店に立ち寄ってから、渋谷に戻り、恵比寿経由で六本木に向かおうと日比谷線に乗車。座席でピーター・バラカンが新聞を読んでいるのを目撃する。
国立新美術館で「チューリヒ美術館展 印象派からシュルレアリスムまで」展を見学。混んでるし、出品数少ないし、展示構成が凡庸すぎるしで、ひとり1600円のチケット代を払うに値する展覧会とは思えず。混雑はしょうがないとしよう。出品数が少ないのも目を瞑るとしよう。しかしあまりの短絡的な展示構成はなんとかならなかったのかと思う代物で、19世紀後半から20世紀にかけてのヨーロッパの代表的な画家や彫刻家の作品を、年代と教科書的な流派でならべました以上のものを見出すことはできなかった。「巨匠」の作品をずらっと配置しただけで、学芸員がなにもやってない感じ。
国立新美術館の3階でやっていた、ファッションデザイナーの芦田淳の軌跡を辿る「『エレガンス不滅論。』~ジュン アシダの軌跡と未来にみる、ファッションのひとつの本質~」もあわせて鑑賞。こちらは充実した内容でとても楽しかった。しかも無料。
gallery ART UNLIMITEDでマイケル・ケンナの写真展を見てから、帰宅する。夜、タコとトマトと玉ねぎのパスタ、バゲット、ルッコラとチーズのサラダにバルサミコ酢、赤ワイン。
Sunday, December 7
午前中、東大の銀杏並木を見に行く。きのうは駒場で、きょうは本郷。犬を連れて散歩している人や、観光客っぽい人もちらほら。週末の大学は閑散としていて、散歩するにはちょうどいい。三四郎池付近をぐるっとまわる。
『UP』(東京大学出版会)12月号を読む。須藤靖が二年間つとめた読売新聞の書評委員の内幕を書いているのだが、読売新聞本社ビルでおこなわれる書評する対象を選ぶ委員会では、「席にはそれなりに豪華なお弁当が鎮座ましましており、さらには新刊の横におかれた缶ビールも自由に飲めるようになっている」とのこと。ビールの銘柄はプレミアムモルツだという。なんだかたのしそうである。原武史が『みすず』(みすず書房)で連載している「日記」で書いていた、ある日の朝日新聞の書評委員会で参加者が少なく、しかも他の用事のある人がどんどん中座してしまい、最後は柄谷行人と原武史だけになったという哀愁のあるエピソードが好きなのだが、やはり参加者を確保し、引き止めるには、人参をぶらさげる必要があろう。たとえばプレミアムモルツとか。朝日の書評委員に何が出されるのかは知らないけれども。
夜、グリーンカレー、サラダ、ビール。