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Tuesday, September 30

InterFMの「Barakan Morning」が本日で終了。番組終了を惜しむ声が大きいなかでこんなことを言うのもなんだが、もちろん打ち切りは残念に思うものの、個人的には「Barakan Morning」よりも「Barakan Beat」のほうがラジオ番組としては好きだ。日曜日からは「Barakan Beat」がはじまる。

ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーで開催中の「Virginia Woolf: Art, Life and Vision」展のカタログが届く。夜、コストパフォーマンスの良すぎる近所のカフェで夕食をとりながら、ずっとむかしに買った『ダロウェイ夫人』を読んでみようと意を決する。Vintage Booksのペーパーバックはデザインがよかったものだから、本棚のなかでほぼインテリアと化していた。

Wednesday, October 1

和田敦彦『読書の歴史を問う 書物と読者の近代』(笠間書院)を読む。

だが、読書の問題としてこの「たどりつくプロセス」、すなわち書物と読者をつなぐ経路の研究が十分なされてきたとは言いがたく、むしろ読書とは別に、それぞれの組織や機関の歴史として(例えば出版史、図書館史といった形で)研究されてきているのが現状である。しかし、例えばせっかく雑誌の内容を検討しても、それがどのような経路をへて、どれだけの範囲で広がり、どういう場で読まれていたのかが分からなければ、その雑誌の果たした役割は実際にはっきりしない。そしてまた、読者への具体的な働きかけを問うことなく出版史や流通史を記しても意味はない。「たどりつくプロセス」と「理解するプロセス」は、読書の歴史を問う際に、ともに分ちがたいほどに重要な要素なのである。

言われてみればそりゃそうだと思うけれど、盲点となるような指摘になるほどと思う。

夜、豚肉、長ねぎ、コーンをのせた醤油ラーメン、麦酒。

Thursday, October 2

ヨーガン レールの訃報を知って、まず頭に浮かぶのはデザインした服よりも高橋みどり『ヨーガンレールの社員食堂』(PHP研究所)のほうで、くわえてこの社員食堂について、高橋みどりが別の場所に書いているつぎのくだりだ。

こんな食堂があったら、よしまた午後からがんばるぞ……なんて気分に、私なら単純になってしまいそう。しかしながら現実は、強制的な社員食堂ではないから社員の半数くらいしか利用してはいないのだそうだ。まあ、食の好みは個人差があるから何とも言えないが、「もったいなーい」と思わずつぶやいてしまった。(高橋みどり『くいしんぼう』筑摩書房)

『ヨーガンレールの社員食堂』のめくるめく献立を読むと、デザイナーの食に対する想いを反映したベジタリアンメニューがならんでいて、たしかに素晴らしい食堂だなあと思う一方で、社員全員がこれほど健康的な食事を囲んでいる姿はそれはそれでちょっと気味が悪い。社員の半数しか利用しないという事実はとても「健康的」であると思う。

夜、白米、豆腐とわかめの味噌汁、豚肉のピリ辛炒め、小松菜の胡麻炒め、冷奴とキムチ、ちくわときゅうり、麦酒。やっぱり肉を喰おう。

Friday, October 3

今福龍太『書物変身譚』(新潮社)を読了する。一章を割いているヘンリー・ソローの『ウォールデン』に関する論考から派生し、敷衍したのが『みすず』連載中の「ヘンリー・ソロー 野生の学舎」だろうか。

夜、蛸とトマトと玉ねぎと小松菜を白ワイン蒸しにして、パスタと和え、ベビーリーフをのせる。つけ合わせにくるみパン。赤ワイン。エコノミスト誌を一日ですべて読み切るという目標はいまだ達成されず。

Saturday, October 4

Mrs Dallowayのペーパーバックを片手に代官山に向かう。ウルフの英文を読んでいると、こちらの英文解釈が間違っていないかを相談できる人がそばに欲しくなる。Annon cookで昼食。代官山に移転してから訪れるのははじめて。昼どきに混雑していないかと心配してたが、以前のキャットストリート沿いの場所よりも座席数が増えたうえに、先客は一組のみだったので余裕で座れた。代官山の人々はスロースターターなのだろうか。

代官山ヒルサイドフォーラムでバーニー・フュークス「アメリカの感性と魂」を見て、アートフロントギャラリーでレアンドロ・エルリッヒ「Fragments of Illusion」を見る。合間に蔦屋書店も。蔦屋書店は料理関係の本が充実していて楽しい。旅に関する本も力を入れているらしいので、今度行ってみたいと思っているポーランドに関する本を探したが、どこを見渡してもなかった。ポートランドの本はあってもポーランドの本がない。不当な扱いをうける波蘭。

Sunday, October 5

台風18号接近中。外は朝からずっと雨模様。しかも寒い。

twitterを眺めていたら、POLA MUSEUM ANNEXで橋爪彩「Beautiful Stranger」がはじまっているのを知る。先週土曜日に銀座に出かけたとき、すでに始まっていたのだ。不覚。橋爪彩という画家はかつて、座右の銘として「読書をしない人間に未来はない」と答えていた。とてもよい。

朝、トマトとベビーリーフと紫玉ねぎのサラダ、バームクーヘン、珈琲。昼、長ねぎと焼豚と生卵と海苔をのせた醤油ラーメン、麦酒。夜、豚肉とトマトと玉ねぎを炒め、日本酒で蒸してからパスタと和えて、輪切りの唐辛子とベビーリーフをのせる。赤ワイン。

「Barakan Beat」を聴いて、ニューヨーク特集の『POPEYE』(マガジンハウス)と『みすず』10月号(みすず書房)を読んだ。