Wednesday, April 23
国立天文台天文情報センター暦計算室によると、きょうから日の出時刻が午前4時台に突入した。よって昨年同様、家庭内サマータイム制を導入する。午前5時には元気に起床しなければいけない。しかし、昨年ほど遂行できる自信がない。最近、おふとんと仲が良すぎる。今朝は5時半近くにもなるとすっかり空が明るくなって、ぽかんぽかんと白い雲が浮かんだ。春夏の明け方は明るく、爽やかで、静かで、喜びに満ちている。窓を開け放ち、床にぺたんと座って風を受ける。……寒い。2分くらいで窓を閉めた。4月の下旬はまだまだ寒い。
恵比寿の東京都写真美術館のミュージアムショップ、ナディッフ バイテンまで出向いて本日発売の『ニァイズ 東京都写真美術館ニュース別冊〜『クレムリン』出張版』(カレー沢薫、講談社)を買う。書店で買ってもいいのだが、ここで買うと特典(しおり)がもらえるらしいので、それも欲しくて。ニァイズ命だニャ。
Saturday, April 26
朝8時に家を出て、美容院。いつもと同じように、身体のこと(体調最悪だった3月4月)、気になるお店のこと(松濤にあるお気に入りのお店をいくつか紹介した)、GWと夏休みのレジャー計画(GWはいつもあまり遠出しないねという話)、食費のこと(どうしたらもっと節約できるのー!)、最近つくったヒット作(“揚げない”フライドポテトやじゃがいもの土佐煮、キッシュ風オムレツなどの自己流レシピを説明)、などなど生活の細部について美容師さんと話す。こういう話ならいくらでもできるのに、最近オススメの展覧会教えてくださいよ、と問われると途端に返答に窮す。苦し紛れにバルテュスという人がいてですね……、としばし説明するも、リアクション、ほぼなし。
午後は、まだ訪れたことのない、東雲の倉庫? ギャラリーに行ってみることにする。その前にフランクリン・アベニューで腹ごしらえ。陽光煌めくテラスでアボカドバーガー、グリーンサラダ、フライドポテト、ビールをいただいて、冴えなかった3月4月の鬱憤を晴らした。
りんかい線に乗って東雲駅で下車。降り立ったのはおそらく初めて。たしか東雲は2000年頃からマンションやショッピングセンターなどの開発が進んでよく話題にのぼるようになって、読み方がわからないあの地名は何だろう、と気になっていた記憶がある。海が近くて空が広くて、道路がだだっ広くて大きな工場だらけ、という東京の湾岸地域をわたしは実はものすごく好きだ。いつか真剣に写真を撮るだけの目的で来てみたい。少し迷いながら見つけたTOLOT/heuristicでお目当ての「カンディダ・ヘーファー展」を観る。なかなか良かった。受付にカンディダ・ヘーファーと後藤繁雄の対談記事が置かれていたので読んでみたところ、ヘーファーは撮影にあたって意図的なライティングの操作を一切していないそうだ。驚いた。自然光か、屋内であればその場の照明を使うだけだそうだが、あの、写真全体が発光しているような、パーンと明るい作品群を思うに、これは意想外だった。ほかにもキューブ型のギャラリーがいくつか並んでいて、清澄白河の倉庫ギャラリーみたいな感じで面白い。向かいのキューブでは、米田知子、松江泰治、ライアン・ガンダー、トーマス・ルフ、ウォーホル、そしてウジェーヌ・アジェの作品を観ることができた。
渋谷まで戻って、数日前から突如として欲しくなってしまったペンギン・ブックスのトートバッグを買うべく、タワレコの本屋へ。オレンジのトート(ケルアックの『オン・ザ・ロード』もあったけどそれではなくてフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』のほう)、ペンギンブックスの本(ヴァージニア・ウルフ『自分自身の部屋』)を購入。ペンギンブックスのトートは持ってみたところで、若干出オチ感も否めないけど、やっぱり可愛いし、満足。
地元に戻って、いつもの花屋でマトリカリアを6本買い、酒屋で赤ワイン3本と白ワイン1本を仕入れる。夕ごはんは餃子、キムチ、ビール。その後、チリの赤ワインを数杯飲む。
Sunday, April 27
きょうは新木場で、美術館と古本屋をまわって遊ぼう、と思い、それならランチはSacra Café.だー、と久しぶりにお店のサイトをのぞいてみたら、なんと建物の老朽化により夏前には閉店するとのお知らせが掲載されていて言葉を失った。好きなカフェがまたひとつ、なくなってしまう。もう二度とあの場所であの景色を見ながらあの美味しい料理を愉しむことはできないのだ。
清々しい風が吹くなか、美術館に向かうために木場公園を通っていく。ここには大好きなモッコウバラが群生しているポイントがある。時期的にちょうど満開で、しばし眺める。公園の緑が青々と美しい。本当はここでもお弁当持参でピクニックをしたいのだけれど、自宅から遠いのが難点だ。
東京都現代美術館で「驚くべきリアル スペイン、ラテンアメリカの現代アート」展、「MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり」展を鑑賞。最近、映像作品を観るとよくはまってしまってずーっと観てしまうことがよくある。今回は片山薫の「テクノチャロ」という作品にはまってしまった。伝統舞踊の踊り手たちがテクノミュージックに合わせて、戸惑いつつもじょじょにステップを完成させていくという5分程度の作品。隣にはアルプスの少女ハイジがスペインの民族衣装に身を包んで立っている絵が並ぶ。これらの作品を解体した時に生じるすべてのエレメントに興味がある。民族、舞踊、身体、音楽……。それ以外にも全体的に楽しめた。今年のMOTアニュアルは、髙田安規子・政子の作品がノーブルな佇まいで美しく、いちばん印象に残った。あとパラモデルはメゾンエルメスでの展示もとてもよかったけれど、今回の展示もまた細かい仕事してるなー、と敬服したくなるようで圧巻だった。それにしてもわたしはやたらパラモデル観てる気がするな。行くとこ行くとこいる、と言ったら言い過ぎ? 美術界の堀江敏幸か! と言ったら言い過ぎ?
お昼食はもちろんSacra Café.で、春巻きとサラダ、にんじんのマリネ、スープ、ごはん、珈琲、デザートにいちごのロールケーキをいただく。もうこのお店、なくなってしまうんだなあ、と美味しさと悲しみを味わいながら食事する、という体験はもしかしたら初めてかもしれない。大好きだった表参道のCAFE Z.が閉店したときも悲しかったけれど、あの時は行ってみたら、「きょうはもうラストオーダーが終わってしまいました、そしてこのお店はあしたで閉店です」という衝撃の宣告を受けたわけで、これからもずっとこのカフェで食事をしようと思っていたけれど、それは果たせないことになり、だから今回のSacra Café.のように前もって知らされるということはなく寂しさに満ちた最後の食事をとることもなかったのだけれど、とにかくいずれにせよ、好きなお店がなくなるのは寂しいものだ。それに尽きる。
清澄界隈の古本屋をめぐって、澁澤龍彦『フローラ逍遥』、アン・モロー・リンドバーグ『翼よ、北に』、山田宏一『友よ映画よ わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』、蓮實重彦『シネマの煽動装置』、多和田葉子『旅をする裸の眼』、高階秀爾『ルネッサンスの光と闇 芸術と精神風土』、内田百閒『東京焼盡』、保坂和志『途方に暮れて、人生論』、いしいひさいち『女には向かない職業2』、『ku:nel』(マガジンハウス)のバックナンバー2冊を買う。きょうの戦利品は何といっても澁澤の『フローラ逍遥』の単行本だ。平凡社ライブラリー版は持っていて、平凡社ライブラリーの装幀も好きなのだけれど、これは単行本で読むことができたらそれに勝るものはないわけで、ずっと探していたので、嬉しい。嬉しい。古本屋めぐりの合間に江東区森下文化センターの「のらくろ館」も見る。のらくろ、寂しがりやでお調子者で、大好き。それにしても最後は喫茶店マスターとして暮らす、という設定を毎回失念し、見るたびにあっ、そうだったっけか! と新鮮な驚きを得る。
帰宅して、近所のスーパーで買った焼鳥、トマトサラダ、ビールで夕食。