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Saturday, February 8

今週は週明けからもうずっと、ここかと思えばまたあちら、きょうはこちらのお座敷、あしたはまた別のお座敷、ハイ次ハイ次、まったく売れっ子はつらいよ、ってなもんだ。ぐったりくたびれた。火曜日にはみすず書房から『みすず』読書アンケート特集号が届いた。今年も読みたい、読まねば、と思う本を見つけるのが楽しみだ、ワクワク。金曜日の天気予報は、あしたの東京は大雪になるでしょう、不要不急の外出は避けましょう、と盛んに報じていた。

というわけで、朝4時半、窓の外をのぞいてみると、すでにうっすら雪がつもっている。そりゃできることなら家でぬくぬくとしていたいが、急を要する用事ばかり抱えているので、午前中は降りしきる雪のなか、早速近所のスーパーまで食料の買い出しに出かける。お昼にラーメンを食べて、午後は毛糸の帽子を被ってAIGLEのレインブーツを履いて防寒防雪の身支度をして、いそいそと街に繰り出す。

山手線はガラガラだ。予定していた時間より早く、新宿のK’s cinemaに到着。ハル・ハートリー監督『はなしかわって』(2011)を観る。映画館を出て、こんなに雪の降る日に繁華街をうろつくこともそうそうないので、新宿周辺の風景をiPhoneで写真におさめる。渋谷に移動して、まずTSUTAYAでDVDを借りてからMt.RAINIER HALLで吾妻光良 & The Swinging Boppersのライブを観る。吾妻さん、「まさかこんなこと(大雪)になるなんてねえ。みんな、来て後悔してませんか?“こ”んな、“こ”となら、“来”るんじゃ、“な”かった、って、えーと、“KKKN”になってませんか?」と腰がひけたMCを。しまいには客席に向かって「怒ってないかー!」と叫ぶ。いちいち可笑しくて爆笑。世界一楽しいライブだなあ。後半はLeyonaがゲストで登場し、いつもの吾妻さんとのデュエットに聴き惚れる。ああ、早く次のライブを観たいよう、今度はぜひスタンディングで。

渋谷は新宿よりも人が多かった。雪の舞い散る道玄坂、スクランブル交差点、ここでこんな景色を見るのはいつ以来だろうか。それにしても今年1月、いやいやながらもAIGLEのレインブーツを買っておいて本当によかった。これがあるからきょうの映画だってライブだって行けたんだ。人生において首尾よくうまくいく瞬間というものが時としてあるけれど、これはまさにそれだった。

少しでも歩くとコートが雪で真っ白くなる。帰宅して、身体についた雪をはらって、ウィンナーとレタスのスープ、ベビーリーフとコーンのサラダ、ワインをいただく。

Sunday, February 9

朝ごはん、バゲット、目玉焼きとベーコン、リーフサラダ、ヨーグルト、珈琲。お昼食、きのこの炊き込みご飯、白菜とベーコンの蒸し煮、もやしとわかめのと玉ねぎの味噌汁、ビール。夜は、トマトパスタとサラミと赤ワイン。炊き込みご飯が衝撃的に美味しくできて、ひとりで有頂天になり、その有頂天っぷりを夫にも強要するという迷惑なことをした。

観た映画、リチャード・プレス監督『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(2010)、ミシェル・オゼ/ピーター・レイモント監督『グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独』(2009)、レオス・カラックス監督『ホーリー・モーターズ』(2012)の3本。ビル・カニンガムとグレン・グールドのドキュメンタリーはとても面白く観た。カラックスの『ホーリー・モーターズ』はあまりのつまらなさに呆れた。退屈すぎて、もうどうしようかと思った。カラックスはリアルタイムではないけれどデビュー作から順番に観ていて、『ボーイ・ミーツ・ガール』と『汚れた血』はとても好きだった。『ポンヌフの恋人』は可もなく不可もなく、というところだけれど決して嫌うような作品ではない。ところが次の『ポーラX』は公開当時喜び勇んで観に行ったもののがっかりするようなつまらなさで、とにかく暗くて、暗いのは嫌いではなくむしろ好きであるけれどどうにも好きになれない暗さで、今回も半分以上は期待していなかったのだけれど、期待をはるかに上回るつまらなさだった。まあ、とにかく残念なことだ。