Monday, December 30
スヌーピーの生みの親、チャールズ・M・シュルツの評伝 David Michaelis, Schulz and Peanuts: A Biography を読んだ。目次や章のタイトルは「Peanuts Font」を使用。シュルツの実人生での出来事が『ピーナッツ』にいかに反映されていたかを追っていて、基本はバイオグラフィーだけど、作家論であり作品論であるような一冊。シャイで浮気性なシュルツの人となりだとか、再婚してからルーシーの性格が穏健になっただとか、やたら登場する雪だるまの意味するところだとか、などなど。『ピーナッツ』だけを毎日ひたすら連載しつづけていたのだから、作者の人生と作品が密接につながっているのは当たり前といえば当たり前かもしれず、熱心なスヌーピーファンからすれば既知の事柄も多いのかもしれないが、六本木ヒルズで開催された「スヌーピー展」ではじめてシュルツの人生を知った者からすると、いろいろと盛りだくさんの内容でたのしめた。スヌーピーのキャラクターグッズがこれだけ氾濫した日本で、2007年に刊行された本なのにいまだに翻訳されないのはどうしてだろう。それはそうと初期チャーリー・ブラウンの丸顔はかわいい。
夜、六時半頃に少し早めの夕ごはん。白米、豆腐とほうれん草とネギの味噌汁、冷奴、レモンと大根おろしつきの秋刀魚の塩焼き。体調が芳しくないので、飲みものは烏龍茶にする。
レニ・リーフェンシュタールの撮ったベルリンオリンピックの記録映画を「TSUTAYA」で借りたのは、多木浩二『映像の歴史哲学』でさかんに言及されていたから。『オリンピア』の通称で知られるこの映画は『民族の祭典』と『美の祭典』の二部作で、まとめて一本にしてくれればいいのにDVDは二本にわかれている。どちらか片方は既に見たのだが、どっちだったかの記憶がおぼろげ。『美の祭典』を借りたら、はじめの淀川先生の解説にデジャヴ。公開時にフォードの『駅馬車』の宣伝担当で、『美の祭典』にくらべて『駅馬車』が不遇な扱いを受けていたので『美の祭典』は憎たらしいという、映画の内容とぜんぜん関係のない素晴らしい解説。これはバッチリ憶えていたが、肝心の映画の内容は九割くらい忘れていた。冒頭のサウナのシーンとカンガルーがぴょんぴょん動くショットで、ああそういえばこれは前に見たなと。日記を検索したら過去に『美の祭典』を鑑賞したことがちゃんと書いてあって、なんのための日記か。これから「TSUTAYA」で映画を借りるときは、レジにもっていく前にスマホでじぶんの日記を検索すべきかも。一度見た映画をふたたび疑いもなく借りて、新鮮な気分で楽しんでしまう記憶力の脆弱性をなんとかするのを来年の課題としたい。「TSUTAYA」ではルビッチの『結婚哲学』も借りたのだが、これも既に見ていた。
Tuesday, December 31
午前10時すぎにMacBookで作業をしていたら、ぐらっと揺れ。揺れ納めか。傍の台所で続々と用意されるおせち料理の食材がすべて出揃ったところで、岡尾美代子ばりのスタイリング能力を発揮しながらお重に詰めていく。
外の天気もよく、家の中にずっといると身体がなまってくるので、歩いてすぐの近所のカフェで大晦日のランチ。窓際の席に座ったら、陽射しが強くて真冬なのに暑い。iPhoneをいじっていたら大瀧詠一の訃報を目にして驚駭する。
自宅に戻って、何の気なしに本棚の整理を始めたら、片付けているのか散らかしているのかわからない混沌とした状態に陥った。
夜、温かい蕎麦。鶏肉、小松菜、ほうれん草、大根、ネギ、生卵をのせて。ビール。食後、InterFMを聴きながら、ボルドーの赤ワインとともに写真集の棚卸しをおこなう。
・Paul Fusuco, RFK
・Terri Weifenbach, Between Maple and Chestnut
・『アンドレ・ケルテス』
・澁谷征司『BIRTH』
・松江泰治『JP0205』
・Joel Meyerowitz, CAPE LIGHT
・Dayanita Singh, Adventures of a Photographer
・Bettina Rheims, MADE IN PARADISE
・畠山直哉『TERRILS』
年越しのカウントダウンは世間に任せてそそくさと眠りに就く。