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Wednesday, May 22

朝4時半、目覚めて部屋の窓を開け放つ。今朝は全然寒くない。そのあと少しだけ二度寝してしまう。むくっと起き出して布団などをもりもり干す。

夕ごはんは、バゲット、豚肉とパプリカと玉ねぎのソテー、グリーンリーフときゅうりのサラダ、トマト、アメリカンチェリー、カマンベールチーズ、白ワイン。バゲットにはオリーブオイルをつけて。英語の勉強法について話しながら、ワイン1本あけた。

掛け布団に布団カバーを装着しながら、ああ、わたしはなぜこんなにも布団にカバーをつける作業が好きなのだろうか、と自問する。カバーと布団をつなぐ6つの紐を丁寧に結び、ぱんぱんとたたいて形を整える。あー気持ちいい。ちなみにいまだ羽毛布団を使っているので、今夜はすごく暑くて寝苦しくなるんじゃないかと不安をおぼえる。かといって一段階薄い布団にするとしたら本当に薄いタオルケットしかないのだ。その中間がない。

Friday, May 24

自宅でカレーライスとビールの夕食を済ませて、下高井戸へ。夜の映画館にぽろぽろと人が吸い込まれていく。スクリーンに引き寄せられて集ってきた人たちとともに『マリア・ブラウンの結婚 』(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督、1979年、西ドイツ)を鑑賞する。登場人物のわらう、いくつかの印象的なシーンが出てくる。嗤う、笑う、哂う、いろいろあるけれどその違いはどうでもいいといえばいい気もする。それにしてもマリアのつんと顎をあげた、大胆不敵かつ壮麗な姿に対して、男性たちのなんと華のないことか。女性たちの前にすっかり為す術もなくして立ち尽くしてしまっている。マリアが着こなす洋服は見ていて楽しかった。わたしはあの、斜に被って目のあたりまで垂れるベールのついた、小さな帽子がほんとうに好きだなあ。なかなか被る機会がないけど。あ、おととし一度だけ被ったな。

Saturday, May 25

今朝はひんやり。午前6時前に起床。夕べは久しぶりに遅い時間に寝たけれど、それほど寝坊しなくて済んでほっとした。びゅーんと逗子まで。逗子駅前はいつも人通りが多く、にぎわっている。風は乾いていて爽やかで、美術館行きのバスを待つ間もちっとも暑くなかった。神奈川県立近代美術館葉山で「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」を観る。肖像画というものが苦手なので、レーピンは肖像画以外が良い、と感じるところでわたしはレーピンの良い鑑賞者ではないのかもしれない。肖像画以外のほうが興味深い。静止した肖像画と、映画のワンシーンを切り取ったような動的な絵を量産したというのが面白い。レーピンは「めずらしい事件の決定的瞬間を描くことに昔から興味があった」そうだ。観賞後、いつもの小径を抜けて海岸に出て、波打ち際を歩く。風が吹くと少し寒いくらい。でも海に指を浸してみたら水は生ぬるく、温かかった。葉山ご用邸を背にした小さな岩場の辺りまで歩く。岩場をのぼるとちょっとした草地になっていて、小さな公園につながっている。この辺りは大好きな場所だ。草地にはシロツメクサが咲いていた。雲間から太陽の光が射し込んでいた。久しぶりに楽しく写真を撮った。

帰京して、食材の買い出しのあと、近所の焼鳥屋で夕ごはん。軽く食べるつもりがついつい満腹になるまで食べてしまう。焼鳥を食べるとはそういうことなのだ。

Sunday, May 26

美容院で髪を切ってさっぱりしたのち、デパートの靴売場にサンダルを修理に出すもののもう直してもあまり意味がない(すぐ壊れる)と言われて落ち込んだりしながら、帰りにパン屋でサンドイッチを買ってきて、と言われていたので諸々の用を済ませて急いで帰る。なんだかいつも急いでいる気がする。そういえばイオセリアーニの映画に出てくる人たちも皆、いつも急いでいる気がする。皆、何か目的を持ってカチャカチャと動いている気がする。お昼はサンドイッチ2種と珈琲。

送られてきた一通の英文メールがあまり正確に理解できず、翻訳家として活躍をはじめた友人Mにメールを転送して訳してもらう。細かいニュアンスまで訳して教えてもらって、正確に意味が理解できたのでとても安心した。うれしい。ありがたい。やっぱりプロの仕事はちがうぜ。夕方ちかくになって近所のお気に入りカフェへ向かう。アイスコーヒーを飲みながら『岩波ホールと〈映画の仲間〉』(高野悦子/著、岩波書店)を読む。帰りに花屋に寄って種類の違うバラ2本とつる草のような葉っぱを買う。夜はあさりのパスタ、赤ワイン。