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Saturday, September 1

開店時間に合わせて新宿の家電量販店へ。9時開店なのに9時前に着いたらすでにやっていた。ハイエンドコンパクトデジタルカメラを購入。コンデジとの向き合い方について思いをめぐらす。ここ数年、ずっと一眼レフに情熱を傾けてきたのでどうしたらいいかわからないのだ。コンデジの勉強を始めるべきなのか。伊勢丹まで歩いて靴を買う。広尾に移動してカフェ・デ・プレでチーズとトマトのバゲットサンドとアイスコーヒーをいただく。このカフェの存在をいままでまったく知らなかったので店舗のサイトを見たらば「20世紀初期にかけてパリの左岸サンジェルマン・デ・プレ界隈をイメージして作られた日本で最初の本格的なカフェ」だそうで、オープンは1993年とのことだった。バゲットサンドがとても美味しい。

広尾に足を運ぶのはそこに東京都立中央図書館があるからで、従ってきょうも有栖川宮記念公園の、中央図書館へ続く階段をのぼる。ただしきょうはそれほど活字を追う気分ではなくて、先日「カーサブルータス」で見て気になっていたスウェーデンの建築家、エーリック・グンナール・アスプルンドの作品集『アスプルンドの建築 1885-1940』(川島洋一/著、吉村行雄/写真・イラスト、TOTO出版)をゆっくり眺める。「祝祭的な装飾を施した庇と、水色の扉枠と白い装飾幕板が美しいゲスト用の玄関」をもつ、小さなホテルのような「スネルマン邸」に見惚れる。楕円形の天井、楕円形の居間、アーチ型の入口、いたるところに丸い窓がぽこぽこあいているその邸宅はその形状や「あらゆる隙間が収納スペースとして有効に利用されている。それはまるで船舶のようだ」と解説文にあるとおり、機能的な面からも一歩中に入るとまさに船のようで好ましい。アスプルンドの手によるストックホルム市立美術館も筆舌に尽くしがたい壮麗さでとてもとても行ってみたくなった。ちなみに残念ながら日本にはアスプルド建築は存在しないようだ。

図書館を出たあと麻布十番まで小走りに急いで、ジンギスカンと讃岐うどんが食べられるというビアガーデンへ。ジンギスカンは美味しく量もたっぷりあって満足。夜風が心地よい。ちょうど帰る頃に雨が降り出して、建物のなかに入ってビアガーデンの様子を見たら店員さんたちが次々にパラソルを開いてテキパキとテーブルに設置していくのが確認されたためまだ外にいる人たちのことを思ってほっとしながら、それがひどく映画的な光景だと感じられて色めき立った。映画的とはどういうことなのか。

Sunday, September 2

お昼ごはんを食べながらビールを飲み、食後もう一缶あけてそのまま常備菜づくりを始めたら非常に捗った。酔っぱらうと料理のスピードが速くなる、というのは学生時代に仲間たちと誰かの家で鍋をしていたときに見出した事実で、酩酊状態に陥ったその家の家主が目を見張るようなスピードで二、三品つくったことがあり、飲んだ前と後ではこんなにもつくるスピードが変わるのかと思い知ったという、適当にもほどがある話。

最近お気に入りのご近所のカフェに行って通されたのがクーラー直撃の席だったせいか、かなりクーラーに強いわたしもさすがに辛く、本を読みながらもあまり集中できなくて、冷房でこれほど寒い思いをしたのは昨年の秋にワイズマンの映画を観に行ったユーロスペース以来ではなかろうか、あの寒さは一体何だったのか、と思いをめぐらせつつも、先日から定期購読を始めた岩波書店のPR誌『図書』はたいそう面白く、冷房の寒さをわすれさせてくれるほどだった、と言いたいくらいの面白さなのだけれどあいにく冷房の寒さというのは解消されることがない限りわすれ去ることはできない。途中で弱まったのでほっとした。さむがったりもしたけれど、ここはよいカフェです。